日本と他国では、文化による行動様式の違いから、ビジネスのやり方も異なっています。お互いの違いについて話し合い、理解し合うことができれば、よりよいビジネスを展開することができるでしょう。
今回はその一例として、アメリカのビジネスパーソンに、日本のビジネスの特徴を伝える会話の例を紹介します。
日本でのビジネス経験や印象を聞き出す会話例
来日したアメリカの取引先と商談を終えて、雑談に入ったとします。そのようなときに、日本でのビジネス経験や、日本でのビジネスに対して、先方が抱いた印象について質問してみましょう。その後の打ち合わせや取引の展開がスムーズになるかもしれません。
自分:By the way, what do you think about Japanese business?
(ところで、日本のビジネスについてどう思いますか?)
相手:Well, several years ago, my company ordered me to go to Japan for some business. My objective was to contact potential buyers.
(数年前、私は会社の指示で日本に来ました。私の目的は、見込み客との接触でした)
「potential」が「可能性のある」や「見込みのある」という意味の形容詞、「buyers」は「買い手」「仕入係」という名詞の複数形です。「potential buyers」と組み合わせて使うことで、「買ってくれそうな買い手」、つまり「見込み客」という意味になります。
自分:How did it go?
(どうでしたか?)
相手:I was given only a few days to get the contracts.
(契約を結ぶのに会社から与えられた時間はわずか2~3日でした)
自分:Were any signed?
(それで契約は結べましたか?)
相手:None of our deals came through.
(どの取引も成立しませんでした)
自分:I’m sorry.
(それは残念でしたね)
「I’m sorry」は、「ごめんなさい」「申し訳ありません」といった謝罪の意味に加え、「お気の毒に」「残念でしたね」という同情の意味もあります。同情の言葉としてはほかに「that’s too bad」という言い方もありますが、どちらかというと砕けた表現で、ビジネスシーンには向きません。
日本のビジネスの進め方を理解してもらう会話表現
相手の経験や印象を聞いた後は、日本のビジネスの特徴について説明すると、文化の違いについて理解を深めてもらうきっかけになるかもしれません。
自分:Well, business is done differently in Japan. It always takes much longer than a few days to get a business deal to go through.
(日本では、ビジネスの仕組みが異なります。取引が成立するには、2~3日よりもずっと多くの時間がかかります)
We are very careful about moving things forward and have to get consensus within a company.
(私たちは物事を進めるのにとても慎重ですし、社内で意見の合意を得る必要があります)
「日本人はとても慎重である」ことを伝えるために、「注意深い」という意味の「careful」を使って説明をしました。「合意」は、「一致」や「総意」を意味する「consensus」という単語を用いるのが適しています。
以前の私は、日本人に即決を求めていました。アメリカ人はすぐに返事を聞きたがるものです)
相手:Now, I understand that Japanese takes time when getting a contract.
(今では、日本人が契約を結ぶのに時間をかけることを理解しています。
I was asking Japanese to make quick decisions. Americans want to get an immediate response.
以前の私は、日本人に即決を求めていました。アメリカ人はすぐに返事を聞きたがるものです)
日本では「意見の一致」が優先される一方で、アメリカでは「即決」が優先されるという文です。「decision」は「決定」「決断」など意味を持った名詞で、「quick decision」と組み合わされることで「即決」というニュアンスになります。
自分:Right. Japanese want to take time to think of an appropriate response.
(そうですね。日本人は、時間をかけて適切な返事をしたいと考えています)
相手:I think these mismatches between culture and timing were the major cause of problems.
(文化とタイミングのずれが、問題の主な原因だったと私は思います)
「major cause」は「主な原因」という意味です。上の文の「major cause of problems」は「問題の主な原因」という意味になります。
自分:I would also suggest that when you are talking to a Japanese client, you should be patient if he becomes silent.
(もし、日本人の顧客と話をしているとき、相手が黙り込んでしまっても、そこはぐっとこらえましょう)
You shouldn’t jump in to fill the silence and start talking because that might mean he is considering something.
(決して話の間を埋めようとしてせっかちにしゃべり始めてはいけません。なぜなら、相手は何かを熟考しているかもしれないからです)
「~するといいですよ」と、相手に日本におけるアドバイスを伝える際には、「I would suggest that ~」という一文が適しています。
単に考えているだけでも、英語圏の人たちからすれば、何も主張していないと受け取られてしまうこともあります。こうした文化の違いで誤解が生じがちですが、会話をすることでその溝を埋めることができます。積極的にトークしてみましょう。
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