自動車業界では、ネットに常時接続する「コネクテッドカー」が登場していますが、たとえコネクテッドカーでなくても、車内でWi-Fiが使い放題になるサービスも存在しています。
新車の2/3がコネクテッドカーに
自動車業界では現在、インターネットへの常時接続機能が可能な自動車「コネクテッドカー」の導入が進みつつあります。
コネクテッドカーには車体の各所にセンサーが搭載されており、それらのセンサーが収集したデータをネットワークを通じて分析することで、これまでの自動車ではできなかった、さまざまなことができるようになります。
具体的には、事故が発生した際の位置情報を自動で伝達したり、最新の渋滞情報を取得して空いているルートを提案することも可能です。将来的には、自動運転を可能にするためのテクノロジーとしても期待されています。
すでにコネクテッドカーは日本を含む世界中で発売されており、たとえばトヨタでは「T-Connect」という接続サービスを多くの機種で搭載しています。ある調査会社の調べによると、2023年第3四半期における世界の乗用車の販売台数のうち、2/3がコネクテッドカーであり、かつ同期間におけるシェアの首位はトヨタだったといいます。
コネクテッドカーの通信は、Wi-Fiに利用できる
なぜコネクテッドカーは、自動車にも関わらず、インターネットに接続できるのでしょうか?その理由は、車体に専用の通信機「DCM」を搭載しているところにあります。
DCMとは「Data Communication Module(データ通信モジュール)」の略で、このDCMが24時間365日サーバーと通信することで、自動車単体でインターネットに接続することができます。
T-Connectのサイトによれば、このDCMがあることによって、自動車でのアラートが発生したことをユーザーに通知したり、駐車位置をアプリで表示したり、新しい道路の更新を、パケットを気にすることなく更新できるといいます。
このDCMは、基本的には自動車専用の通信機です。そのため、車内に持ち込んだスマートフォンやタブレットを、DCMから発信される電波に接続することは、標準のサービスにおいてはできません。
ただし、あくまでも標準的なサービスでは対応していないだけで、別途オプションサービスを利用すれば、DCMをWi-Fiスポットとして活用することも可能です。
たとえばトヨタのT-Connectでも、車内Wi-Fiがオプションで用意されています。T-ConnectではKDDI(au)の4G LTE回線が利用でき、同時に最大5台の端末が接続できます。
コネクテッドカーじゃなくても、車内を“コネクテッド”にできる
この“車のWi-Fi化”は、実はコネクテッドカーではなくても利用可能です。
たとえばNTTドコモの「docomo in Car Connect」も、車のWi-Fi化を可能にするサービスのひとつです。ユーザーは同サービスに加入したうえで、別途販売されている専用のルーターを車内のシガーソケットおよびUSBポートに接続するだけで、コネクテッドカーでなくても、ドコモのLETのデータ通信を車内用のWi-Fiとして使用することが可能になります。
docomo in Car Connectでは、通信データの通信量に制限はありません。ドコモの携帯電話を契約していないユーザーも利用可能です。車種・メーカーについても制限はありません。
ポケットWi-Fiではないため、自動車を運転していない場面での使用には制限がありますが、エンジンの始動後2時間、および停車後2時間であれば、停車中でもWi-Fiが利用できます。
料金体系は3つのプランが用意されており、24時間(1日)が550円、30日(1カ月)が1,650円、365日(1年間)が13,200円です。日産自動車・および三菱自動車の一部機種では、専用ルーターなしで利用可能です。
ソフトバンクからも同様のサービスとして「くるまデータ定額」がリリースされています。基本的な機能はdocomo in Car Connectとほぼ変わりませんが、対応車両はダイハツの一部車種に限られます。
今回紹介したように、車内のWi-Fi化はユーザーが個別にオプションサービスに申し込む必要がありますが、今後利用者が増えることで、オプションではない正規のサービスに発展する可能性も考えられます。車だけでなく、車内のドライバー・同乗者の端末も同じネットワークにコネクテッド(接続)されることで、新たな価値やサービスが生まれるかもしれません。
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