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2024.03.29 (Fri)

理想的な会社の在り方とは(第51回)

4割の企業は、従業員のメンタルヘルスを放置している?

 従業員のメンタルヘルスの不調を放置すると、従業員の休職・離職が増え、人手不足に陥る恐れがあります。どのように対策すべきなのでしょうか?

若手従業員の多くは、心の病を抱えているかもしれない

 ビジネスパーソンは誰しも、仕事を続ける中で何かしらのストレスは抱えるものです。しかし、ストレスを抱えすぎた場合、心身に異状をきたし、働き続けられない恐れがあります。

 従業員がメンタルヘルスの問題を抱えている企業は、決して少なくないようです。公益財団法人日本生産性本部が2023年11月に発表したメンタルヘルスに関するアンケート調査によると、「自社における『心の病』が増加傾向にある」と回答した企業の割合は、前回調査(2021年)の22.9%から、45.0%へと大幅に増加。同時に、「『心の病』が減少傾向」にあると回答した割合は、前回調査の11.1%から5.9%に下落しています。

公益財団法人日本生産性本部 第11回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果概要より引用

 年齢別で見ると、10~20代で「『心の病』を抱える」と回答した割合が43.9%と最も多く、前回調査の29.0%から10ポイント以上も増加しています。以降、30代(26.8%)、40代(21.3%)、50代以上(7.9%)の順で続きます。

 同調査ではこの結果について、コロナ禍で入社した若手層が、テレワークで対人関係や仕事のスキルを十分に積み上げることができず、かつ2023年5月の新型コロナウイルスの2類→5類移行の影響により、テレワークからオフィスへの出社が求められたことで、職場が若手層の大きなストレスになっている可能性があると分析しています。

4割の企業は、従業員のメンタルヘルスを放置している?

 メンタルヘルスを抱えた従業員に対しては、適切なケアを行う必要があります。放置した場合、当該従業員は出社できなくなり、最悪の場合は退職という選択肢を選ばざるを得ない事態に追い込まれる恐れがあります。

 厚生労働省が2023年8月に発表した「令和4年『労働安全衛星調査(実態調査)』の概況」という資料によると、過去1年間(2021年11月~2022年10月)にメンタルヘルス不調により、連続で1カ月以上休業した労働者、もしくは退職した労働者がいた事業所の割合は13.3%に及びます。

 一方で、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.4%です。つまり、4割弱の事業所は、従業員に対するメンタルヘルスケアを行っていないことになります。こうした企業では、社内に不調者があらわれたとしても、会社として何も手を施せない可能性が高いといえます。

講じるべきメンタルヘルス対策は、業界によって異なる

 しかし、ひとくちにメンタルヘルス対策といっても、具体的にどのような対策を実施すべきなのでしょうか?

 厚生労働省が公開している「メンタルヘルス対策のポイント」という資料では、ストレスやメンタルヘルス不調の要因は業種や職種によってさまざまであり、その特性に応じた対策を行うべきとしています。

 たとえば「IT産業」では、同業界の精神障害の労災認定の原因として「長時間労働」が主たる要因になっているため、労働時間を抑えることがメンタルヘルス対策につながるとしています。この長時間労働は、トラブル発生時の緊急対応や、急な仕様変更への対応、無理のある納期・予算など、一般従業員では解決しづらい要因も影響しているとも指摘されています。

 解決策としては、従業員の心身の健康を確保できるよう、長時間労働を削減するための話し合いを労使間で進めるべきとしています。

 資料では、実際の企業における取り組み事例も触れられています。たとえばある企業では、従業員の睡眠時間を確保し、疲労の蓄積を防止するために、 退社から翌日の出社まで一定時間以上確保する「勤務間インターバル制度」を、労使間での話し合いによって導入したといいます。

 外食産業の場合は、スタッフの立場によってストレスやメンタルヘルス不調の原因は異なるといいます。たとえば店長の場合は、売上・業績や休日・休暇の少なさ、調理スタッフの場合は、メンバー同士の暴行や暴力、上司とのトラブルなど、対人関係の問題が多い傾向があるとのことです。

 解決策としては、調理スタッフは職場におけるハラスメント対策の徹底、店長は多面的な役割に取り組み、一般従業員の負荷を軽減することが重要といいます。

 ある大手外食産業では、本部の管理職のみを対象としてきたハラスメント防止研修を、店舗の店長にも実施。さらに、ハラスメント専用の相談窓口を人事部内に設け、労働組合による店舗巡回時の従業員ヒアリングでもハラスメントの訴えを把握する体制を構築し、店舗のメンバーが相談しやすい環境を複数のルートで整えているといいます。

 メンタルヘルスの不調は、他人からも自分でも気付きにくいものです。発症後に対策を取れる体制を構築することはもちろん、そもそも発症しないような職場環境を作ることで、従業員は心身的な理由から休んだり離職することなく、健康的かつ意欲的に働くことができ、それが良い業績へと繋がっていくはずです。まだメンタルヘルス対策を進めていない企業は、早急に導入すべきでしょう。

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