2024.01.24 (Wed)
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2024年12月アナログ無線機が使用不可に!電波法改正のポイント
電波法の改正により2024年12月からアナログ無線機が使用できなくなります。アナログ無線機を使用している企業や自治体は、どうすれば良いのでしょうか?
2024年12月から、アナログ無線機が使用不可に!
作業現場、コールセンター、イベント会場、飲食店……これらの現場には、スタッフがトランシーバーやインカムなどの「無線機」を使用する点が共通します。無線機は、細かい操作をすることなくスタッフ同士で連絡が取れるうえ、基地局を経由せずに通信できることから、携帯電話が普及した現在も、多くの現場で使用されています。
この無線機ですが、電波法の改正により、2024年12月1日から一部の機種が使用できなくなります。
使用できなくなる無線機は、「350MHz帯」と「400MHz帯」の電波を使用するアナログ無線機です。アナログ無線機でも、150MHz帯の電波を使用する機種については、引き続き利用が可能です。
使用不可の無線機を使用した場合、電波法違反として1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられます。加えて、公共性の高い無線通信を妨害した場合は、5年以下の懲役または250万円以下の罰金が科せられます。
なぜアナログ無線機は使えなくなるのか?
しかし、なぜこれまで使用が許可されてきたアナログ無線機が、2024年12月から使用できなくなるのでしょうか? その背景には、アナログ無線機が抱える特有の問題があります。
無線機には、大きく分けて「アナログ方式」と「デジタル方式」の2つの方式があります。アナログ方式の無線機は、音声の波をそのまま電波に乗せて送るもので、障害物に強く入り組んだ地形でも電波が届きやすいというメリットがあります。バッテリーの持ちも良いことから、災害時の通信手段などにも利用されています。
一方のデジタル方式の無線機は、音声をデジタルデータに圧縮し、電波に乗せて送信します。アナログ無線機と比べると、一度の送信でよりたくさんの音声情報が送れる、音質がクリア、より遠くまで電波を飛ばせる、通信内容が漏れないよう暗号化できる……など、非常に多くのメリットを有します。そのため、国は積極的にデジタル無線機の使用を推進しています。
さらに、電波はテレビやラジオ、消防や救急、鉄道無線などさまざまな用途で使用されており、今後もデータ送信など、電波の利用ニーズが高まることが予想されています。これらの理由から、350MHz帯と400MHz帯のアナログ無線機の使用禁止が決定されました。
このほか、「スプリアス」に関するルールも変更されています。スプリアスとは、トランシーバーやコードレス電話、PHS機器から放たれる電波のうち、所定の周波数を外れた不要な電波で、電波障害の原因となるものです。
新しいスプリアス規格(新スプリアス規格)の機器であれば、これまで通り使用できますが、古いスプリアス規格(旧スプリアス規格)の機器は、2022年12月から使用不可となる予定でした。ただし、この措置については総務省から延期が発表されており、当面の間は旧スプリアス規格の機器の使用は可能です。
※初出時、旧スプリアス規格の使用停止に関する記述に誤りがありました。上記の通り変更いたします。
代替手段として「IP無線機」「IP無線アプリ」「クラウドPBX」がある
アナログ無線機の使用禁止に伴い、これまで同機器を使用していた企業は、各地域の通信局に対し、使用停止の手続きを行う必要があります。手続きの方法は、まずは総務省のホームページから「無線局停止届」の書類をダウンロードし、必要となる項目を記入のうえ、通信局へ送付します。
アナログ無線機の代替手段としては、デジタル無線機に買い替えるのが最も簡単な方法ですが、それ以外にも「IP無線機」を使う方法もあります。IP無線機とは、携帯電話回線を用いて通信を行う無線機で、通信範囲が広いというメリットがあります。使用の際には免許・資格を取得したり、基地局を開設する必要もないため、手間やコストも省けます。
別の選択肢としては、「IP無線アプリ」という選択肢もあります。IP無線アプリは、IP無線機と同様に携帯電話網を使ったデジタル通信で、スマートフォンにアプリをインストールするだけで運用できます。携帯電話網の通信可能エリア同士であれば距離や人数の制限なく通信できるうえ、専用の無線機を購入する必要もありません。音声通信以外にも、ライブ映像の配信や、音声をテキスト化する機能を備えたものもあります。
旧スプリアス規格を採用しているコードレス電話やPHSの代替手段としては、クラウドPBXを活用するのも一つの方法です。クラウドPBXは、クラウド上に設置したPBX(電話交換機)を活用することで、スマートフォンを内線端末として使用できるテクノロジーです。外出先でも会社宛ての電話をスマートフォンで受電したり、従業員同士がスマートフォンで内線通話することも可能になります。
2024年11月30日までは、アナログ無線機は使用できますが、12月1日以降も使い続けると電波法違反となり、罰則の対象となります。旧スプリアス規格の機器についても、今後は使用不可になる可能性があります。期日が近づいて慌てて準備をするよりも、今から余裕を持って備えておくのが良いでしょう。
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