2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2023.03.06 (Mon)

テクノロジーでビジネスの現場が変わる!(第16回)

なぜ世界の小売店が「リテールメディア」に参入しているのか?

 国内外の小売業界を中心に「リテールメディア」という新たなマーケティング手法が誕生しています。小売企業にとっては新たな収益源となり、メーカー・ブランドにとっても従来のマーケティングに変革をもたらす可能性を秘めています。リテールメディアとは一体何なのか、背景やニーズ、メリットを、事例を交えながら紹介します。

 リテールメディアとは、小売企業が有するデータ基盤を活用して、消費者の購買データや行動データを広告配信に活用するビジネスモデルとなります。具体的にいえば、小売店における店頭のデジタルサイネージ、店舗のスマートフォンアプリや通販サイトに表示される広告のことです。

 広告主であるメーカー・ブランドは、こうしたリテールメディアに広告を掲載することで、消費者の購買行動に合わせた精度の高い広告が配信できます。広告媒体である小売企業は、収益としてメーカー・ブランドから支払われる広告掲載料を得ることができます。

 リテールメディアは、北米や欧米を中心に急速に成長しています。BCGの調査によると、アメリカのリテールメディア市場は今後5年間で毎年25%成長し、2026年には1,000億ドルの市場規模に到達すると予測されています。アマゾン(Amazon)のようなネット通販大手だけでなく、ウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)、クローガー(Kroger)といったリアル店舗を構える大手小売企業も続々とリテールメディアを立ち上げ、すでに新たなビジネスモデルとして確立しています。

 このようにリテールメディアに注力する小売企業が増えている背景には、新型コロナウイルス感染症の影響によるオンラインへのシフトがあります。多くの小売企業がECサイトに注力すると同時に、実店舗におけるデジタル化も進み、さまざまなデータを収集・分析・活用できる環境が整いました。

 さらに追い風となったのが、プライバシー保護の潮流に伴うCookie規制の動きです。グーグルやアップルが、サードパーティCookie(ユーザーが閲覧しているWebサイトとは、異なるドメインから発行されるクッキー)を廃止する方針を発表したことで、メーカーやブランドは、今後は従来のサードパーティCookieを活用したターゲティング広告や効果測定を行うことが困難になりつつあります。

 しかしリテールメディアであれば、小売企業が有するファーストパーティデータ(自社が収集した顧客情報)を、個人情報に配慮した形で活用できます。そのため、サードパーティCookie規制後の効果的な広告の形として、業界から大きな期待が寄せられているのです。

リテールメディアは、小売企業、広告主、消費者にとって“三方よし”

 リテールメディアの大きな特徴として、小売企業、広告主(メーカー・ブランド)、消費者の“三方よし”のビジネスモデルである点があります。ここからは、三者それぞれの立場からメリットを解説します。

1. 小売企業:新たな収益源の確保

 小売業のメイン業務は商品を売ることにありますが、リテールメディアに参入することで、新たに広告収入が得られるようになります。さらに、メーカーやブランドと深い関係性を構築できる点もメリットとして挙げられます。

2. 広告主:マーケティング活動の高度化

 小売企業が有する膨大なファーストパーティデータを活用することで、ECサイトや実店舗を訪れる購買意欲の高い消費者に対して、ひとり一人のニーズや購買行動に合わせた広告配信が可能になります。実際にマッキンゼーの調査では、広告主の約70%がリテールメディアの広告パフォーマンスが、他の広告チャネルよりも優れていると答えています。

3. 消費者:買い物体験の向上

 パーソナライズされた広告が配信されることで、自分にとって魅力的な商品と出会える機会が増えることになります。興味のない広告に買い物を邪魔されることがなくなるため、より効率的で、快適な購買体験ができるようになります。

国内でもリテールメディアに注力する企業が登場

 近年は海外のみならず、国内でもリテールメディア市場に参入する企業が出てきています。

 たとえば株式会社セブン-イレブン・ジャパンはリテールメディア推進部を新設。スマートフォンアプリを軸に購買データに基づき、ブランドやメーカーが広告配信できる仕組みを構築しています。さらに、購買データを用いた広告効果の可視化も実現しています。

 スーパーマーケットの「イオン」「イオンスタイル」を運営するイオンリテール株式会社も同様に、スマートフォンの買い物アプリを起点に、購買行動データに基づく効率的な広告配信システムの構築を進めています。

 一方、店舗のメディア化を推進しているのが株式会社ヤマダホールディングスです。全国のヤマダデンキ店舗に棚前デジタルサイネージを設置し、スマートフォンアプリのプッシュ通知を通じて、広告をリアルタイム配信するサービスをメーカーやブランド向けに展開しています。

 リテールメディアの登場により、店舗やECサイトは、取り扱う商品を売るだけの場ではなく、さらに別の商品を売るための場にもなっています。サードパーティCookie規制後のビジネスで成功するためには、リテールメディアをうまく活用することが重要になりそうです。

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