2024.09.24 (Tue)
理想的な会社の在り方とは(第69回)
落雷がPCを壊す!?「雷サージ」はどう防げば良いのか
轟音とともに突然やってくる「雷」(かみなり)は、雷サージという過電圧・過電流を呼び起こし、PCなど電子機器に被害を与える可能性があります。被害を防ぐ方法を紹介します。
関東地方で落雷が増加中
2024年の夏は、関東地方で非常に多くの落雷が発生しました。
気象会社のフランクリン・ジャパンによると、2024年7月の関東地方(1都6県)における落雷の観測回数は約72,000回で、2023年までの10年間の平均値である約49,500回を大きく超えました。特に東京都では、平均よりも4倍高い数値を記録しています。8月についても、19日の時点で過去10年の平均値を超える約54,900回の落雷があったといいます。
気象庁によると、落雷が最も多いシーズンは8月であるため、9月以降は徐々に発生頻度が落ちることが予想されます。しかしフランクリン・ジャパンのデータによると、2023年9月の落雷数は、統計開始以降2番目に高い数値だったといいます。2024年の7月、8月に多くの雷が発生しているため、9月以降も落雷が度々発生する可能性は十分に考えられます。
2km以内の落雷で「雷サージ」の悪影響を受ける恐れがある
落雷は、ビジネスにも悪影響を及ぼす恐れがあります。特に「雷サージ」が発生した場合、オフィスや自宅で使用しているPCやテレビ、電話機やルーターなどの電子機器が使えなくなる恐れがあります。
雷サージとは、電柱や電線、建物や木などに落雷が発生した際、その周辺に存在する通信ケーブルや電源ケーブル、電話線に一時的に発生する、過剰な電圧・電流のことを指す言葉です。一般財団法人全国自治協会が公開している「公共施設のための雷害対策ガイドブック」という資料では、「建物や設備2km以内に落雷があると、雷サージによって何らかの影響を受ける可能性がある」としています。
この雷サージが、前述のケーブルを伝って室内に入り、コンセントや電話のモジュラージャックに電源を接続しているPCなどの電子機器に到達することで、機器が焼け焦げるなどの故障が発生し、使用できなくなってしまう恐れがあります。PC本体だけでなく、PCに接続されているHDD(ハードディスク)にも被害が及ぶと、重要な機密データが喪失してしまう可能性も考えられます。
先に挙げた「公共施設のための雷害対策ガイドブック」の資料によれば、パソコンなどの情報機器やPBX(電話の構内交換機)、火災報知器などの防災機器は、デジタル化・省エネ化が進むことにより機器の耐圧が低くなり、雷サージの被害を受けやすくなってきているといいます。
空が「ゴロッ」としたら、ご用心
こうした雷サージによる電子機器へのダメージを防ぐためには、どうすれば良いのでしょうか?
PCメーカーの富士通では、雷が聞こえた場合は、現在使用中のデータを保存し、PCの電源をOFFにした後、電源ケーブルやLANケーブルなど、外部と繋がるケーブルをすべて取り外すことを呼びかけています。たとえ電源がOFFの状態でも、各種ケーブルが繋がっている場合は、故障することがあるといいます。
家電メーカーのパナソニックでは、電源ケーブルの抜き差しができない場合は、雷サージ保護機能付きの電源タップを利用することも推奨しています。保護機能付きの電源タップは、雷サージによる過剰な電流を吸収する素子が内蔵されているため、雷サージが発生したとしても、タップに接続されている電子機器への悪影響が防げるといいます。
オフィスの電源タップには、この雷サージ保護機能付きの電源タップが標準で搭載されているケースが多く見られますが、自宅でテレワークをしている際は、導入している家庭はそこまで多くないかもしれません。PCやルーターなど、故障すると業務が続けられなくなる機器に接続することで、不測の事態を避けることができるでしょう。
8月という、最も雷が発生しやすい季節は過ぎましたが、日本では季節を問わず落雷が発生しています。気象庁によると、冬は日本海側で落雷が発生しやすく、しかも冬は大地へ流れる電流が夏よりも大きいため、夏よりもさらに大きな被害を及ぼす恐れがあるといいます。
空が“ゴロっ”としたら、ご用心。雷サージの悪影響を受け、ビジネスを停止させないためにも、企業としていざという時の対策を講じておくべきでしょう。
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