2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2023.01.30 (Mon)

ICTで製造業はどのように変わるのか(第32回)

製造業の生産性を向上させるメリットやその際の着目ポイントなどを解説

 製造現場の生産性を高めたいものの、どのように取り組めばよいのかわからない、という方はいませんか? 製造業が生産性向上に取り組むことで、コストダウンや品質の安定化などを実現ことは理解しているものの、具体的な進め方について悩むケースは少なくありません。本記事では、製造業の生産性向上に向けた取り組みで着目すべきポイントや役立つ技術、システムなどを解説します。

製造業における生産性とは

 生産性とは、投入したリソースに対しどれくらいのリターンが得られたかを示す指標です。成果物を生産するにあたり、投入したコストが効果的に使用されたかどうかが把握できます。製造業においては、生産量を従業員数や労働時間などで割った数値で生産性を算出するのが一般的です。

 製造に携わる工場の多くが、生産性向上のための取り組みをしています。生産性を高めることで、限りあるリソースを有効に活用し、利益の最大化を図ることができるためです。

製造業の生産性が下がる要因

 製造業の生産性が低下する原因として、無駄な作業の発生が挙げられます。本来取り組む必要がない作業に時間を割くのは無駄であり、利益にもつながりません。習慣化している作業の中には、本来不要なのに従業員が惰性で行っている作業もあるため注意が必要です。

 非効率な作業も生産性の低下につながります。たとえば、重い材料を1人で運んでいる、機械を使用せず手で作業しているといった状況が考えられます。非効率な作業はいたずらに時間を浪費してしまうばかりか、従業員への負担が増加し、ミスを招きかねません。

 従業員の知識量やスキルに差があると、作業品質にばらつきが生じ、ひいては生産性の低下につながります。作業品質にばらつきがあるとチェックに時間がかかるほか、不良品の発生率を高める原因になります。

生産性向上で得られるメリット

 生産性を向上することによるメリットを、人手不足対策や競争力の強化という観点から4つ紹介します。

品質の安定

 生産性向上に取り組む過程において、作業の方法や流れを統一し、マニュアル化することで、作業の標準化が進み、品質の安定化につながります。誰もが同じように作業できるよう環境を整備するのも品質安定化に有効です。

 マニュアルの整備や研修の実施など標準化に取り組めば、従業員のスキルレベルも均一化します。技術面のばらつきがなくなれば、品質は安定します。

コストの抑制

 効率的に作業へ取り組める環境や体制が整えば、業務時間を短縮できます。その結果、残業代や水道光熱費などの発生を抑えられ、コストダウンにつながります。

 ロボットやICTシステムなどを導入するのもおすすめです。ロボットやICTシステムの導入で作業を自動化できれば、人件費の削減につながります。さらに、生産管理システムなどを導入してマネジメントを徹底すれば、過剰在庫の発生も抑制でき、結果的にコスト削減が可能です。

人手不足の対策

 生産性向上への取り組みは人手不足対策に有効です。今までより効率よく業務に取り組める環境を整えれば、限りあるリソースでこれまでと同等、もしくはそれ以上の生産性を確保できます。

 少子高齢化社会である日本の人口は減少の一途をたどっています。総務省統計局が公表しているデータによれば、2011年には約1億2775万人だった人口は緩やかに減少を続け、2022年は約1億2510万人となりました。

 総人口の減少に伴い、労働人口もますます減少すると考えられます。そうなれば、企業は今まで以上に人材の確保が難しくなるでしょう。少ない人員で生産性の維持、向上を実現する取り組みが企業には求められます。

 取り組みによって業務効率化に成功し、従業員が働きやすい環境が整えば、人材確保にも有効です。働きやすい企業であることをアピールすることで、人材確保につながります。

競争力の強化

 国際競争が激化するなか、日本企業の労働生産性は低いままです。公益財団法人 日本生産性本部が公開しているデータによれば、日本における時間あたりの労働生産性は49.5ドルとなっており、これはOECDに加盟している38カ国の中で23位の位置付けです。

 1人あたりにおける労働生産性は78,655ドルで、こちらは38ヵ国の中で28位と、やはり高くありません。日本が国際競争に競り勝ち、存在感を示すためにも、企業の生産性向上が求められます。

製造業の生産性向上における着目点

 製造業を営む企業が生産性向上に取り組むにあたっては、5Sを意識することや、作業の課題や問題点をチェックすること、工程の見直しや改善、設備の最適化、デジタル化の推進などが重要です。

5S

 5Sとは、整理、整頓、清掃、清潔、しつけの5つの要素を指します。製造現場では5Sの徹底を図ることで、業務効率化の実現が可能です。

 製造現場が整理整頓されておらず、どこに何があるのかわからないようでは作業をスムーズに進められません。その都度、作業に必要な道具がない、資材がないと探し回らなければならず、いたずらに時間を消費してしまいます。

 5Sが徹底されていれば、時間を無駄に消費せず効率的に業務を遂行できます。5Sの徹底はコストもかからないため、すぐにでも取り組みが可能です。

作業

 作業で何かしらの問題が発生していると、生産性の低下を招くおそれがあります。顕在化していない課題が生じている可能性もあるため、チェックと可視化を進めましょう。

 どのような課題があるのかが明確になれば、適切な対処法を打ち出せます。課題がわからなければ対処のしようがありません。現場で生じている課題を正確に把握するには、実際に作業へ従事している従業員へのヒアリングが有効です。

工程

 生産ラインに問題が生じているのなら、見直しと改善が必要です。無駄な工程が含まれていないか、特定の従業員に負担がかかっていないかなどをチェックします。タクトタイムを意識することも大切です。

 タクトタイムとは、製品ひとつを生産するのに要する時間です。工程に無駄が生じていると、タクトタイムは伸びてしまいます。現場へのヒアリングや作業のモニタリングを行なうことで、問題が抽出できます。

設備

 設備のレイアウトも見直しポイントの1つです。設備のレイアウト次第で作業効率は大きく変化します。従業員の動線も考慮したうえで、もっとも効率よく業務を遂行できる設備レイアウトを考案する必要があります。

 新たに設備を導入するのもひとつの手です。産業ロボットやICTシステムなどの導入によって、大幅な業務効率化を実現できる可能性があります。一方、新たに設備を導入するとなると発生するコストも大きくなるため、費用対効果を考慮しつつ検討しなくてはなりません。

デジタル化

 製造現場のデジタル化は、生産性の向上に有効です。近年では、製造工場にデジタル技術を活用するケースが増えています。先端テクノロジーやシステムの導入によって、これまで人の手で進めていた作業の自動化や効率化を図れます。

 デジタル化の推進によって、作業時間の短縮を実現可能です。従業員への負担が軽減する、品質が安定するといったメリットも得られます。

製造業の生産性向上に活用できる技術

 製造業の生産性向上に有効な技術としてIoTが挙げられます。近年では、工場のIoT化を積極的に進める企業も増えてきました。ロボットやAI技術の導入も生産性向上に有効です。

IoT

 IoTとは、モノとインターネットを融合させたテクノロジーです。工場で使用しているさまざまな設備をネットワークでつなぐことで、稼働状況の可視化や設備機器の現状把握などが可能です。

 設備をネットワークに「接続することで、さまざまな情報を収集できます。収集したデータを分析すれば、どの工程に問題があるのか、どこで無駄が生じているのかといったことが分かり、具体的な改善の手立てを考えられます。

ロボット

 ロボットの導入は、コストの削減だけでなく生産性向上にも有効です。人の代わりに作業してくれる産業用ロボットを導入すれば、それまでその作業を担当していた人員を別の作業に回せます。リソースをより有効に活用できるようになり、生産性が高まります。

 24時間稼働が可能な点もメリットです。ロボットは人のように疲労することもなければ、集中力が途切れる心配もありません。24時間休まず稼働できるため、今まで以上の生産量を実現できます。

 ロボットビジョンシステムも生産性向上に役立つツールとして注目を集めています。これは産業用ロボットに目を持たせるツールで、うまく活用すればより人のような細かい作業をロボットに担当させることが可能です。

AI

 AI技術も工場の生産性向上に役立ちます。工場におけるAI技術の活用方法としては、異常検知などが挙げられます。従来、人の目や手で検品していたのをAIに任せることで、省人化や業務効率化、検品精度の向上などが実現可能です。

 AI技術による外観検査や異常検知を導入すれば、ヒューマンエラーも回避できます。人の目で行うチェックでは、どうしても漏れや抜けなどが発生するおそれがあります。一方、AIであればこのようなミスはしないため、ミスによる二度手間の発生なども回避が可能です。

 単純な作業などをAIに代行させることで、従業員をよりコアな業務に投入できるのもメリットです。限られたリソースを有効に活用できるため、生産性向上につながります。

製造業の生産性向上に役立つ3つのシステム

 生産性向上に役立つシステムとしてMESが挙げられます。情報管理や作業者支援などを行えるシステムであり、工場内における情報をリアルタイムに把握できます。工場内のデータを一元管理できるERPや、業務の自動化を実現できるRPAも生産性向上に有効です。

MES

 MESはManufacturing Execution Systemの略であり、日本語では製造実行システムと訳されます。工場内作業における各工程の進捗をリアルタイムにチェックできるほか、作業担当者への支援も行えるシステムです。

 MESには、資源配分や監視、スケジューリング、製造指示といった機能が実装されています。ほかにも、文書管理やデータ収集、作業者管理、製品品質管理、プロセス管理、保全管理、製品体系管理、実績分析といった機能を備えています。

ERP

 ERPは、社内に散在しているさまざまな情報を一元管理できるツールです。在庫や生産、注文などに関するあらゆる情報を1カ所で管理でき、リソースの有効活用を実現できます。

 ERPを導入すれば、生産スケジュールの確認や受注情報などをスピーディーにチェックでき、業務の効率化が可能です。1カ所で情報を管理できるようになるため、データの転記ミスや入力ミスなどの抑制にもつながります。なお、近年ではMESの機能を持つERPもリリースされています。

 意思決定のスピードがアップするのもメリットです。ほとんどのERP製品には、売上データをチェックできる機能が実装されています。売上や実績をひと目で把握できるよう、グラフィカルに表示できる製品もあるため、経営陣のスピーディーな意思決定に役立ちます。

RPA

 RPAは、手順や取り組み方が決まっている作業をコンピューターが代行するシステムです。基本的に、コンピューター上で取り組む作業の自動化が可能なシステムであり、請求書の処理や勤怠管理、メールの送信、問い合わせへの対応、データの入力、SNS上からの情報収集といったことが可能です。

 工場の現場でというよりは、バックオフィス業務の効率化と生産性向上が見込めます。さまざまな定形作業の自動化を実現できれば、バックオフィス業務を効率的に進められる環境が整い、現場への適切な支援を行えます。

 そのため、工場だけでなく組織全体の生産性向上を高めたいのであれば、RPAの導入は有効です。近年では、オンラインで容易に導入できるクラウドタイプのRPAも広がりを見せつつあります。クラウドタイプなら導入コストも抑えられるため、低コストで作業の自動化を図りたい企業にもおすすめです。

まとめ

 製造に携わる企業が今後さらなる発展と成長を続け、なおかつ利益の最大化をめざすには生産性向上への取り組みが欠かせません。取り組みによって品質の安定やコストダウン、人手不足の解消などを実現でき、組織力の強化にもつながります。 なお、効果的な生産性向上を考えている方は、スマートファクトリー化も視野に入れてみてはいかがでしょうか。工場のスマートファクトリー化により、大幅な生産性向上が見込めます。詳しく知りたい方は、以下のURLをチェックしてみましょう。

製造業のスマートファクトリー化をデジタル技術から支援

日本の製造業は人材不足や老朽化した生産設備の維持、技能継承など、さまざまな問題を抱えており、これらに対応するため、生産性の向上が喫緊の課題となっています。NTT東日本は、「デジタル技術」と「セキュアなインフラ環境」によって、工場のデジタル化(スマートファクトリー化)をご支援。製造業の生産性向上をサポートします。

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