2016.11.02 (Wed)

朝礼ネタ帳(第63回)

スタバに学ぶ、顧客に嫌われないツイッター運用術

posted by 野中 圭介/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

 スターバックスコーヒーのTwitter(以下、ツイッター)は、国内企業アカウントとしては最大級の約300万人のフォロワーが登録しています。その一方で、これまでに大きな炎上騒ぎが起きたという話もありません。他の企業にとっても、手本となるアカウント運用だといえるでしょう。 
 
 同社のツイートは、特別突飛なことをしているわけでもなく、そこでしか得られない情報があるわけでもありません。しかし、明確なコンセプトが設定されています。

商品よりも、商品によって得られる「時間」をアピール

 日本でツイッターが開始されたのは2008年のことですが、スターバックスのアカウントが作成されたのは2010年のこと。ツイッターの運用体制を固めるため、しばらくは非公開状態にありましたが、翌年の東日本大震災における情報発信のため、2011年3月16日にツイートを開始しました。

 ツイートの内容は、新商品情報や既存商品の告知がメインですが、商品の「宣伝」というよりも、スターバックスの商品によって得られる「時間」を推している点が特徴です。

 たとえば新商品の「ネクタリン ピーチ&クリーム ティー」のツイート内容は「ひんやりした冷たさが心地いい秋風にあたりながら、トロンとしたネクタリンの甘みが広がるネクタリン ピーチ&クリーム ティーを。体が少しずつ温まっていくような、ホッとする時間。」というものでした。

 また、スイーツメニューのメイプルクリームドーナツは、「メイプルの香りと優しい甘みが口いっぱいに広がる、メイプルクリームドーナツ。もちもちの生地の中には、メイプルシロップを使ったなめらかなクリームが。少しがんばった日の、ご褒美に」というものでした。単に商品にスポットを当てるのではなく、スターバックスの商品とともに過ごすコーヒーブレイク、ティーブレイクの時間をアピールしているのです。

 もう1つの特徴としては、アカウントのツイート数が非常に少ない点もあります。10月25日時点での層ツイート数は約2,500ツイート。これは日本マクドナルドのアカウントの約6,000ツイート(アカウント開設は2010年8月)、ミスタードーナツの約20,000ツイート(同じく2010年8月開設)とくらべても少ない数字です。それでいてフォロワーはスターバックスの方が圧倒的に多くなっています。

 控えめな内容のツイートとツイート回数が、スターバックスの店舗の落ち着いた雰囲気と合致し、ツイッターユーザーからの支持を受けているのかもしれません。

なぜ公式LINEアカウントを公開しないのか

 スターバックスは2015年、日経デジタルマーケティングによる「第4回ソーシャル活用売上ランキング」で1位になり、ソーシャルメディアを上手く売上に活かしている企業として知られるようになりました。300万人フォロワーの影響力は非常に大きく、ツイッターで話題になった商品は、多いときは予測の2~3倍の売上を記録し、品薄状態になることもあるといいます。

 しかし、2016年の「第5回ソーシャル活用売上ランキング」では10位に転落しました。上位にランクインした企業の多くがLINEの活用を進めたのに対し、スターバックスは公式アカウントを公開していないことがランクダウンの要因となったようです(期間限定では公開している)。

 とはいえ、スターバックスが公式LINEアカウントを公開しないのは「敢えて」かもしれません。

 スターバックスはLINEだけでなく、テレビCMやチラシなどの広告も基本的には行なっていません。スターバックスが重要視する「くつろぎ」「居心地の良い空間」が伝えられるツイッターのようなSNSに限って運用していると予想されます。

 SNSの種類も増え、その対応に四苦八苦している企業も多いかもしれませんが、なんでもかんでも手を出すよりも、スターバックスのように企業の良さが出せるSNSに選択・集中して宣伝活動を行うというのは、今の時代に賢い手段といえるでしょう。

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野中 圭介/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

野中 圭介/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

東京在住。ライター歴10年。

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