2017.10.12 (Thu)

朝礼ネタ帳(第110回)

デキるビジネスパーソンは質問方法を使い分ける

posted by 大福 汁粉/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

 デキるビジネスパーソンは、質問方法を使い分けています。相手から的確な回答を引き出すため、あるいは自分の考えを深めるためなど、場に適した質問方法でコミュニケーション効率を高めているのです。

 どのような質問方法が、どのような場に適しているのでしょうか。本記事では「オープンクエスチョン」「クローズドクエスチョン」という2つの質問方法を紹介し、それぞれを使い分けるときのポイントを説明します。

質問方法によって自分の評価が変わる

 「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」を意識的に使い分けると、相手から的確な反応を引き出したり、適切な行動を取らせることが可能となります。

 オープンクエスチョンは、「5W1H」を使った質問のことです。「何(What)」「誰(Who)」「いつ(When)」「なぜ(Why)」「どこ(Where)」、そして「どのように(How)」を用いています。

 一方、クローズドクエスチョンとはイエスかノーで答えられる質問です。「明日の17時までに資料を作れますか」「打ち合わせの場所は○○会議室ですか」など、二者択一によって素早く相手の答えを引き出すのがクローズドクエスチョンとなります。

 オープンクエスチョンは、相手に答えを考えさせる質問です。質問によっては硬直化した思考をほぐし、新たな気づきを生むきっかけともなります。特に「なぜ(Why)」を効果的に用いると、思考の深掘りになります。トヨタでは問題を分析する際、最低でも「なぜ」を5回繰り返す「なぜなぜ分析」を取り入れているそうです。

 クローズドクエスチョンは、相手に判断を仰ぐ質問です。イエスかノーだけではなく、選択を求めることもできます。オープンクエスチョンと比べて即決しやすい質問方法といえるでしょう。しかし矢継ぎ早にクローズドクエスチョンを繰り出すと、相手は問い詰められているように感じてしまう場合があるので、使い方に注意が必要です。

デキる部下はクローズドクエスチョンを使う

 オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンですが、どちらを使うかで相手の受け止め方が大きく異なる場合があります。たとえば、オープンクエスチョンばかりを使う部下は、判断を上司に丸投げにしていると思われてしまう可能性があります。「どうして」ばかりを繰り返したら、上司から「少しは自分で考えてくれ」と返された経験をもつ人も多いのではないでしょうか。

 デキる部下は、クローズドクエスチョンを効果的に使用します。「どうやって資料を作成すればいいのですか」ではなく、「プレゼンで使う資料に盛り込む内容は、こちらのメモに書いた3点でよろしいですか」と質問します。認識が合っていれば「その3点でいいよ(イエス)」と答えればよいだけですし、間違っていれば「いや、その3つ目はいらない(ノー)。その代わり、予算感について盛り込んでくれ」とノー+αで答えられます。

 「どうやって~」と投げかけられた場合、上司はどのような資料にするかを一から考えなければなりません。つまりクローズドクエスチョンを使うように心がければ、コミュニケーションだけでなく、お互いの業務の効率が高められます。同時に、部下は自分の頭で考えるようにもなるでしょう。

 しかし、オープンクエスチョンがつねに悪いわけではありません。前述の通り、オープンクエスチョンには考えを深めるメリットがあるので、自分に問いかける場合や、ブレーンストーミングで相手の意見を引出す場合には有効な質問方法です。

 デキる人は、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの違いを理解し、適宜使い分けています。自分自身にはオープンクエスチョンを投げかけて考えを深め、他人にはクローズドクエスチョンを投げかけ、自分の判断を示すとともに素早く答えを引き出しているのです。

部下がクローズドクエスチョンを使えるようにする育成法

 クローズドクエスチョンを部下が使うと、上司は部下の成長具合を判断しやすくなります。部下の考えや選択の妥当性から、どのような思考で答えを導き出したかという背景も想像できるでしょう。さらに部下へのフィードバックも的確になるため、成長スピードが速くなります。

 これがオープンクエスチョンで「どうしたらいいですか」「いつまでにやればいいのですか」としか聞かない部下であれば、成長を引出すフィードバックを与えることが困難です。まずは部下がどういう思考を辿ったかを知るための質問が必要になります。

 そこで「どうやればいいと思うか」「いつまでにやるべきと考えるか」と反問して、部下に考えさせましょう。その答えは、部下のわからないことを見つける糸口になるかもしれません。

 デキる人は、上司、部下を問わずにオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを効果的に使い分けています。しかし最初は誰もが「どうしたらいいですか」のオープンクエスチョンがスタート地点です。そんなオープンクエスチョンで問いかけられたときは、相手の成長を促すという視点で切り返しのオープンクエスチョンを考えましょう。

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【参考書籍】
Shin『コピー1枚とれなかったぼくの評価を1年で激変させた 7つの仕事術』ダイヤモンド社

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大福 汁粉/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

塾講師、マーケ系情報コンサル等を経てフリーライターへ。企業のオウンドメディア、英語学習サイト、ニュースサイトを中心に執筆している。

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