2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2023.10.04 (Wed)

テクノロジーでビジネスの現場が変わる!(第28回)

大手企業も導入「リーガルテック」で何が変わる?

 デジタル技術で複雑な企業法務を効率化する「リーガルテック」。国内では、業務のIT化が進められるなか、リーガルテックに関するサービスやツールを提供するベンダーが増加しており、実際に導入する企業も広がっています。本記事ではリーガルテックの概要やメリットを説明し、導入ポイントや事例を紹介します。

そもそも、リーガルテックとは何か?

 リーガルテックとは「法律(リーガル)」と「技術(テクノロジー)」を組み合わせた造語で、法律にかかわる業務の効率化や高度化を目的としたITサービスの総称です。日本経済新聞の調査によると、国内の主要企業の8割超がリーガルテックの導入に動いているといいます。

 リーガルテックの主なサービスカテゴリには、契約書作成・管理、電子契約、AI契約書レビュー、リーガルリサーチ、申請出願管理、紛争・訴訟の支援などの法律関連業務が挙げられます。

 企業がリーガルテックを導入するメリットには、法務業務の効率化によるコスト削減や品質向上、文書の電子化による書類保管スペースの削減、文書管理や検索のしやすさがあります。さらに情報の一元管理によって責任所在の明確化や管理ポイントを減らせるといったセキュリティ面でのリスク低減も可能となります。こうした点は企業の法務担当者だけでなく、業務で契約書を扱う担当者の負担軽減にもつながります。

 リーガルテックの普及には、国の法整備も追い風となりました。2023年8月、法務省は、AIによる契約書審査サービスの利用についてガイドラインを公表しています。これは、弁護士でない者が弁護士の業務を行うことを禁じた、弁護士法72条の抵触の有無を判断するものです。

 具体的には、AI審査サービスについて、「親子会社間の取引」「企業間の継続的な取引」「無料のAI審査サービス」などを「適法」としています。一方、「法律上の争いがある場合」「契約書の内容の法的リスクを判断して修正提案する場合」については、弁護士法に抵触するものと示されています。

 指針が明確になったことにより、リーガルテック導入を先延ばしにしていた企業担当者の不安が払しょくされ、さらなる利用促進が期待されます。

大手企業もリーガルテックで業務効率化を進めている

 リーガルテックの導入により、すでに業務の課題解決に取り組んでいる企業も存在します。

  サントリーホールディングス株式会社では、これまでも書類作成・管理の効率化と、BCPの観点からペーパーレス化を促進してきましたが、2020年6月からワークフローを刷新。稟議、契約書作成・捺印という取引上流の法務業務から、文書保管、支払という下流までの業務のすべてを、同一ワークフローシステム上で連携させる、一気通貫のペーパーレス新システムに移行しました。

 これにより同社では、過去にさかのぼって契約内容を簡単に確認できるようになり、法務業務の効率化・コスト削減に成功。さらに、テレワークでも法務業務ができるようになり、どこでも業務可能な体制が構築できました。同社の取り組みは、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「DX銘柄2021」において、「デジタル×コロナ対策企業」に選定されています。

 株式会社ニトリホールディングスは、契約業務の一連のプロセスを変革し、契約書の作成から法務業務のナレッジマネジメントまで行う「MNTSQ」を、2022年8月に導入しました。同社では小売りから家具製造まで数多くの契約を扱うため、契約書の審査・管理を効率化する必要性があったといいます。

 システム導入後は、契約管理や電子帳簿保存法の対応に必要な情報を、契約書に特化した文字認識(OCR)ツールによって検索と抽出し、契約内容を条項別に分類。契約業務に有用なナレッジを自動的に蓄積する仕組みを構築しました。さらに、契約の雛型、条項も閲覧できるため、業務品質の向上も期待しているといいます。

リーガルテックの導入には準備が必要

 民間調査会社の調べによると、電子契約サービスの市場規模は、事業者売上高ベースで2021年に140億円だったものが、2025年には395億円にまでに達する見通しです。今後もリーガルテックを導入する企業は増加していくことが予想されます。

 とはいえ、リーガルテックはすぐに導入できるものではありません。期待した効果を出すためには、あらかじめ準備を行っておく必要があります。

 具体的には、現在の業務フローがどのような形で進んでいるのかを確認し、どこにどのリーガルテックを導入し、業務を効率化するのか、法務業務の課題と導入の目的を明らかにしておくことが求められます。加えて、法務に関わる人員をどのように変えるのかという、人事面での変化も必要になります。

 さらに、場合によってはリーガルテックを利用した電子契約が認められないケースや、取引先が電子契約を認めていないケースもあります。もしリーガルテックサービスのサーバーがダウンした場合、どのように対処するのかといったバックアップ体制も構築する必要があります。

 リーガルテックを導入するには、このように従来の業務を大きく変えることになりますが、だからこそ業務の効率化が進みます。もし現在の法務関連の業務に煩わしさや面倒臭さを感じているのであれば、検討してみてはいかがでしょうか。

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