年の瀬が近づき、翌年のための新しい手帳を購入済みの人も多いでしょう。しかし新しい手帳を購入しても、数カ月も経つと書き込まなくなったり、タスクを書き込んでいても、忘れてしまったという経験のある人は、どうすれば手帳をうまく活用できるか悩むのではないでしょうか。
そのような人には、手帳に書き込んだスケジュールの中から、いまやるべきことが把握しやすくなる「バレットジャーナル」という手帳術をご紹介します。最大の特徴は「箇条書き」という書き込み方と、「記号」によってタスクの進行状況を一目で理解できる点です。これらによって、タスクのやり残しが少なくなるといいます。
方眼手帳をカスタマイズしてタスク管理
バレットジャーナルのバレットとは、箇条書きの先頭につける記号「・」(バレットポイント)を指しています。ニューヨーク在住のプロダクトデザイナーが、仕事のタスクを管理するために作り上げた箇条書きによる手帳術で、ウェブサイトで公開したことから注目されるようになりました。
バレットジャーナルでは、日や週、月などの単位でタスクを箇条書きにして、その文頭につける記号によって進行状況などを管理します。
タスクを書き込む手帳として、カレンダーなどが印刷されてなく、グリッドや点のみが印刷された方眼手帳を用意します。方眼手帳を選ぶ理由は、バレットジャーナルではリストの書き換えや追記を前提としているため、余計な印刷がされていないほうが書き込めるスペースに制限がないからです。
ステータスを表示する「キー」がポイント
バレットジャーナルでは、タスクを箇条書きにしたリストの先頭に付ける記号を「キー」と呼びます。それを書き換えていくことが、バレットジャーナルの大きな特徴です。キーの最初の状態は「・」です。タスクが終了すれば、「・」の上に「☓」と記入します。「・」を「>」に変えると、完了せずに翌日や近日中に伸ばしている状態、「・」を「<」にすると、完了せずに1カ月というような長期間でリスケジュールしたものです。
リストはキーの書き換えだけでなく、新しいタスクが発生したら書き加える、それに付随するメモを添えるなども行います。1日の仕事が終わったら、キーの更新を行います。
次に仕事を再開するときに、前に書き込んだリストを新しいページに書き写して、その日に完了させるべきタスクを検討します。その際にキーを見て判断するのです。
バレットジャーナルはキーを使うことでステータスを把握しやすくするとともに、やり残したタスクを次のページに書き写すことで、取りこぼしを防止します。たとえ長期休暇などで手帳の更新が行われなくとも、自分が最後にまとめたリストを振り返れば、継続的にタスクを処理できるというわけです。
バレットジャーナルの実践ポイント
前述のキーの使い方と、リストを書き写していくことがバレットジャーナルの基本ルールです。実際に活用する際は、日単位でリストを作成してみましょう。ページの最上段に日付を記載し、その下にキーが文頭に入ったタスクのリストを書き込みます。リストに続けて、打ち合わせや来客などの予定を記し、最後に思いついたアイディア、出来事などのメモを取ります。すると、数日後に仕事を振り返った際に、タスクだけでなく、その日の仕事内容が思い出しやすくなるでしょう。予定やメモは、一目で理解するためにタスクのキー「・」とは違ったものを使うのがポイント。なお、バレットジャーナルを公開しているウェブサイトでは、予定は「○」、メモは「―」と定義しています。
さらに同サイトでは、キーの前に重要度や要注意、すばらしいアイデイアといった独自の記号を付けると、それぞれのタスク、予定、メモの意味がより印象に残るとしています。
目標管理やチームマネジメントのサポートツールに
バレットジャーナルをタスク管理という側面で紹介してきましたが、方眼手帳を使っているので、自分でカスタマイズしてさまざまなことを管理することも可能です。たとえば、自分の目標に対する進捗を記録する使い方が挙げられます。ある資格をいつまでに取りたいという目標を立てて、可視化。手書きで記録することで達成度を実感して、モチベーションをキープするのです。
また手帳を使用している途中からでも、項目を自在に追加できるため、ビジネスにおける新規プロジェクト、新規クライアントなどの管理が必要になっても、そのリストやページを随時、追加で設けることができます。他にも会議の種類ごと、部下の成長などの記録ページを作成してみるのもよいでしょう。
バレットジャーナルは、記号とリスト化という基本ルール以外は自由度の高い手帳術です。またリストを書き写すことによって、振り返りの意義や目標達成効果の高い手帳術として認識されています。セルフマネジメント、あるいはチームマネジメントのサポートツールとして、バレットジャーナルを取り入れてみてはいかがでしょうか。
【参考資料】
http://bulletjournal.com/
Marie『「箇条書き手帳」でうまくいく はじめてのバレットジャーナル』ディスカヴァー
連載記事一覧
- 第1回 劇的な変化をみせるネットスーパーが目指すもの 2016.04.12 (Tue)
- 第2回 家電メーカー「アクア」を成功に導いた風雲児 2016.04.19 (Tue)
- 第3回 下町ロケットを例に考える、競合に打ち勝つ戦略 2016.06.21 (Tue)
- 第4回 ロート製薬の副業解禁は朗報か悲報か? 2016.06.28 (Tue)
- 第5回 広島オバマ演説に見る最高の「問いかけ」手法 2016.07.13 (Wed)
- 第6回 「運が良い人」「運が悪い人」の違いはどこにある? 2016.10.13 (Thu)
- 第7回 非正規→正規雇用で助成金、経営に役立つ制度7選 2016.10.25 (Tue)
- 第8回 会話上手な人になるための3つのポイント 2016.11.17 (Thu)
- 第10回 手帳は「目盛り」があるものを選んだ方が良い!? 2017.02.17 (Fri)
- 第11回 中小企業必見、銀行の「融資姿勢」を知る指標がある 2017.03.09 (Thu)
- 第12回 辛いときこそ「ポジティブシンキング」すべき理由 2017.03.16 (Thu)
- 第13回 「宅配便ロッカー」に見る、人手不足問題の解決法 2017.04.17 (Mon)
- 第14回 どうしてGoogleはメールを使わなくなったのか!? 2017.06.15 (Thu)
- 第15回 たった5日間で難解な課題も解決するGoogleの仕事術 2017.08.04 (Fri)
- 第16回 企業の業務改善を実現する、いま話題の「BPM」とは 2017.08.08 (Tue)
- 第17回 サイバーエージェント流、社員の強みを伸ばす方法 2017.09.08 (Fri)
- 第18回 会議を無駄な時間としないための、3つのポイント 2017.10.11 (Wed)
- 第19回 あなたのToDoリストの作り方、間違っているかも!? 2017.10.18 (Wed)
- 第20回 美意識の向上が経営力のアップに!? 2017.11.20 (Mon)
- 第21回 タスク管理がはかどる手帳術「バレットジャーナル」 2017.12.14 (Thu)
- 第22回 中国が欲する日本サッカー育成術とビジネスの共通点 2017.12.26 (Tue)
- 第23回 アイディアが整理され、企画案がまとめやすいメモ術 2018.01.18 (Thu)
- 第24回 キャッシュレス化は後進国の国内カード事情 2018.02.20 (Tue)
- 第25回 3密必至の接客業にニューノーマルビジネスを学ぶ 2020.06.26 (Fri)
- 第26回 日本全国で初めて迎える“マスク × 夏 × 作業現場” 2020.06.26 (Fri)
- 第27回 仕事がスイスイ片付く「テレワーク時間管理術」 2020.09.29 (Tue)
- 第28回 ビジネスパーソンに不可欠、よい短文を書くコツ 2020.10.06 (Tue)
- 第29回 デキる人は実践済み、レポート・報告書作成のコツ 2020.10.06 (Tue)
- 第30回 デキる社会人は、なぜビジネス手帳を使うのか 2021.02.19 (Fri)
- 第31回 「伝わる」プレゼン資料作成5つの鉄則 2021.03.09 (Tue)
- 第32回 絶対に知りたい、副業をはじめる際のポイント 2021.03.09 (Tue)
- 第33回 それ、間違いかも!? 戸惑いがちなビジネスマナー 2021.03.12 (Fri)
- 第34回 日本に必要なのは「問題児」。APU出口学長が語る 2021.04.19 (Mon)
- 第35回 好感を与えるメール署名の書き方 2021.05.31 (Mon)
- 第36回 建設の人手不足を解消する、子ども向けキャリア教育 2021.06.03 (Thu)
- 第37回 職人・工場をつなぐ製造業ビジネスマッチングサイト 2021.06.03 (Thu)
- 第39回 「かかりつけ薬剤師」に指名されるための3つの方法 2021.06.15 (Tue)
- 第40回 かっぱ寿司やパルコも導入「サービスロボット」とは 2021.06.15 (Tue)
- 第41回 「もうすぐ故障」がわかる、故障予知技術のいま 2021.06.15 (Tue)
- 第42回 ウェブ会議をうまく仕切る人がやっていること 2021.06.15 (Tue)
- 第43回 コロナ禍で明暗を分ける"与える営業"と"もらう営業"2021.06.23 (Wed)
- 第44回 ワークマンを支える「Excel経営」とは?土屋専務に聞く 2021.09.07 (Tue)
- 第45回 レトロブームにみる若手社会人の新しく古い価値観 2021.09.14 (Tue)
- 第46回 大手や中小企業も活用、BtoBマッチングサービスとは 2021.09.14 (Tue)
- 第47回 コロナ禍でも、実店舗で売上をUPする方法がある 2021.09.28 (Tue)
- 第48回 スポーツ分析官が語る、組織が成長するデータ活用術 2021.09.30 (Thu)
- 第49回 「ディフェンス重視」が、生き残る企業の条件になる 2022.06.27 (Mon)
- 第50回 ビジネス拡大の可能性を秘めた「サステナブル・シーフード」とは2023.04.28 (Fri)
- 第51回 大谷選手のCMが証明した、ジェンダーレス市場ECの勝算2023.04.28 (Fri)
- 第52回 なぜ音声コンテンツはZ世代の心を掴むのか2023.05.30 (Tue)
- 第53回 バーチャル・トライオンとは?事例を交えて紹介2023.07.05 (Wed)
- 第54回 半数以上の企業が副業・兼業を支持、ワーキッシュアクトの可能性を探る2023.07.05 (Wed)
- 第56回 挑戦がブランドになる。財政難バスケチームの逆転劇2023.11.22 (Wed)
- 第57回 2億円の売上増↑山形の製造業はDXで何を変えたのか2023.11.22 (Wed)
- 第58回 なぜ大谷翔平は、野球と関係の薄い企業の広告に起用されるのか?2024.03.01 (Fri)
- 第62回 市民と行政の間の溝を「シビックテック」が埋める2024.03.29 (Fri)
- 第62回 モノを売らない店舗「ショールーミングストア」の可能性2024.03.29 (Fri)
- 第60回 万博で話題の「空飛ぶクルマ」ってどんなクルマ?2024.03.29 (Fri)
- 第61回 高円寺の老舗銭湯が挑む「あえて無駄を残す」DX 2024.03.29 (Fri)