2016.06.15 (Wed)

朝礼ネタ帳(第43回)

SMAP中居正広に学ぶ、今必要とされるリーダー像

posted by 鈴木 カノコ

 先日、不倫騒動で謹慎中だったベッキーさんが、SMAP中居正広さんのテレビ番組で復帰を果たしたことが話題になりました。しかしこの時、ベッキーさんの復帰に加えて、中居さんのリーダーとしての振る舞いにも注目が集まりました。

 国民的なアイドルであるSMAPのリーダー中居さんは、1972年生まれの43歳。その中居さんの“職場”での振舞いをピックアップします。

「嘘をつかないでほしい」と“お願い”すること

 SMAPは1988年に結成されたジャニーズのグループですが、中居さんは最初からリーダーであったわけではなかったとのこと。結成当初、一番年上だった中居さんがリーダー的な役割をしていたことが始まりだったそうです。

 中居さんは「金曜日のスマイルたちへ」というテレビ番組で、司会をしています。5月13日に放送された番組では、不倫騒動を起こして謹慎中のベッキーさんと中居さんが、番組内で対談したコーナーがありましたが、いち視聴者から見た感想としてもかなり思い切った企画だと思えました。

 視聴者のベッキーさんへの拒絶反応がまだ収まっていないことは、テレビ番組の制作側にも当然予想できているでしょう。特にインターネット上では、ベッキーさんの不倫の話題が、いわゆる“炎上”と呼ばれる状態になっており、爆発的に注目を集めていました。そういった諸事情を踏まえたうえで対談の仕切りを任されることは、中居さんにとってもなかなか大役だったのではないでしょうか。

 中居さんはベッキーさんに
・嘘をついてほしくない
・でも言えないことがあるのなら、正直に嘘をつかずに「言えません、話せません」と答えてほしい
と語りかけます。そのことから、中居さんの立ち位置が「SMAP中居正広」ではなく「テレビ番組という現場を引っ張っていくリーダー」もしくは「ベッキーさんの同僚、というより上司」ということになるのでしょう。

 ここで、ベッキーさんと中居さんの関係を、「上司と部下」と捉えてみましょう。同じタレント同士ではありますが、中居さんに対して「トラブルを起こした部下に対して適切に対処する上司」という見方をすると、構図としてはすっきり理解できます。

 中居さんはベッキーさんに「現在(彼と)会っているのか?」「なぜ、正月に彼の実家に行ったのか?」などの聞きにくい質問をズバッと聞いていますが、大きな声を出しているわけでも、ベッキーさんを責めているわけでもありませんでした。職場の部下であるところのベッキーさんに寄り添い過ぎず、でも突き放し過ぎず彼女の“言い訳”をうなずきながら聞いていました。

 これは中居さんのリーダーとしての問題解決能力の表れだと思います。とにかく話を最後まで聞くことは、コンプライアンスなどの配慮が必要な現代においては、重視すべきポイントと言えるでしょう。

 もちろん中居さんは、心情としてはベッキーさんを否定するというスタンスはとっていません。しかしながら共感するというスタンスもとっていません。ここで大切なのは、あくまで上司として部下の話を聞くという姿勢を崩さないことです。世代の違う部下や異性の部下を相手にする時は、こうした部下の話を傾聴しながら自分で色々と考えさせることが非常に有効です。こうした姿勢をとる上司は「サーバントリーダー」と呼ばれています。

「支配型リーダー」と「サーバントリーダー」

 多くの人々が抱く「リーダーシップ」は、部下に対して指示を出しつつも強い力で引っ張っていくというイメージが一般的かもしれません。しかし多様な価値観が存在する現代においては、従来の「支配型リーダー」ではなく、職場の同僚や部下に対して後方から支援し、対話を重視するという「サーバントリーダー」が相手からの信頼を得やすい状況になっています。

 実際、ベッキーさんは中居さんの質問に対して、時々沈黙を挟みながらも反発することなく答えているように見えました。中居さんはベッキーさん自身で問題解決を促す形をとりつつも、彼女を「引っ張る」という態度はとっていません。中居さんが「サーバントリーダー」という概念を行動原理としていたのかは定かではありませんが、「支配型リーダー」の行動原理をとっていないことは確かです。

 前述したように、中居さんはSMAP結成当初からリーダーシップを発揮するタイプではありませんでしたし、当初はおそらくリーダーというより一番年上のお兄ちゃん的な意識が強かったのかもしれません。ですが現在の中居さんから感じられるのは、「サーバントリーダー」としての強い資質と実行力です。上司としての振る舞いに悩んでいる方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

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鈴木 カノコ

鈴木 カノコ

フリーライター。主に生活や健康を得意分野として執筆しており、時々書評も手掛けている。
ブログ http://yuriyuri.hatenadiary.com/

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