2021.03.09 (Tue)
ビジネスを成功に導く極意(第31回)
「伝わる」プレゼン資料作成5つの鉄則
テレワーク環境が当たり前になったことで、情報共有のため、より多くの資料を作成しなければならなくなりました。なかでも作成する機会が増えたのが、オンラインミーティング用のスライドです。社内への提案資料や、営業資料など「急にスライドをつくる機会が増えた」という人も多いことでしょう。そんなときに役立つ、今日から使える「見やすいプレゼン資料をつくるための基礎とコツ」を紹介します。
スライドは「1スライド、1メッセージ」で作成する
まずはミーティングやプレゼン用のスライド作成における基本ルールについて、改めておさらいしておきましょう。
もっとも強く意識しておきたいのが、「1スライド、1メッセージ」の大原則です。多くの場合、プレゼンテーションの聞き手は、話者のトークに注意深く耳を傾けながら、次へ次へと切り替わるスライドを目で追わなければなりません。この状態で「まとまった文章をしっかり読む」のは、ほとんど不可能であると考えたほうがよいでしょう。
スライドの情報は、読ませるのでなく「見せる」もの。そのぐらいの潔さで、まずは文字情報をそぎ落としていくことが欠かせません。スライドの価値は情報量の多さではなく、わかりやすさとデザインで決まります。極力シンプルに、見やすく、つかみやすいものにすることを心掛け、聞き手の理解を助けるようなスライドを作成しましょう。
「見せるスライド」にするための、5つの注意ポイント
では、「見せるスライド」は、どのような点に意識して作成すればよいのでしょうか。具体的かつ重要な基本ノウハウを5つピックアップして紹介します。いずれもWindows版PowerPointを想定していますが、ほかのアプリケーションで応用可能なノウハウもあります。
(1)画像、イラスト、表組などの視覚情報を活用する
ものの様子や状態は、言葉で説明してもなかなか伝わりません。「百聞は一見に如かず」という言葉があるように、「そのものズバリの姿を見せる」のが手っ取り早く理解を促すことにつながります。「この説明は画像に置き換えられないか」といった視点をもち、グラフィカルに資料をつくることを心掛けましょう。
(2)画像やテキストの位置をとにかく揃える
画像や図形の天地左右にズレがあると、ページ全体がだらしなく、おさまり悪く見えてしまうものです。また、「この文章の頭はここで、こちらの文章の頭は少し右にずらしたところ」といったように、脳が処理しなければいけない情報量が増え、スムーズな内容理解の妨げにもなってしまいます。たかが1~2㎜のズレだと侮らず、ていねいに位置を合わせることが大切です。
(3)使用する色数は絞る
色数が多いと情報量が増え、ゴチャッとして見えがちです。使用する色は、「テーマカラー(スライド全体の印象を決める色)」、「ベースカラー(文字などに使う色)」、「アクセントカラー(特に強調したい箇所に使う色)」の3色程度に抑えるとよいでしょう。
(4)使用フォントは、「和文=メイリオ」「欧文=segoe UI」を基本にする
メイリオは、視認性を重視して開発されたシステムフォントです。「明瞭」という言葉を由来にして名づけられ、Windows Vista以降のマイクロソフト製OSに標準で搭載されてます。その名の通り見やすく可読性が高く、一般的に、「スライドはメイリオを使用して作成するとよい」と言われています。このメイリオと相性がよいとされている欧文フォントがsegoe UIです。メイリオと並んだときにバランスがよく、和文・欧文が混じった文章の読みにくさが解消されます。
(5)言い切りや体言止めやを活用し、スッキリとした文章にする
文章は、言い切りや体言止めで締めるとスッキリします。例えば、「体言止めを活用しましょう」ではなく「体言止めを活用」にする、「色数を絞るようにするとよいです」ではなく「色数を絞る」にするなど、言い回しを変えることで無駄な文字を削り、認識しやすく、わかりやすい説明文を作成できます。
まずは上記5つの基本事項をしっかり意識して、資料を作成しましょう。また、インターネットや書籍でスライドの作例を見ることも有用です。実際に企業へのプレゼンに使用されたスライドを確認すれば、新規の提案をする際に注力すべきポイントがわかりますし、ビジネス系のリサーチャーが作成したスライドを見れば、図表を効果的に理解させるためのノウハウが学べます。目的に照らし合わせて作例を探し、目を通しておくことをおすすめします。
効率よくスライドを作成するための、便利な小ワザあれこれ
最後に、覚えておくと便利なPowerPointの便利機能について紹介しましょう。
意外と知らない人が多いのが、「画像圧縮」機能です。圧縮したい画像を指定して、「書式」メニュー→「図の圧縮」を選択すれば、PowerPoint上で画像の容量を小さくすることができます。
ひとつのスライドを社内用や社外用などに使い回したいときに便利なのが「目的別スライドショー」です。「スライドショー」メニュー→「目的別スライドショー」をクリックし、元のスライドから使いたいスライドだけを選択しましょう。ひとつのファイルのなかに「社内用」「社外用」などの複数のバージョンを保存しておくことができ、一度保存すればワンクリックで目的に合わせたスライドショーが展開できます。
他に「フォントを大きくするときのショートカットキーは『Ctrl+Shift+>』、小さくするときは『Ctrl+Shift+<』」「新しいスライドを追加するときのショートカットキーは『Ctrl+M』」「スライドショーを開始するときは『F5』」など、各種ショートカットを覚えておくと作業効率が上がります。
PowerPointによるプレゼン資料はテレワークに欠かせないもの。便利な機能やショートカットを活用しつつ、より手早く、スマートに、デザインの肝を押さえた有用なものを作成したいところです。
連載記事一覧
- 第1回 劇的な変化をみせるネットスーパーが目指すもの 2016.04.12 (Tue)
- 第2回 家電メーカー「アクア」を成功に導いた風雲児 2016.04.19 (Tue)
- 第3回 下町ロケットを例に考える、競合に打ち勝つ戦略 2016.06.21 (Tue)
- 第4回 ロート製薬の副業解禁は朗報か悲報か? 2016.06.28 (Tue)
- 第5回 広島オバマ演説に見る最高の「問いかけ」手法 2016.07.13 (Wed)
- 第6回 「運が良い人」「運が悪い人」の違いはどこにある? 2016.10.13 (Thu)
- 第7回 非正規→正規雇用で助成金、経営に役立つ制度7選 2016.10.25 (Tue)
- 第8回 会話上手な人になるための3つのポイント 2016.11.17 (Thu)
- 第10回 手帳は「目盛り」があるものを選んだ方が良い!? 2017.02.17 (Fri)
- 第11回 中小企業必見、銀行の「融資姿勢」を知る指標がある 2017.03.09 (Thu)
- 第12回 辛いときこそ「ポジティブシンキング」すべき理由 2017.03.16 (Thu)
- 第13回 「宅配便ロッカー」に見る、人手不足問題の解決法 2017.04.17 (Mon)
- 第14回 どうしてGoogleはメールを使わなくなったのか!? 2017.06.15 (Thu)
- 第15回 たった5日間で難解な課題も解決するGoogleの仕事術 2017.08.04 (Fri)
- 第16回 企業の業務改善を実現する、いま話題の「BPM」とは 2017.08.08 (Tue)
- 第17回 サイバーエージェント流、社員の強みを伸ばす方法 2017.09.08 (Fri)
- 第18回 会議を無駄な時間としないための、3つのポイント 2017.10.11 (Wed)
- 第19回 あなたのToDoリストの作り方、間違っているかも!? 2017.10.18 (Wed)
- 第20回 美意識の向上が経営力のアップに!? 2017.11.20 (Mon)
- 第21回 タスク管理がはかどる手帳術「バレットジャーナル」 2017.12.14 (Thu)
- 第22回 中国が欲する日本サッカー育成術とビジネスの共通点 2017.12.26 (Tue)
- 第23回 アイディアが整理され、企画案がまとめやすいメモ術 2018.01.18 (Thu)
- 第24回 キャッシュレス化は後進国の国内カード事情 2018.02.20 (Tue)
- 第25回 3密必至の接客業にニューノーマルビジネスを学ぶ 2020.06.26 (Fri)
- 第26回 日本全国で初めて迎える“マスク × 夏 × 作業現場” 2020.06.26 (Fri)
- 第27回 仕事がスイスイ片付く「テレワーク時間管理術」 2020.09.29 (Tue)
- 第28回 ビジネスパーソンに不可欠、よい短文を書くコツ 2020.10.06 (Tue)
- 第29回 デキる人は実践済み、レポート・報告書作成のコツ 2020.10.06 (Tue)
- 第30回 デキる社会人は、なぜビジネス手帳を使うのか 2021.02.19 (Fri)
- 第31回 「伝わる」プレゼン資料作成5つの鉄則 2021.03.09 (Tue)
- 第32回 絶対に知りたい、副業をはじめる際のポイント 2021.03.09 (Tue)
- 第33回 それ、間違いかも!? 戸惑いがちなビジネスマナー 2021.03.12 (Fri)
- 第34回 日本に必要なのは「問題児」。APU出口学長が語る 2021.04.19 (Mon)
- 第35回 好感を与えるメール署名の書き方 2021.05.31 (Mon)
- 第36回 建設の人手不足を解消する、子ども向けキャリア教育 2021.06.03 (Thu)
- 第37回 職人・工場をつなぐ製造業ビジネスマッチングサイト 2021.06.03 (Thu)
- 第39回 「かかりつけ薬剤師」に指名されるための3つの方法 2021.06.15 (Tue)
- 第40回 かっぱ寿司やパルコも導入「サービスロボット」とは 2021.06.15 (Tue)
- 第41回 「もうすぐ故障」がわかる、故障予知技術のいま 2021.06.15 (Tue)
- 第42回 ウェブ会議をうまく仕切る人がやっていること 2021.06.15 (Tue)
- 第43回 コロナ禍で明暗を分ける"与える営業"と"もらう営業"2021.06.23 (Wed)
- 第44回 ワークマンを支える「Excel経営」とは?土屋専務に聞く 2021.09.07 (Tue)
- 第45回 レトロブームにみる若手社会人の新しく古い価値観 2021.09.14 (Tue)
- 第46回 大手や中小企業も活用、BtoBマッチングサービスとは 2021.09.14 (Tue)
- 第47回 コロナ禍でも、実店舗で売上をUPする方法がある 2021.09.28 (Tue)
- 第48回 スポーツ分析官が語る、組織が成長するデータ活用術 2021.09.30 (Thu)
- 第49回 「ディフェンス重視」が、生き残る企業の条件になる 2022.06.27 (Mon)
- 第50回 ビジネス拡大の可能性を秘めた「サステナブル・シーフード」とは2023.04.28 (Fri)
- 第51回 大谷選手のCMが証明した、ジェンダーレス市場ECの勝算2023.04.28 (Fri)
- 第52回 なぜ音声コンテンツはZ世代の心を掴むのか2023.05.30 (Tue)
- 第53回 バーチャル・トライオンとは?事例を交えて紹介2023.07.05 (Wed)
- 第54回 半数以上の企業が副業・兼業を支持、ワーキッシュアクトの可能性を探る2023.07.05 (Wed)
- 第56回 挑戦がブランドになる。財政難バスケチームの逆転劇2023.11.22 (Wed)
- 第57回 2億円の売上増↑山形の製造業はDXで何を変えたのか2023.11.22 (Wed)
- 第58回 なぜ大谷翔平は、野球と関係の薄い企業の広告に起用されるのか?2024.03.01 (Fri)
- 第62回 市民と行政の間の溝を「シビックテック」が埋める2024.03.29 (Fri)
- 第62回 モノを売らない店舗「ショールーミングストア」の可能性2024.03.29 (Fri)
- 第60回 万博で話題の「空飛ぶクルマ」ってどんなクルマ?2024.03.29 (Fri)
- 第61回 高円寺の老舗銭湯が挑む「あえて無駄を残す」DX 2024.03.29 (Fri)