ビジネスを成功に導く極意(第23回)

アイディアが整理され、企画案がまとめやすいメモ術

posted by 高田 麗子

 「企画案を練るために、会議でアイディアを出し合ったときのメモを後日に見直したが、意味不明だった」という経験をしたことはないでしょうか。そのような場合は、メモが単語を羅列しただけのものとなっていることがあります。単語を羅列しただけのメモは、見返したときに、話し合った内容や浮かんだアイディアのディテールが抜け落ちている状態になっているため、企画案がまとまりにくいのです。

 アイディアが整理しやすくなるメモ取りのポイントを知れば、企画案をまとめる作業スピードの向上も期待できます。本記事では、企画案をまとめるためのメモの取り方におけるポイントを紹介します。

単語の羅列ではアイディアはまとまらない

 アイディアを出し合う会議で、自分の備忘録としてメモを取ると、「〇〇重要」や「〇〇検討」などの単語の羅列となり、なぜ重要か、どうして検討するのかといったことが思い出せなくなります。

 単語のみでは、自分が「なぜ」そう思ったかという重要な部分が抜け落ちやすいので、要所となる事柄に、主語と述語などを補足しておきましょう。またメモを取る際には、後で思い出しやすくなることを意識して、5W1Hのいつまでに(When)、だれが(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)などの疑問を解消するような主語、述語を添えたメモを取ります。

 主語・述語を加える以外にも、メモの冒頭には会議の日時と場所、参加者、議題など補足しておきましょう。後で見直すときに、記憶を手繰る情報が増えるので、思い出す時間を短縮できるヒントになります。

 これらに加え、サントリーやトヨタ、ロート製薬などのクリエイティブディレクターである小西利行氏が著書『すごいメモ。』で紹介している、アイディアを思い出しやすくなるメモの整理術を取り入れてみましょう。

 その1つが、メモ同士に矢印などの記号を添えて、関係性を分かるようにしておくことです。会議で、このメモの議題から、次のメモが提案されたなどの関係性を記号で記しておくのです。こうすると小西氏は後で、会議で思いついたアイディアを思い出しやすくなり、企画案の整理もしやすくなると述べています。それと同時に、いちばん重要と思ったメモに○を付けるなどすると、よりアイディアが整理されるそうです。小西氏は、このメモ術を実践することで、日産自動車や吉野家、ラーメン店の一風堂などのキャッチコピーやCM企画をまとめたことを著書で紹介しています。

メモ整理にはデジタルツールを活用

 思い出すメモを書く習慣が身についたたら、書き溜めたメモを整理する必要があります。ペンと紙に書いたメモは、そのままだと保管も大変ですし、後からの気づきを書き加える、案件を企業ごとにまとめるなどに手間がかかるでしょう。メモを加筆や修正、そしてアーカイブ化するなら、エバーノートやマイクロソフトのワンノートといった、デジタルメモ帳と呼ばれるアプリの活用をおすすめします。

 デジタルメモ帳はテキストだけでなく、ウェブサイトのリンクや画像、音声などの保存も可能です。企画案をまとめる際に、アイディアだけでなく、企画を練るための資料やヒントの備忘録としても活用でき、スマートフォンやパソコンなどでも利用できるので、さまざまな場所でメモの確認や編集を行えます。小西氏も、デジタルメモなら検索ができるので、必要なメモを探し出せるようになるとしています。

メモを工夫すれば仕事の質も向上する

 会議などでメモを取ることは、話し合ったことを忘れないという仕事における重要かつ基本の作業です。それを疎かにすると、アイディアを考えるときに無駄な労力を消費しなくてはなりませんし、仕事に抜けや漏れが発生しやすくなります。

 「たかがメモ」と怠らず、主語や述語を添える、メモ後の見直しを習慣化すれば、作業効率が改善されるだけでなく、仕事の質も向上するでしょう。

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高田 麗子

高田 麗子

千葉大学卒業後、日系企業で国際営業を経てMBA修士号を習得。現在はフリーライターとしてビジネス・語学の分野を中心に幅広く執筆活動中。

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