「段取り八分」という言葉があるように、仕事を円滑に進めるには段取りを怠らないことが重要です。
毎日、業務を開始する前に「今日やるべきこと」をまとめたToDoリストを準備しているにも関わらず、定時になってもほとんど終わっていない。このような状況に陥っているのは、作業内容や時間を正しく把握しないまま、段取りを行っている状態といえます。つまり段取りが「絵に描いた餅」となってしまっているのです。
そのような段取り下手を修正するポイントを、伊庭正康氏の『会社では教えてもらえない 残業ゼロの人の段取りのキホン』から紹介します。
伊庭氏は、ToDoリストを作った人のうち4割が未完了のままになっているとしています。自分で決めたスケジュールが未完了の人には3つの特徴があるそうです。
未完了のToDoリストを作っている人の特徴は3つある
伊庭氏は、未完了のToDoリストを作る人には3つの特徴があるとしています。1つ目は、作業内容を把握していない。2つ目は、作業時間が読めていない。3つ目は、アクシデントを考慮していないです。
1つ目の作業内容を把握していないというのは、ToDoリストを作るとき「営業会議の準備」というような大まかな業務内容を書き込んでいることです。営業会議の準備と一口にいっても、会議室の予約、出欠の確認、資料の準備、提案の作成など細かな仕事の集合体なので、ToDoリストの「今日は何をやるべきか」が見えていない状態です。ToDoリストを作る前に仕事を細分化して、具体的に今日やるべきことを把握するのがポイントです。
2つ目の作業時間が読めていないですが、リストを作るときは経験則に基づいて作業時間を予想しているでしょう。しかし、その予想が自己ベストのものを基準にしていると、未完了に陥る危険性が高くなります。予想時間は最短ではなく、最長で設定したほうが良いでしょう。それでも予想時間を超えた場合は、次のToDoリストを作るときの反省材料としてください。また作業時間が予想を超えるワーストとなったときは、失敗要因を洗い出すのがポイント。洗い出すことで経験則の精度が高まり、より現実的なToDoリストを作成できるようになります。
最後のアクシデントを考慮していないは、その日のスケジュールを分刻みできっちり組んでいることです。突然の電話や来客や上司から意見を求められるなどを想定していないと、そのようなスケジュールは簡単に瓦解してしまいます。伊庭氏は8時間勤務であれば、1時間30分くらいの余裕を見ておいたほうが良いとしています。
まとめますと、完了するToDoリストを作るには、作業の細分化、作業時間を予想する正確性、想定外を想定内に織り込むという視点が必要です。
ToDoリストに加え、ガントチャートで段取りを補完する
抱えている仕事が1つなら、完了するToDoリストを実践することは難しくありません。しかし複数の仕事を同時に抱えているのがビジネスパーソンの実情です。それらのスケジュールを把握していないと、ToDoリストにやるべきことを落とし込む作業を見誤る可能性があります。
伊庭氏は、複数の仕事を抱えているときには「ガントチャート」を使ったスケジュールの見える化をすすめています。
ガントチャートとは、プロジェクトや生産管理などの進捗を管理するための表です。棒グラフや矢印などで、複数の仕事がどれくらいの期間を要するかなどが視覚的につかめるようになります。ガントチャートの多くは、横軸を日付とし、縦軸を仕事とします。たとえばAというプレゼンは調査に3日間、準備に2日間、発表に1日などと、工程ごとの所要時間を矢印や棒グラフで示します。それらが一覧表となると、今週はAという仕事は調査、Bという仕事は報告、Cは準備などというように現状が「見える化」します。それによって、やるべき仕事の優先順位の見当が付けられるのです。
完璧を求めない、上手く休みを取り入れるのも大切
伊庭氏は、ガントチャートで複数の仕事を把握し、ToDoリストに日々の仕事を落とし込むことという段取りをすすめていますが、それらを作るのに時間をかけることはすすめていません。特にToDoリストに関しては、前日の退社時までに作成する、長くても5分くらい、忙しいときは「すき間時間」に、といった3つのルールを守るようと提言しています。段取りに時間をかけ過ぎるのは本末転倒です。
また段取り上手の鍵は「先々まで見通す力」と、伊庭氏はしています。「メールを打つ」「資料を作成する」といった作業スピードをあげることも重要ですが、今やるべきことを理解している人が効率的な働き方をしているといえます。ガントチャートで先々まで見通す力を養い、完了するToDoリストを作れる現実的なビジネスパーソンを目指しましょう。
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