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2024.10.08 (Tue)

テクノロジーでビジネスの現場が変わる!(第64回)

能登半島地震で被害を受けた通信インフラはどのように回復したのか?

最新版の情報通信白書では、能登半島地震における通信インフラの被害状況に関する内容が掲載されました。どのような被害が発生し、どのように復旧したのでしょうか?

能登半島地震で、固定回線も携帯回線も使えなくなった

 2024年7月、総務省は令和6年版の情報通信白書を公開しました。

 情報通信白書は、総務省が1年間の情報通信の現況及び政策の動向をまとめた資料ですが、令和6年度版では、冒頭から能登半島地震における情報通信・ITインフラ(以下、通信インフラ)について触れられており、地震の影響で通信インフラがどれだけ被害を受けたのか、そして災害からの復旧にどれだけ貢献したのかについて、多くのページが割かれています。

 通信インフラの被害状況については、被災地である石川県輪島市、珠洲市、志賀町にて、地震発生後に固定回線のサービスが利用できない状況が発生。NTT西日本の通信ビルが停電し、土砂崩れなどによって中継伝送路やケーブルが損傷するなどで大規模なサービス障害が発生し、固定電話では最大約7,860回線、固定インターネット回線では約1,500回線が使えない状況に陥ったといいます。

 携帯電話についても、地震の直後の停電や土砂崩れにより、伝送路の断絶が発生。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの各通信会社において、合計最大839の携帯電話基地局において停波が報告されたといいます(1月3日時点)。

通信インフラはどのように回復したのか

 このように能登半島地震では、さまざまな通信インフラが被害を受けた一方で、サービス再開に向け、被害の復旧作業も進められました。

 固定回線では、移動電源車や発電機を活用し、通信ビルへ電力を供給。さらに、ケーブルの損傷の修理や、断線区間へのケーブル新設、被害を受けていない中継伝送路への迂回などによって、基幹設備の復旧が進められたといいます。

 加えて、被災者の通信環境を確保するため、衛星携帯電話やポータブル衛星電話も配備されました。固定回線については現在も復旧が続けられており、2024年5月末時点では、石川県輪島市のアナログ電話約180回線、ひかり電話約40回線を残すのみといいます。

 移動基地局車や可搬型の衛星アンテナ・可搬型の発電機の搬入を進めたことで、、4社すべてが1月中に応急復旧を終了。立入困難地点についても復旧が進んでおり、3月末時点で、石川県輪島市の一部を除いて復旧が完了しているとのことです。

衛星のインターネット、海上・空中の基地局が被災地に通信を繋ぐ

 能登半島地震ではこれら以外にも、新たなテクノロジーを用いた支援が行われました。

 たとえばKDDIでは、今回の震災で通信ケーブルが断たれたことにより、基地局の停波が度々発生し、回線がつながりにくかったことから、無線で衛星と通信するインターネットアクセスサービス「Starlink(スターリンク)」を、避難所に350台無償提供しました。

 Starlinkは、宇宙空間に浮かぶ人工衛星と通信を行うことで、山間部や離島などの遠隔地でも、ワイヤレスで高速のインターネットが利用できるWi-Fiサービスです。Starlinkのアンテナは避難所のほか、厚生労働省の災害派遣医療チーム「DMAT」や、陸上自衛隊や各電力会社といった、災害対応期間に対しても提供が行われました。

通信ネットワークの応急的復旧のために利用されたStarlink(KDDIの資料より引用)


 NTTドコモグループのNTTワールドエンジニアリングマリン社では、同社が運用する海底ケーブル敷設船に、NTTドコモとKDDIの携帯電話基地局の設備を設置し、地震発生直後の1月6日より運用をスタートしました。衛星アンテナで受信した電波を船上から発信することで、被災地の沿岸付近において、ドコモおよびauの通信サービスが利用可能になります。

 ソフトバンクでは、被災地の一部エリアにで「有線給電ドローン無線中継システム」の運用を行いました。これは上空100メートルの位置に、無線中継装置を搭載したドローンを飛行させることで、その周囲半径3~5キロ圏内で、同社の無線通信を可能にするものです。ドローンは地上の無線中継装置と光ファイバーや給電装置と接続されているため、最大で連続100時間もの飛行が可能といいます。

 総務省は今回の能登半島地震の課題として、携帯電話基地局や光ファイバーの強靭化、非常時における事業者間ローミングの実現、放送施設の停電対策や中継局の共同利用、ケーブル網の光化を推進していくとしています。

 地震などの災害が発生し、通信インフラが絶たれてしまうと、被災地内の家族や友人などの安否が確認できなくなるだけでなく、被災地の人々が救助を求める発信ができなくなり、災害復旧がさらに遅れる原因となります。通信のインフラの復旧の早さは、災害復旧の早さとイコールといっても過言ではないでしょう。

 災害の発生を防ぐことは困難ですが、災害への備えが十分に備わっていれば、その被害を抑え、早期に復旧することは可能です。災害が発生する前にどれだけの準備ができているかが、自然災害の被害を抑える鍵といえるでしょう。

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