2024.03.29 (Fri)
理想的な会社の在り方とは(第46回)
2023年12月からスタート「アルコールチェック義務化」とは?
2023年12月より、白ナンバーの社用車についても、アルコール検知器を使用した酒気帯びの有無の確認が義務化されました。どのように検査を行う必要があるのでしょうか?
ストップしていた「白ナンバー車のアルコール検知器」がついに義務化
2023年12月1日より、一定台数以上の自動車を業務で使用する事業者に対し、アルコール検知器(アルコールチェッカー)を使用して、運転者の酒気帯びの有無を確認することが義務化されました(警視庁のサイト)。
今回のアルコール検知器の義務化は、業務で使用される自家用自動車(いわゆる白ナンバー車)の飲酒運転根絶を目的としたものです。2021年、千葉県八街市で白ナンバーの社用トラックによる、飲酒運転を原因とする死傷事故が発生しましたが、当時は白ナンバー車におけるアルコール検知器の酒気帯び検査は義務ではありませんでした。事故後、道路交通法の施行規則が改正され、白ナンバー車に対しても検知器による酒気帯び検査の義務化が決定しました。
同法の改正当初は、2022年4月より検査の義務化がスタートする予定でしたが、コロナ禍や世界的な半導体不足の影響によってアルコール検知器が不足していたため、警視庁が義務化の延期を発表していました。しかし、十分な数の検知器の流通が見込まれるようになったため、改めて2023年12月より、アルコール検知器による検査の義務化が決定しました。
アルコールチェックは「安全運転管理者」が行う
アルコール検知器による酒気帯びの有無の検査対象となる事業者は、乗車定員が11人以上の自動車を1台以上所有する事業者、もしくはその他の自動車を5台以上所有する事業者です。自動二輪車も対象となり、自動二輪車1台で自動車0.5台分としてカウントします。原動機付き自転車は対象外となります。
上記の条件に該当する事業者は、自動車の使用拠点ごとに、自動車の安全運転に必要な業務を行う者として「安全運転管理者」を選任します。安全運転管理者は、社内の交通安全教育や運行計画の作成、交代運転者の配置といった業務を担当します。
酒気帯びの確認も、安全運転管理者の業務のひとつとなります。安全運転管理者は運転前の運転者に対し、まずは目視で酒気帯びの有無を確認し、次にアルコール検知器による検査も行います。この確認は、運転後にも実施します。確認の記録は1年間保存する必要があります。確認記録は、パソコンで管理しても問題ありません。
使用するアルコール検知器については、「呼気中のアルコールを検知し、その有無またはその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する検知器」と定められています。特に機種の指定も無いため、先に挙げた条件を満たしているのであれば、安価なものであったり、事業所によって異なる機種を選択しても問題ありません。ただし、アルコール検知器は常時有効に保持することも、安全運転管理者の義務となります。
もし安全運転管理者が不在で確認が困難な場合は、副安全運転管理者など、安全運転管理者の業務を補助する者が確認を行っても差し支えはありません。
安全運転管理者を選任しなかったらどうなるのか?
もし事業所が一定台数以上の車を所有しているにも関わらず、事業所内で安全運転管理者を選任していない場合は、「安全運転管理者の選任義務違反」となり、50万円以下の罰金が科せられる恐れがあります。選任したとしても、警察署への届出を怠った場合、選任届出義務違反で5万円以下の罰金となります。
もちろん飲酒運転自体も罰則の対象です。酒気帯び運転(呼気中アルコール濃度が0.15mg/l~0.25mg/l未満)の運転者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金で、車両の提供者も同等の罰則を受けます。さらに、アルコールの影響で正常な運転ができない「酒酔い運転」の場合は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
ちなみに、緑ナンバーの社用車(旅客/貨物自動車運送事業者が扱うトラックやバスなどの車)に対するアルコール検査の義務化は、2011年よりスタートしています。つまり、この12月からは、社用車の多くがアルコール検査の義務化の対象になるということになります。
社用車による飲酒運転が発覚した場合、たとえ事故が発生しなくても、企業のイメージは大きく凋落することが予想されます。安全運転管理者を選任し、アルコール検知器によるチェックを徹底することで、そのような危険を未然に防ぐことになるでしょう。
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