2024.12.27 (Fri)

テクノロジーでビジネスの現場が変わる!(第79回)

Googleの新ルール「サイト評判の不正使用」とは何か?

 Googleは2024年に「サイトの評判の不正使用」というポリシーを追加しました。通称「パラサイトSEO」と呼ばれるこのSEO対策は、なぜGoogleから禁止されたのでしょうか?

SEOで自社サイトの検索順位を高める方法とは

 「SEO」といえば、Googleなど検索エンジンの上位に、自社のサイトを表示させる「検索エンジン最適化」(Search Engine Optimization)のことです。SEOに取り組んだ結果、検索結果の上位に自社サイトが表示されれば、サイトを訪問するユーザーが増加し、ビジネスにも好影響をもたらすことが期待できます。

 SEOの具体的な取り組みは多岐に渡りますが、特にGoogleの検索順位を高めるための有名な取り組みのひとつが「E-E-A-T」です。

 これは「経験(Experience)」「専門性(Expertise)」「権威性(Authoritativeness)」「信頼(Trust)」の頭文字を取ったもので、要は経験に基づいたコンテンツが多いサイトや、専門性の高いサイト、社会的認知度や第三者からの評価が高いサイト、信頼性の高いサイトを、Googleが高く評価するというものです。

 Googleでは元々、専門性・権威性・信頼性の3つを「E-A-T」として高く評価していましたが、2022年12月に「E-A-TにExperienceのEを追加」と発表。サイトに掲載されるコンテンツに、実際の製品を使用するなどの経験が織り込まれているかどうかも評価されるようになり、場合によっては実体験を持つ人が作成したコンテンツが最も高く評価される場合もあるとしています。

ルール違反のSEO「ブラックハットSEO」に要注意

  E-E-A-Tのような、検索エンジンが定めるルールに則ってSEO対策を行うことを、業界では「ホワイトハットSEO」といいます。逆に、検索エンジンのルールの穴をつき、不正な手法で検索結果の上位表示を狙うことは「ブラックハットSEO」と呼ばれます。

 ブラックハットSEOの具体例としては、他サイトのコンテンツを無断で使用したり、キーワードを不自然に使用した低品質なコンテンツを掲載すること(通称:ワードサラダ)、検索エンジンと一般ユーザーに対し、異なるコンテンツを表示すること(通称:クローキング)などがあります。

 これらのブラックハットSEOは、いずれも一時的には検索順位がアップする可能性があるものの、Googleは使用を禁止しているため、後にペナルティを受け、サイトの掲載順位が大きく下がってしまう恐れもあります。

 GoogleがブラックハットSEOとして禁止している行為は、「Googleウェブ検索のスパムに関するポリシー」というページにて公開されており、その基準は度々更新されています。

Googleの新ルール「サイトの評判の不正使用」とは何か?

 2024年、このスパムに関するポリシーに、新たに「サイトの評判の不正使用」という項目が追加されました。

 このサイトの評判の不正使用とは、Googleが高く評価をしている(ランキング順位が高い)サイトのドメイン配下のサブドメイン・サブディレクトリを、無関係の第三者にホストする(貸し出す)行為のことを指します。俗に「ドメイン貸し」「ディレクトリ貸し」「寄生サイト」「パラサイトSEO」などと呼ばれることがあります。

 たとえば、ビジネスコラムを掲載する人気サイト「ビジネス123」(https://business123.com)があったとした場合、そのサイト運営者が「https://cosmetic.business123.com」というサブドメイン、もしくは「https://business123.com/cosmetic」というサブディレクトリを作り、これらを化粧品の通販会社にホストすることも、検索ランキングを不正に操作したと判定され、サイトの評判の不正使用として、Googleからペナルティを受ける恐れがあります。

 ビジネスコラムが人気で、検索の上位に表示されている「ビジネス123」というサイトと、その名前をドメインに冠しただけの化粧品通販サイトの間には、何の関係もありません。まるで既存のサイトの評判に“寄生”するかのようなサイトを上位表示することは、Googleが一般ユーザーに提供するサービスの質が担保できないことから、このようなルールが設けられたと予想されます。

“パラサイトSEO”には見なされないケースもある

 とはいえ、すべてのサブドメイン・サブディレクトリが不正使用と見なされるわけではありません。

 Googleのスパムに関するポリシーでは、サブドメイン・サブディレクトリにて、プレスリリース用のサイトやコラム記事が公開されているなど、適切な管理・運用が行われていると判断された場合は、サイトの評判の不正使用とは見なされないとしています。Googleでは、サイトの評判の不正使用が疑われるページをホストしている企業は、検索インデックス登録から当該コンテンツを除外することを呼びかけています。

 自社が検索結果の上位に表示されることは、それだけでビジネスに好影響を与える要因となります。しかし、Googleが設けるルールを不正に突破しようとした場合、ペナルティを受け、却ってランキングが落ちてしまう恐れもあります。安易なブラックハットSEOに手を出さず、ルールに則った、地道なホワイトハットSEOを進めていくことが、結局はビジネスの成功への近道といえるでしょう。

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