2024.03.29 (Fri)

テクノロジーでビジネスの現場が変わる!(第41回)

新たなテクノロジー「光の半導体」とは何か?

 ほぼすべての電子機器に「半導体」が使用されています。この半導体を、電気ではなく「光」で制御することで、電子機器の消費電力の大幅な削減が見込まれます。

半導体が便利になればなるほど、消費電力が奪われる!?

 我々の暮らしに欠かせないもののひとつに「半導体」があります。

 半導体は、電気を通す物質である「導体」や、電気をまったく通さない物質「絶縁体」とは異なり、条件によって電気を通す/通さないを切り替えることができる物質のことです。さまざまな電化製品の制御装置に使用されており、自動車やパソコン、スマートフォンや医療機器などにも搭載されています。

 半導体は、データセンターに設置されているサーバーやネットワーク機器にも使用されています。

 データセンターには、さまざまな企業のデータが保存されており、そのデータにユーザーがアクセスするたびに、データセンター内のコンピューターの半導体に電気が通り、計算処理が行われます。そのため、大量のデータ通信が発生した場合、その消費電力は莫大なものになります。

 国際エネルギー機関(IEA)の調べによると、2026年におけるデータセンターの電力消費量は、2022年比で最大2.3倍になるとの試算を示しました。背景には、生成AIの利用拡大によって、データセンターにおける機器の計算処理が増加していることがあるといいます。

 このまま生成AIの利用が拡大すれば、データセンターにおける電力消費量もさらに増加し、我々人類が暮らしていくうえで必要な電力が、データセンターに奪われる恐れも十分に考えられます。

電気を使う機器の宿命「熱」をどうするか?

 データセンターにおいて電力消費量が増加するということは、「熱」という別の問題も発生することになります。

 コンピューターは、半導体に流す電気の回路のオンとオフを切り替えて、計算処理を行います。そのため、生成AIが処理を行う場合、データセンター内のコンピューターでは、オンとオフの処理が何度も繰り返されます。

 ただし、電気が回路を流れることで、どうしても熱が発生するため、コンピューターは熱を帯びます。すると、電気の通り道の抵抗も大きくなり、計算速度はさらに低下していきます。処理速度が低下し、処理時間が長時間に及ぶと、今後は電気が回路を流れる時間も長くなり、コンピューターはさらに熱を帯び、処理速度はさらに低下……という悪循環を繰り返すことになります。

 もちろん、発生した熱はエアコンなど冷却装置で冷ますことも可能ですが、そうした装置を動かすには電気が必要です。データセンター全体の消費電力量もさらに増加することにつながります。

「光の半導体」がデータセンターを内側から変える

 こうしたデータセンターにおける電力消費と熱の悪循環を断ち切るテクノロジーとして、「光電融合(こうでんゆうごう)」という技術が生まれつつあります。

 光電融合とは、従来は半導体に電気を通すことで行ってきた電子機器の制御を、電気ではなく「光」で制御するテクノロジーのことです。電気信号を扱う回路と光信号を扱う回路を融合することから、「光半導体」と呼ばれることもあります。

 この光電融合技術をデータセンターに用いることで、これまで電気で行なっていた計算処理が、光で置き換えられるようになります。光は電気よりもエネルギー消費が少なく、遅延も起きにくいという特徴があるため、エネルギーの無駄遣いや処理の遅れを減らすことが可能です。さらに、電気ではなく光を使用するため、熱の発生も抑えられます。

 光電融合技術はNTTグループが推進しており、データセンターに光電融合技術が備わることで、現在の最先端データセンターと比較して、40%以上の省エネが実現できるとしています。

 今後の光電融合技術のロードマップとしては、2024年にコンピューターの計算に使用するチップと周辺部品を光でつなぐ技術を確立し、2025年にチップ同士の光による接続、2030年に光で計算する「光電融合チップ」の実用化を目指しています。

光でデータセンターを“低カロリー化”する

 NTTではこの光電融合技術を、同社が掲げる「IOWN構想」を実現するためのテクノロジーとしています。IOWNとは「Innovative Optical and Wireless Network」の略で、「光」を中心とした革新的技術を活用することで、従来のインフラの限界を超えた高速大容量通信や膨大な計算リソースを提供するネットワーク・情報処理基盤の構想です。2024年に仕様を確定し、2030年のIOWN実現を目指しています。

 技術が進化すればするほど、その技術を動かすための電力が必要になります。しかし、その消費電力があまりに大きいと、人間の生活に必要だった電力を使うことになり、世界的に電力不足が発生する恐れがあります。

 光電融合技術は、このような最先端の技術が搭載された機器の中に入り、光の力で省エネ化する役割を担っています。現在は大量の電力を消費するデータセンターも、“低カロリー”で稼働させることも可能です。

 半導体は、我々人類の暮らしを便利にする貴重な技術ですが、その半導体を便利に変える光電融合技術もまた、我々の暮らしに欠かせないものになりそうです。

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