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2023.12.21 (Thu)

理想的な会社の在り方とは(第39回)

2024年秋施行「フリーランス新法」で遵守すべきこと

 2024年秋に「フリーランス新法」という法律がスタートします。同法はフリーランスで働く人達の就業環境を整備する法律ですが、ビジネススタイルはどう変わるのでしょうか?

フリーランスは、企業から不当な扱いを受けている?

 2023年5月12日、フリーランスで働く人達の就業環境を整備する「フリーランス・事業者間取引適正化等法」という法律が公布されました。同法は「フリーランス新法」とも呼ばれ、2024年秋頃に施行される予定となっています。

 この法律が制定された背景には、フリーランスで働く人達が、企業と取引をする際において“不当な扱い”を受けているという事実が存在します。

 公正取引委員会が公開した「フリーランス新法の概要と施行に向けた準備の状況について」という資料によれば、フリーランスが直近3年間の取引で、39.2%が依頼者である企業側から「納得できない行為」を受けた経験があると回答、44.4%が取引条件や業務内容が書面やメールなどで十分に示されていないと回答しています。

 同資料では、フリーランスは個人事業者のため、“組織”である発注事業者(企業)から業務委託を受ける場合、取引上は弱い立場に置かれやすい特性があるとしています。そのため、発注事業者とフリーランスの業務委託に係る取引全般において、業種横断的な最低限の規律が必要としており、フリーランス新法の制定に至ったとしています。

フリーランス新法で変わる7つのポイント

 フリーランス新法では、フリーランスが安心して働ける環境を整備するため、「フリーランスと発注事業者(企業)の間の取引の適正化」と、「フリーランスの就業環境の整備」がメインテーマとなっています。そのため、法律の内容も、発注事業者がフリーランスに対して不当に扱うことを未然に防ぐ内容となっています。

 具体的なルールとしては、以下の7点が規定されています。

【1】書面等による取引条件の明示

 発注事業者は、フリーランスに対し業務委託をした場合における「業務の内容」「報酬の額」「支払期日」といった取引条件を、フリーランスに明示することが義務付けられました。

 そのため、たとえ昔から懇意にしているフリーランスと取引をする場合でも、口約束ではなく、書面を用意する必要があります。

【2】報酬支払期日の設定・期日内の支払

 発注事業者は、発注した物品等をフリーランス側から受け取った日から60日以内に報酬支払期日を設定し、フリーランスに対しその期日内に報酬を支払うことが義務付けられました。

【3】禁止行為

 発注事業者はフリーランスに継続的な業務委託をする場合、フリーランス側に責任がないにも関わらず、発注した物品を受け取らなかったり、発注時に定めた報酬額を減額したり、発注した物品を受け取った後に返品することが禁止されました。

【4】募集情報の的確表示

 広告などにフリーランスの募集に関する情報を掲載する際に、虚偽の表示や誤解を与える表示をすることや、内容を正確かつ最新のものに保つことが義務付けられました。

【5】育児介護等と業務の両立に対する配慮

 発注事業者はフリーランスに継続的な業務委託をする場合、フリーランスが育児や介護と業務を両立できるよう、フリーランスの申出に応じ、必要な配慮をしなければならないことが義務付けられました。

 配慮の具体的な内容としては、フリーランスが検診を受けるための時間を確保したり、就業時間を短縮することや、育児や介護と両立可能な就業日・時間を設定することなどが挙げられます。

【6】ハラスメント対策に係る体制整備

 発注事業者は、フリーランスに対するハラスメント行為に関する相談対応のための体制整備などの措置を講じることが求められます。

 ここでいう措置とは、従業員に対してハラスメント防止のための研修を行うことや、ハラスメントに関する相談の担当者を決めること、ハラスメントが発生した場合に、迅速に事実関係を把握することが含まれます。

【7】中途解除等の事前予告

 発注事業者がフリーランスと継続的に業務委託を行っている中で、中途解除したり、更新しない場合は、原則としてその30日前までに予告しなければならないことが義務化されました。

 なお、フリーランス新法の対象となる「フリーランス」とは、業務委託の相手方であり、かつ従業員を使用しない事業者のことを指します。そのため、従業員を使用しているフリーランスや、一般消費者を相手に取引をしているフリーランスは、フリーランス新法では対象外となります。

違反した場合は、企業だけでなく違反者も罰金!

 もし発注事業者が同法に違反した場合、公正取引委員会などが立入検査、勧告などを行い、従わなかった場合には50万円以下の罰金に処される恐れがあります。この罰金は、法人だけでなく違反行為者にも科せられる「法人両罰規定」となります。

 冒頭でも触れた通り、フリーランス新法の施行は2024年秋頃が予定されています。フリーランスを起用する機会が多い企業は、いまから準備を進めておくのが良いでしょう。

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