2024.09.24 (Tue)

理想的な会社の在り方とは(第68回)

企業の6割が「DX人材が大幅に不足」。解消法はどこにあるのか

「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」に取り組む一方で、DXを推進するための人材が不足しているという企業も多いかもしれません。どうすれば解消できるのでしょうか?

「DX人材が大幅に不足している」過去最高の62.1%

 デジタル技術を活用して企業のビジネスや社会全体に変革をもたらす取り組み「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」について、多くの企業が推進したいと考えていることでしょう。

 しかしながら、IPA(情報処理推進機構)が2024年6月末に発表した「DX動向2024調査」という資料によると、現在、DX推進のための人材が深刻化しているようです。

 IPAでは2021年度より、国内企業に対し、DXを推進する人材の過不足に関する調査を行ってきましたが、2023年度調査で「(DX人材が)大幅に不足している」と回答したのは全体の62.1%で、2021年度調査の30.6%を大きく超える結果となりました。「大幅に不足」が過半数を超えるのは、調査開始以降、初となります。

 「どのようなスキルを持ったDX人材が不足しているのか」という問いについては、DXの目的設定から導入~効果検証まで、関係者をコーディネートしながら推進する人材「ビジネスアーキテクト」が41.9%で最多。2位には、データを活用した業務変革や、データの収集・解析をする「データサイエンティスト」が続きました(19.1%)。

 資料ではビジネスアーキテクトの人材が不足していることについて、DX推進は社内・社外の関係者の“巻き込み”が不可欠であることから、その必要性の高さについて「納得できる」としています。一方で、かつデータ活用やテクノロジー、セキュリティ、ビジネス変革のスキルなど、多岐にわたる知識が求められることもあり、こうした人材を確保するのは容易ではないとしています。

人材不足の解消のためには「理想のDX人材像」が必要

 このようにDX人材が不足している現状を打開するために、企業はどのような取り組みを行えば良いのでしょうか?

 資料によると、「DXを推進する人材の獲得・確保の方法」で最も多かった回答が「社内人材の育成」(59.1%)で、続いて「経験者・外部採用(中途採用)」(45.0%)、「既存人材(他部署からの異動を含む)の活用」(43.9%)と続きます。

 一方、DX人材の獲得・確保の「課題」に関する問いでは、「魅力的な処遇が提示できない」(41.3%)が最も高く、次いで「戦略上必要なスキルやそのレベルが定義できていない」(39.9%)、「採用したい人材のスペックが明確でない」(33.9%)と、そもそも自社がどんなDX人材を求めているのか、その定義が難しくて準備ができていないという、採用の前段階について課題を抱く声もあがりました。

 人材像を設定している企業と、そもそもその人物像を検討すらしていないという企業では、採用面で大きな差があるようです。

 DX推進人材の過不足に関する調査結果では、「人物像を設定している」と回答した企業では、「人材が大幅に不足」が48.6%だったのに対し、「人物像を設定していない」企業は、「人材が大幅に不足」が68.3%に拡大しています。ちなみに、「人物像を設定中」の企業は68.0%、「検討中」の企業も63.3%と、設定していない企業と同60%を超えた高い数値を記録しています。

 この結果についてIPAでは、人材像を設定している企業は、自社に必要な人材が明確化されているため、人材育成や獲得に積極的であり、かつ漠然とした人材不足を認識するのではなく、必要な人材の育成・獲得の取組ができているとしています。

 逆にいえば、自社にどのようなDX人材が必要なのか、基準が明確でなく、行き当たりばったりで人材を探している企業は、たとえ良い人材を見つけたとしても、採用を辞退されたり、入社してもすぐに退職するという恐れも考えられます。

まずはDX人材を受け入れる体制づくりからスタートしよう

 IPAでは本資料のまとめとして、DX を推進する人材が不足していることは事実ではあるものの、人材不足を嘆いているだけでは解決しないとしています。

 人材不足の解決のためには、自社にとって真に必要な DX を推進する人材がどのような人材なのか、自社の DX 戦略に基づき、その人材により解決しようとする具体的な課題を明らかにした上で、様々な手段による人材の獲得や育成など、必要な取り組みを実践することを、企業に対して期待しています。

 DXで自社のビジネスをさらに成長させていくためには、まずはそのDX環境を構築するための人材が欠かせません。自社のビジネスをDX化するためにはどんな人材が必要なのか、その人材が自社で働き続けるためにはどんな職場環境が必要なのか、DX人材を受け入れるための体制づくりが、企業には求められているといえるでしょう。

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