2018.03.06 (Tue)

朝礼ネタ帳(第127回)

潜在需要の掘り起こし方を、オンデマンド保険から学ぶ

posted by 地蔵 重樹

 山や海、旅行、ドライブ、スポーツなどのレジャー中に、デジタルカメラやアクションカメラ(ウェアラブルカメラ)で撮影を楽しみたいが、落下や浸水による故障を不安視する人も少なくないでしょう。損害保険会社の携行品損害特約でカバーするという考えもありますが、加入手続きの煩わしさに加え、1日単位といった短期間で契約できるものはそれほど多くありません。

 しかし、手続きの煩わしさを解消し、短期間の契約も可能な損害保険サービスが日本で登場しました。それが「Warrantee Now(ワランティー・ナウ)」です。

煩わしい加入手続きと割高な保険料を軽減

 Warrantee Nowは2017年11月よりサービスを開始。デジタルカメラやテレビ、デジタルレコーダーに加え、冷蔵庫、洗濯機、エアコンといった生活家電にも対応した損害保険サービスです。申込み手続きは、運営会社Warranteeが提供するスマートフォンアプリから行います。保険引受会社は、東京海上日動、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損害保険という体制になっています。

 1日単位から、というように契約期間をアレンジできる損害保険サービスは、オンデマンド保険とも呼ばれ、海外ではさまざまなものが登場しています。

 オンデマンド保険が登場した背景には、日常生活では頻繁に使わない製品のために保険会社へ申し込みに行くのは煩わしい、あるいは短期間利用するだけなのに年間の保険料を払うのは割高だ、といった理由で加入を控えていた層の取り込みがありました。

 Warrantee Nowの加入手続きは、スマートフォンアプリから該当する製品を選択した後、自分が所有している製品が故障してないことを証明するために5秒間の動画を撮影・登録することで申し込めます。保険料も、1日あたりおよそ数十円程度(製品により異なる)とリーズナブルな点が特徴です。保険プランも複数用意されており、「故障、破損、水漏れに対応」「故障のみに対応」「破損と水濡れに対応」といった中から選べます。保険の対象は、自然故障については発売後3~5年の製品、破損・汚損・水濡れについては発売後10年までの製品です。

 契約した製品が故障した場合は、保険金が支払われるのではなく、提携先の修理業者により修理されるか、修理が不可能と判断された場合は同等の中古品か新品と交換という補償内容になっています。

 保険に加入できる商品はスマートフォンアプリのデータベースにある製品のみとなっていますが、データベースには65万機種の製品が登録され、今後も登録を増やしていく予定とのことです。

別分野のアプリがオンデマンド保険を実現

 Warranteeは、家電製品の製品保証書をスマートフォンで撮影し、クラウド上で製品保証の有効期限などを把握できるサービスや、製品の修理・廃棄などを代行するサービスを展開している企業でした。

 そこで蓄積されたデータベースと代行サービスを、損害保険サービスとリンクさせています。さらに、スマートフォンをプラットフォームにすることで潜在需要を掘り起こせるという発想にたどり着き、結果的に東京海上日動などとの協業を実現しました。

 Warrantee Nowは、保険会社へ出向かずに日割りで契約できる「言われてみれば欲しかった」というような損害保険サービスです。Warrantee Nowが成功モデルとなれば、手続きや料金体系が発展のネックとなっていた業界にとっては希望となるかもしれません。

【関連記事】
http://www.wnow.jp/
https://www.warrantee.jp/pages/press_20171101.pdf

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地蔵 重樹

地蔵 重樹

フリーライター。ニュースサイト、オウンドメディアなどのWebコンテンツや、書籍のライティングを行う。著書に『〈アウトライン記述法〉でA4一枚の文書がサクサクつくれる本』(日本実業出版社)などがある。

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