2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2024.03.29 (Fri)

ビジネスを成功に導く極意(第62回)

市民と行政の間の溝を「シビックテック」が埋める

 「シビックテック(Civictech)」という言葉をご存知でしょうか。これは、市民(Civic)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせた造語で、オープンデータやオープンソースを活用し、市民が主体となって、公共サービスの改善や社会課題の解決に取り組むこと、およびそのテクノロジーのことを指します。

あのコロナ情報サイトも、シビックテックだった

 シビックテックは2000年代後半から世界各地で普及し始めましたが、その先駆けであるアメリカでは、2009年に非営利組織「Code for America」というシビックテックの団体が設立されました。同団体は、経験豊富なITエンジニアを行政機関に派遣し、エンジニアが積極的に、行政にITサービスを導入していく文化が形成されています。日本でも、「Code for America」の日本版であるシビックテックの団体「Code for Japan」が、2013年に設立されています。

 日本における、シビックテックの代表的な例が、東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトです。

 2020年2月、東京都の新型コロナの対策本部は、Code for Japanに対策サイトの製作を委託。すぐにエンジニアやデザイナーが集まり、わずか1日半でサイトを開設しました。同サイトはオープンソースとして公開されたため、全国の自治体でも同様の取り組みが広がり、有志のエンジニアによってデザインや機能の改良が度々図られました。

 もちろん、都道府県や市区町村などの自治体が、自分たちだけの力で社会を変えていくやり方も存在します。しかし、自治体の職員だけでは、労働力や知見に限りがあるため、社会問題の解決までに相当な時間を要します。

 そこでシビックテックによって、市民が自らテクノロジーを活用し、社会問題の解決に積極的に参加していくことで、自分たちの手で暮らしを素早く、効率的に変えていくことが可能になります。市民と行政の間にある”溝”を、シビックテックが埋めるようなイメージといえるかもしれません。

日本ではどんなシビックテックが利用されているのか?

 現在も日本の多くの自治体で、シビックテックを活用したサービスが導入されています。

 たとえば、千葉県千葉市などが導入している「My City Report」もその1つです。東京大学生産技術研究所など、複数の企業・組織が主体となって開発されました。

 My City Reportは、道路の陥没や施設の破損など、市民が街中で見つけた課題を、写真や位置情報と一緒に、My City Reportのスマホアプリから投稿するというものです。投稿内容は自治体の担当者が確認し、対応が完了した後、その対応内容をアプリ上で返信します。市内のさまざまなトラブルを、自治体のスタッフではなく、市民が代行するサービスですが、同時に市民が地域の行政活動に関わっていく機運を醸成することも狙っています。

 スマホを持っている市民であれば誰でも気軽に参加できる点が受け入れられ、すでに累計9,000人以上の参加者数を記録しているといいます(2021年1月時点)。さらに、市民からの積極的な情報共有により、自治体職員の業務効率化と経費削減にもつながっているとのことです。

 海外の都市で使われているサービスを導入するケースもあります。兵庫県加古川市では、2020年に日本で初めて、スペイン発のオープンソースの参加型合意形成プラットフォーム「Decidim」を導入しました。Decidimは、スペインのバルセロナや、フィンランドのヘルシンキでも使われています。

 Decidimでは、市が提案する政策に対し、市民が意見やアイデアを自由に投稿するプラットフォームで、これまで施設の愛称募集や河川敷の利用方法など、さまざまなテーマの議論に利用されました。アプリの利用には名前や住所などの登録は必要ですが、ニックネームでの投稿が可能です。投稿内容は、リアルタイムでアプリ上に表示されます。

シビックテックを使う人が増えるほど、その精度は高まっていく

 徐々に広がりを見せつつあるシビックテックですが、課題も存在します。それは、市内にデジタルに詳しい住民が少なければ少ないほど、シビックテックに参加する住民も少なくなるということです。自治体には、市民がデジタルに関する知見を高められるような機会を増やすことが求められます。

 たとえば石川県金沢市では、「金沢シビックテック推進協議会」という組織を設置し、市民向けのオープンデータ活用の講座や、市民とエンジニアのマッチングを行うなど、シビックテックを担う人材育成に力を入れています。デジタルに明るい参加者が増えるほど、シビックテックの精度も高まっていくことが期待できます。

 もちろんシビックテック無しで課題が解決できれば言うことはありません。しかし、地域で暮らす人たちの悩みや問題意識は、その地域で暮らす人たちが一番理解しています。日々の暮らしで気になったことや思ったことを、シビックテックを通じて地域に共有していくことで、暮らしはより便利に変わっていくことでしょう。

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