2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2023.07.05 (Wed)

ビジネスを成功に導く極意(第53回)

バーチャル・トライオンとは?事例を交えて紹介

 ARやVRなどのテクノロジーを用いて製品の試着・試用を実現する「バーチャル・トライオン(Virtual Try-on)」。洋服、アイウェア、時計、コスメ、ヘアカラーといったファッション・コスメ分野のみならず、インテリアや不動産など幅広い業種で活用が進んでいます。バーチャル・トライオンは企業やユーザーにどのような可能性をもたらすのか、事例を交えながら紹介します。

顧客体験の向上や環境対策につながる可能性も

 バーチャル・トライオンとは、AR/VR/MRや3Dスキャン、AIなどのテクノロジーを活用し、パソコンやスマートフォンなどで場所を問わず製品の試着・試用を可能にする仕組みのことです。「バーチャル試着」や「オンライン試着」といったキーワードでサービスを展開しているケースもあります。

 アパレル業界ではECサイトを販売チャネルに活用する企業が増えていますが、その一方で実店舗での購入と比較してECは返品率が高いことが問題視されていました。実際、アメリカでは小売業のEC販売における返品率が25〜40%にも達するといわれており、特に返品率が高いカテゴリーとして自動車部品、アパレル、リフォーム用品および家庭用品が挙げられています。

 また、実店舗でも在庫切れによって生じる販売機会損失の改善が求められており、解決する手段としてバーチャル・トライオンの開発・活用が進められてきました。アイウェアのJINSは2016年からオンラインでメガネを試着できる3Dバーチャル試着サービス「JINS VIRTUAL FIT」を提供しており、国内では比較的早い段階でバーチャル・トライオンに取り組んでいました。また、ZOZOが開発した「ZOZOスーツ」は、当時は画期的な機能だったこともありメディアを中心に大きな話題を呼びました。

 そして、新型コロナウイルス感染症の影響でアパレル業界でもオンライン活用が急速に浸透したことが追い風となり、バーチャル・トライオンを手がける企業はますます増えています。例えば、メイクアップブランドのKATEがARカメラでバーチャルメイクを楽しめる機能をLINE公式アカウント内サービス「KATE MAKEUP LAB.」で提供し、美容メーカーのホーユーは白髪染めのリアルな仕上がりをブラウザ上で試せる「髪色シミュレーション」を展開するなど、ファッションだけでなく美容・コスメにも拡がり、新しい顧客体験を生み出しています。

 返品率を減らし、消費者が自分の好みや体型に合った洋服を適切に購入できるようになることは、アパレル業界の課題とされている大量生産・大量消費の低減にもつながる可能性があります。環境省が2021年に実施した消費者アンケート調査でも、サステナブルファッションに取り組むうえで解決が必要だと思う項目として「消費者の好みや体型等のデータに応じた服の個別受注・生産システムを導入する」が一定数挙げられており、バーチャル・トライオンの導入はサステナビリティの観点からも有効な施策になり得ます。

インテリア、車のホイール、リノベーションなど、活用シーンはさまざま

 近年、ファッションやコスメ以外の領域でも、バーチャル・トライオンにチャレンジする企業が出てきています。

 IKEAは、2023年にスマートフォンアプリ「IKEA Kreativ」を発表しました。自宅の部屋を撮影して3Dデータを作成し、カタログから気になるIKEA製品を選んで部屋の中に配置したり、既存の家具を消してIKEA製品と置き換えることができます。気に入った商品はオンライン購入できるだけでなく、アイデアを他のユーザーと共有して意見交換や代替案を提案してもらうことも可能です。

 ホイールメーカーのBBSは、愛車にフィットするホイールの装着イメージをシミュレーションできるスマートフォンアプリ「WHEEL SIMULATION」を展開しています。アプリ上で好きなホイールやサイズを選択し、車をカメラで撮影するか保存してある写真を選んで調整すれば、画面上で愛車にホイールを試着できます。

 リノベーション買取再販事業者向けに、ARを活用した企画・設計・施工・販売支援サービスを展開するのが、リノベーション事業者のリノべるです。同社が提供する「ARリノベ」では、リノベーション買取再販事業者が管理画面上でリノベーションに活用する商品をピックアップし、実際の現場でキッチンや洗面化粧台、アクセント壁、建具などを3Dで配置することができます。リノベーション後のイメージを視覚化して提案できるため、購入の後押しになるだけでなく、選んだ仕様に基づいたトータルコストも算出できるため、顧客はより安心感をもって仕様の比較や検討ができるようになります。

 さまざまな業界で、BtoB/BtoC問わず活用シーンが拡がり、新たな顧客体験を創出しているバーチャル・トライオン。多くの業界でオンライン施策が欠かせなくなった今こそ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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