2017.04.28 (Fri)

朝礼ネタ帳(第86回)

オフィスでも起こりうる「エコノミークラス症候群」

posted by 風間 梢

 オフィスでデスクワークばかりしていると、つい長時間座りっぱなしになってしまうことも多くあります。そんな時に気をつけたいのが「エコノミークラス症候群」です。

 長時間同じ体勢でいることで、足の静脈に血栓(血のかたまり)ができ、それが血流に乗って移動することで、肺の動脈を詰まらせてしまう病気です。飛行機による長距離移動の際に発生するケースが多く、「旅行者血栓症」「ロングフライト血栓症」と呼ばれることもあります。

 ですが旅行以外でも、たとえば同じ体勢を取り続けるオフィスでも、発症する危険性は考えられます。オフィスでエコノミークラス症候群にならないためには、どのようにすれば良いのでしょうか?

息苦しい、胸が痛い……エコノミークラス症候群かも?

 エコノミークラス症候群の引き金となるのは、脚の静脈内にできる血液の塊「血栓」です。国立循環器病研究センター循環器病情報サービスによれば、椅子に長時間座るなど、ずっと同じ姿勢でいると、脚の血流が滞って、血が凝固し、血栓になるケースがあります。この血栓が血液の流れによって肺まで流れ着き、肺の動脈を詰まらせてしまう恐れがあるのです。

 同サービスによれば、エコノミークラス症候群を発症すると、息苦しさを感じるケースが多いといいます。また、肺動脈の血液がせき止められることで、息を吸う時に胸が痛くなったり、心臓から流れる血液量が減って、血圧が低下することによる失神やショック症状の恐れもあるといいます。症状が重い場合は、突然死することもあるようです。

 エコノミークラス症候群には初期症状があります。たとえば、呼吸困難、胸の痛み、不安感、冷や汗、失神、動悸、発熱、咳、血痰などです。特に多いのは呼吸困難で、73%の患者が1回以上の発作を起こしています。また、53%が胸の痛みを訴えており、さらに27%は失神するケースもあります。(JaSPER[肺血栓症研究会]調べ)。

 治療方法については、症状が軽い場合は点滴などで血栓を溶かせるといいますが、症状が重い場合は、外科手術によって血栓を取り除くケースもあるといいます。

まずは脚を動かすことが重要

 エコノミークラス症候群で苦しまないためには、どうすれば良いのでしょうか。予防法のひとつに、「運動」があります。

 一般社団法人日本循環器学会は、2016年の熊本地震で被災した人に向けて発表したエコノミークラス症候群の予防法として、下肢の運動を挙げています。脚を動かさないと、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用が弱まり、血液の流れが遅くなり、血液が溜まりやすくなるとのことです。

 とはいえ、オフィスで運動はなかなかできないものです。座ったままで行える対策としては、足首のストレッチや、ふくらはぎのマッサージなどがあります。一般財団法人 宮城県成人病予防協会によれば、足首を回したり、つま先を伸ばしたり立てたりする動きを5~10回程度繰り返し、両手でふくらはぎを揉みほぐすようにしながら、下から上に向かって数回さすることでも、予防効果があるといいます。

 水分のこまめな補給も大事です。日本循環器学会によれば、水分が不足すると、血液がドロドロになって、固まりやすくなるそうです。

“ストッキング”がエコノミークラス症候群を防ぐ?

 こまめに歩いたりストレッチの時間をとったりするのが難しい場合は、弾性ストッキング(または圧迫ストッキング)と呼ばれる特殊な靴下を着用するという手段もあります。これは太腿、ふくらはぎ、足首と部位ごとで着圧を変えることによって、足全体の血行をサポートするものです。

 東日本大震災や熊本地震の際には、日本静脈学会に所属する医療品メーカーによって、同じ姿勢でいることの多い避難所や車中泊などの被災者を中心に、支援物資として配布されました。

 ストッキングという名称ですが、男性用の製品も発売されています。長めの靴下のようなデザインのものもあり、オフィスで着用しても問題ないでしょう。

 血管をはじめとする循環器は、最もストレスを受けやすい臓器のひとつだといわれています。座りっぱなしでいることが多く、かつ仕事でストレスを感じることも多いオフィスでは、エコノミークラス症候群のリスクは軽視できません。

 外回りではなく内勤を業務のメインとする方は、万が一のことが起こらないよう、まずは足首のストレッチから始めてはいかがでしょうか。

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風間 梢

風間 梢

フリーライター。企画、人事、ECサイト運営等を担当したのちに独立。現在は就職、流通、IT、観光関連のコラムやニュース等を執筆している。

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