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2018.02.20 (Tue)

ビジネスを成功に導く極意(第24回)

キャッシュレス化は後進国の国内カード事情

posted by 塚田 沙羅

 駅の改札を通る際やコンビニで会計をするときに電子マネーを利用したり、オンラインショッピングでカード決済を使うなど、キャッシュレスの支払いを取り入れている人は多いでしょう。しかし、日本はヨーロッパ、アメリカ、韓国などに比べてまだキャッシュレス化に後れをとっているといわれています。

 世界のキャッシュレス事情と比較しながら、日本のキャッシュレス化の現状および課題と、キャッシュレス化が進むことにより得られるメリットを、消費者側、企業側双方の観点から解説します。

世界のキャッシュレス化に追いついてない日本

 キャッシュレスといわれる小切手、口座振替、クレジットカード、デビッドカード、電子マネー、仮想通貨などの現金を必要としない決済の利用は、世界的に増えてきています。日本でもキャッシュレス化は進んでおり、日本生命保険のシンクタンクであるニッセイ基礎研究所が発表した「日本におけるキャッシュレス化の進展状況について」内では、日本のキャッシュレス決済比率は2011年から2016年にかけて 14.5%から 23.5%へ増加していることが指摘されています。

 しかし、他国と比べると、日本のキャッシュレス決済において、クレジットカードとデビッドカードの決済の普及率は低い結果となっています。同報告書内にある、クレジットカードとデビットカードによる決済の割合を国際比較したデータ「民間消費に占めるカード決済の割合(2015年)」によると、世界20カ国の平均値は40%程度。平均より高い国では、韓国が80%以上と突出しており、カナダ、シンガポール、イギリス、オーストラリアが50%超え、アメリカが45%程度です。日本は約17%で、20カ国中16位と他国と比べてかなり低い割合であることがうかがえます。

 このデータは、デビットカードとクレジットカードのみで、交通機関やコンビニエンスストアで利用できるような電子マネーによる決済は含まれていません。日本銀行の報告書「BIS 決済統計からみた日本のリテール・大口資金決済システムの特徴」では、日本では他国に比べて電子マネー決済が高い割合であると分析されています。しかしカードと電子マネーによる2つの決済の割合を合算しても、なお世界20カ国平均値の40%には届いていないのです。

日本はカード決済の必要性を感じていない

 このような現状から経済産業省は、2014年に閣議決定された「日本再興戦略」改訂において、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催などを踏まえ、キャッシュレス決済を推進する方向性を発表しました。同年12月、「キャッシュレス化に向けた方策」が取りまとめられ、2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017 -Society 5.0 の実現に向けた改革-」では、2027年までの10年間に、クレジットカード、デビッドカード、電子マネーのキャッシュレス決済比率4割程度を目指すことが公表されました。

 日本人がキャッシュレス決済の利用率が低い理由として、日本銀行の調査「生活意識に関するアンケート調査(第45回)」では「キャッシュレス決済を利用する必要がないから」が最も多いものでした。これはキャッシュレス決済を利用するメリットがまだ浸透していないからといえるでしょう。

 たとえば小売業者側が導入しない理由としては、クレジットカード決済には手数料として代金の2~8%を支払わなければならない、カード会社からの入金が15~30日後と期間が空く、カードリーダーなどの機器の導入費用などがあげられます。しかし、キャッシュレス決済のメリットを活用すれば、さらなる売上向上の可能性はあるのです。

キャッシュレス化のメリットとは

 キャッシュレス化が促進した場合のメリットとして、現金決済では、消費者の予算は財布の中にある金額に限定されてしまいます。しかしキャッシュレス決済だと、分割支払いなどによってその予算制約が広がる場合があります。

 またキャッシュレス決済によりオンラインショッピングも送金が容易となり、消費者が足を運べる範囲を超えたエリア、たとえば国外における購買活動が可能となります。

 「海外から」という面では他にもメリットがあります。キャッシュレス決済が普及している国からの観光客には、少額しか現金を所持しない人もいるため、キャッシュレス決済を導入している店舗のほうが、インバウンドの取り込みが期待できるでしょう。

 小売業者側にこのようなメリットを得る例が増えてくれば、前述したクレジットカード決済手数料なども採算がとれるようになり、カード決済導入の後押しとなるかもしれません。

 消費者側も、簡易で迅速な決済に加え、現金を持ち運ぶ手間や、外貨両替などの手数料、運搬の際の紛失や盗難のリスクが減ります。デビッドカードなら引き落としがすぐに行われるため残金の管理もリアルタイムで可能で、使いすぎと行ったようなことも防げるでしょう。

 オリンピック以降もインバウンド消費を取り入れようとするなら、キャッシュレス決済の導入は検討すべきビジネスツールの1つとなるのではないでしょうか? また国内でもデビッドカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済の普及は高まっています。今後のビジネスチャンスとして、キャッシュレス化の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2018年1月18日)のものです。

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塚田 沙羅

塚田 沙羅

イギリス・ロンドン在住のライター/英日翻訳者。東京芸大卒業後、出版社編集部を経てフリーランスに。イギリス情報・文化、ビジネス(働く人にとっての学びや気づき、人材育成、グローバル思考など)、アート・カルチャーについてさまざまな媒体で多数執筆。
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