2016.9.12 (Mon)
社員のモチベーションを高めるヒント(第15回)
タイプ別、従業員のやる気を引き出す4つのポイント2017年3月、株式会社キャリアデザインセンターが「モンスター新人」に関する調査結果を発表しました。
「モンスター新人」とは、上司が困ってしまうような行動を取る新人のことを指す言葉です。調査結果によれば、多くのビジネスパーソンが、新入社員に対して価値観の違いや世代の違いを実感しているという結果となりました。
しかし、若手とベテランで価値観が違うのは、育った時代が異なるためあり得ることです。違和感を抱いているばかりでは、世代を越えて、上司と部下の信頼関係を築くことはできません。
今回はこの調査結果をもとに、価値観の合わない新入社員をどう教育すれば良いのかを考えてみます。
調査の結果を見ると、「新入社員と価値観や世代の違いを感じたことはありますか?」の設問に、約7割が「はい」と回答しています。
価値観の違いを感じた具体的なエピソードとしては、「上司の送別会を欠席してプライベートの飲み会に行き、翌日体調不良で休んだ」、「仕事に関する指摘をしたら、数時間後に別の上司にLINEで『あの指摘は人権侵害です!ありえません!』と抗議文を送っていた」というようなものが挙げられています。
このほかにも、「『今日で辞めるので、上司さんには言っておいてください』とLINEが送られてきた」、「『明日雨なので休んでいいですか?』と言われた」、「本人が担当の仕事なのに『これ、やってもらっていいですか』と言われたことがある」といった回答もありました。
全体的には「やる気がなさそう」「目上の人をナメている感じ」という声が多く見られたといいます。この調査結果のように、もしかしたら、新人に対して同じような感情を抱いている人も多いかもしれません。
一方で、「後輩・部下を持ってよかったと思ったことはありますか?」の設問には、全体の6割が「はい」と回答しています。理由としては、「自分が異動する時に、後輩が号泣してくれた」、「入社当時からずっと見てきた後輩が社内の賞を受賞している姿を見て、思わず涙が出そうになりました」といった回答がありました。
つまり、最初は世代や価値観の違いはあれど、指導していくことで新人も徐々にビジネスマンとして成長し、上司と部下の間に信頼関係ができていく、ということがいえそうです。
さらに、新人を教育することで、自分自身を見直し、成長するきっかけとなった、と回答した人もいました。「教えることで、その仕事の何が大切なのかを改めて実感できた」、「過去に厳しく指導してくれた上司に感謝できた」とのことです。
指導することは、部下が仕事を学ぶためだけにあるのではありません。仕事を教えるためには、自分自身が仕事を深く理解することや、難しいことを分かりやすく伝えるスキルが必要です。部下が成長するだけでなく、上司が成長する機会でもあるのです。
今回のアンケートでは、「自分が新人だった頃のエピソード」という設問もありました。そこには「先輩に仕事を手伝ってもらっているのに、自分は寝ていた」、「仕事が終わらないまま飲みに行ってしまい、休日に先輩に対応してもらった」、「同僚とチャットで上司への悪口を言い合っていたら、誤って上司に直接送ってしまった」といった失態が挙げられていました。誰しも新人の頃は、先輩に迷惑をかけていたのです。
新人の価値観を理解し、受け入れることは、簡単なことではないかもしれませんが、最初から相手の意見や考えを頭ごなしに否定することだけは避けておきたいところです。信頼関係を築くことができなければ、部下も上司の意見や考えを受け入れることもないでしょう。
過ごした時代が違えば、価値観に違いが表れるのは当然のことです。従来と価値観が違うということは、裏を返せば、これまでにない新しい価値観を持っているとも考えられます。
世代が違うからという理由で若い世代の価値観を拒むのではなく、まずは違いを受け入れて、組織の一員として持つべき価値観を説明し、相互理解を深めることが大切です。新人だった頃の生意気だった自分を思い出し、やさしく接してみましょう。