顧客やビジネスパートナーとコミュニケーションを取る際に、「相手を喜ばせるために、何か面白い話をしなければならない」と思っている人がいるかもしれません。ですが、面白い話を次々と披露できたとしても、相手が聞き疲れてしまうようであれば、会話が上手だとはとてもいえません。
会話上手な人はむしろ、「自分が何を話すか」ではなく、「相手がどれだけ満足感を感じられるか」という点において優れています。つまり、「聞く」スキルを持っているのです。
今回は、会話上手な人が密かにやっている、3つの聞き方のコツを紹介します。
(1)相手が「何を話したいのか」を見極める
会話上手な人のコツの1つに、「自分の聞きたいことよりも、相手が話したいと思っていることを引き出す」というものがあります。相手は自分の関心がある話題を続けられるので、集中力が続きやすくなり、多くのことを話してくれるようになります。
話の引き出し方としては、相手の話をそのまま受け止めることが大事です。たとえば、「疲れた」と言う相手には、「おつかれさま」「疲れたね」と、相手の気持ちに寄り添う言葉を掛けます。「昨日あまり寝ていなくて」と言われたら「寝不足では疲れるね」と相手の答えを繰り返します。質問の前にまず共感を挟むことで、相手は話の続きがしやすくなり、「読書に夢中になって寝不足だ」「退職を考えるほど仕事が忙しい」「体調不良で通院している」など本当に話したかったことを聞けるかもしれません。
この時、話を先回りして言ってしまったり、でしゃばって話の舵取りをしないように注意しましょう。「疲れた」と言われた際に「休んでいないの?」や「昨日のあの件を引きずっているのか」と応えたり、「なんでもっと休まないの!」「睡眠時間を削っちゃダメだ!」といったように自分の意見を主張するのは、相手が話したいことを塞いでしまうだけです。自分の意見は、求められてから言いましょう。
話を聞き続けていると、相手が言葉に詰まることがあります。しかし、ふいに訪れた沈黙を埋めるために、その場しのぎの質問をしたり、別の話題を持ち出すのは得策ではありません。相手が話を途中でやめたときは、次に話す言葉を探している可能性が高いので、黙って5秒ほど待ってみましょう。会話が途切れないことが、上手なコミュニケーションではありません。沈黙を恐れずに待つことは、聞く姿勢の基本といえるでしょう。
(2)答えが「はい」「いいえ」の質問をしない
会話上手な人は、質問の仕方にも気を配っています。
たとえば「映画は好きですか?」のように、「はい」「いいえ」で答えられるものを聞くのではなく、「好きな映画は何ですか?」といったような、より具体性のある質問をします。相手が「スター・ウォーズが好きです」と答えれば、「私はまだ見ていないのですが、新作はどうでしたか?」のように会話を続けることができます。
部下に声を掛けるときも同様です。上司が「仕事は大丈夫か?」と質問をすれば、部下は「はい」と答えて、それで会話は終わりです。この場合も、「あの仕事はどこまで進んでいる?」と質問をすれば、「大体終わっており、あとは○○だけです」「○○の部分で遅れが出ています」といったように、より詳しく答えを引き出すことができます。
相手の答えをより引き出すためには、軽い質問を間にはさむのもテクニックのひとつです。たとえば、「正月はどう過ごされましたか?」と聞いてから「年末話に出ていたあの件ですが……」と本題に入ることで、会話がスムーズに進みます。
(3)ボディランゲージから読み解く
相手と上手くコミュニケーションを取るには、ボディランゲージからそれとなく相手のステータスを読み解くこともテクニックの1つです。たとえば相手が腕組みをしていたり、話していても体がこちらを向いていなければ、こちらの話を聞く準備ができておらず、心を開いていない可能性が高いです。無理に質問を繰り返しても、深く話を引き出すことは難しいでしょう。
こうした相手には、こちらが真剣に聞いている姿をボディランゲージでアピールしてみましょう。相手の目を見てタイミングよくうなずいたり、相づちを入れることで、話をしっかりと聞いているという姿勢が相手に伝わり、話を聞く姿勢を取ってくれるかもしれません。
会話上手な人になるためには、相手が気持ち良く話せるような環境を作り、相手のペースを乱さず待ち、話が広がるような質問をすることが重要です。「いまいち話が盛り上がらないな……」という時には、ぜひ今回紹介した3つのポイントを思い出してみてください。
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