2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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ICTで製造業はどのように変わるのか(第4回)

ローカル5Gとは? 工場で導入する方法や事例を解説

 携帯電話の次世代の通信規格として「5G」という言葉を目や耳にする機会があります。現在、国内の通信事業者(NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI、楽天モバイルなど)は、5Gの基地局整備を加速する動きを見せています。今回紹介する「ローカル5G」とは、こうした通信事業者が運用する5G(パブリック5G)ではなく、企業や自治体が独自で運用できる通信システムのことです。

5Gは第5世代の携帯電話通信規格

 5Gとは「5th Generation」の略で、第5世代移動通信システムを表しています。一般的な5G(パブリック5G)は、2020年からNTTドコモやソフトバンク、KDDIなどの通信事業者によって提供・展開されています。

 5Gの特徴は「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」の3つです。4Gと比べると通信速度はおよそ10倍、遅延はおよそ10倍の精度、同時接続台数はおよそ30~40倍になります。

 5Gの導入で、高画質な動画のライブ配信やオンライン診療が可能になります。また通信による遅延を抑えられるので、農業機械の自動運転やロボットの遠隔操作など、リアルタイム通信が必要な場面での活用が期待されています。さらに、基地局から端末への通信の仕組みが4Gと比較すると単純化されていて、多数の端末を同時に接続できる特徴もあります。

IoT(アイオーティー)とは

 IoTは「Internet of Things」の略称で、直訳すると「モノのインターネット」となります。

 数年前までインターネットは自宅や会社にあるパソコンから接続するものでしたが、テクノロジーと通信技術の急速な発展と成長に伴い、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からも高速なインターネット接続が可能になりました。

 モバイル端末に次いで、現在はエアコンや冷蔵庫といった家電製品や自動車など「モノ」とインターネットを直接接続する技術が注目を集めています。これがIoTです。

ローカル5Gとは?

 ローカル5Gとは、NTTドコモやソフトバンク、KDDI、楽天モバイルなどの通信事業者ではない企業や自治体が、一部のエリアまたは建物・敷地内に専用の5Gネットワークを構築する方法です。運用には無線局の免許を取得する必要があります。2019年から申請受付が始まり、2020年から実際に利用されています。

 通信事業者によって提供されているパブリック5Gは、都市部を中心に段階的に整備が進んでいますが、地方では整備が進んでおらず、使用できるエリアは限られています。一方、ローカル5Gの場合は、契約さえすればパブリック5Gがないエリアでも5G通信を利用できます。

ローカル5Gのメリット

(1)Wi-Fiより広範囲の通信が可能

 局所的なネットワークの規格として有力なのは、Wi-Fiです。しかしWi-Fiによる通信は狭いエリアに限られているため、大規模な工場など広い施設や、屋外の通信をカバーしきれないというデメリットがありました。

 一方、ローカル5Gは携帯電話で使われることを想定した通信回線であるため、広範囲のカバーが可能となっています。そのため大規模な工場などでは、産業用途としてWi-Fiに代わってローカル5Gを活用するムーブメントが起きています。

(2)通信トラブルの影響を受けにくい

 ローカル5Gは企業や自治体によって独自に構築するネットワークで、通信事業者が提供しているネットワークの状況に左右されずに利用できます。災害時や大規模なイベントの発生時に、多くの利用者が通信事業者の5G回線を利用すると、ネットワークが接続困難になってしまうリスクが生じますが、ローカル5Gのような独自のネットワークであれば、そのような影響を受ける可能性はそれほど高くありません 。

(3)地域ごとに5G通信環境を構築できる

 ローカル5Gは独自にシステム構築が可能なので、まだキャリアがカバーしていない山岳部などでも通信環境を整えることができます。

(4)情報セキュリティ強化

 今日のネットワーク社会ではマルウエアの被害が増加していることもあり、ネットワーク通信中の情報漏えいなどのリスクも考えられます。ローカル5Gは独自のネットワーク回線となり、外部からの脅威に晒される心配がありません。

工場×ローカル5Gで何がどう変わるのか

 5Gの導入によって、IoTのさらなる普及が見込まれています。また、既存のWi-Fiに置き換わってローカル5Gが導入されると、通信環境をより広くカバーすることが可能となります。

 ローカル5Gは、企業が工場の敷地内に専用のネットワークを整備して、自動運転や遠隔制御を行う「スマートファクトリー」に最適だとされています。従来のWi-Fiとは異なり、自動で瞬時に交信する基地局を切り替える「ハンドオーバー」という技術を使えば、Wi-Fiより広い面積の場所でスムーズに利用が可能です。通信が安定しているだけでなく、セキュリティも強固なローカル5Gは、新たな選択肢としても注目されています。

 こうしたインターネット環境を整備することは、生産品質や生産性の向上につながります。近年は工場内での作業工程を全自動化する「ファクトリーオートメーション」の導入が進んでいて、インターネット環境を整備してファクトリーオートメーションを導入すれば、人為的なミスの減少や作業効率の圧倒的な上昇が期待できるからです。

 ファクトリーオートメーションのカギを握るのがローカル5Gです。たとえばWi-Fiではカバーできない範囲にIoTセンサーを配置し、広範囲なエリアに点在した製造に関する情報を集約・分析できるようになるため、生産性の向上が期待できます。

工場×ローカル5Gの導入事例

 実際に企業がローカル5Gを導入した事例を紹介します。住友商事株式会社は、従来は検査員の目視によって製品の外観検査を行っていたところ、8Kの超高精細カメラで撮影した映像とAIを用いて、製品の傷などを自動検知・遠隔確認できるシステムを導入。結果、作業員の負担軽減につながりました。

工場×ローカル5Gの課題・今後

 工場×ローカル5Gには、課題も多く残されています。

(1)免許申請

 電波法では、電波を発するデバイスや機械などを使う際には、免許を取得することが定められています。よってローカル5Gを利用するためには、免許取得が必要です。免許申請には多くの書類が必要となるので、手間がかかります。

(2)技術理解の難しさ

 5Gが2020年に運用開始されたばかりということもあり、技術的な理解が難しいという課題が挙げられます。

(3)コスト算出の不明確さ

 ローカル5Gは2020年に導入されたばかりで、電波利用料以外の必要なコスト算出が難しい状況が続いています。見積もりの精査する際のネックとなる可能性があります。

まとめ

 株式会社クロス・マーケティングが2020年に実施した「5Gに関する実態調査」によると、ローカル5Gを「内容まで知っている」「名前だけ知っている」と答えた人の割合は28.7%と、それほど高くない結果でした。ただ、スマートファクトリーの導入をすすめる上では、重要なテクノロジーです。今後もローカル5Gという選択肢を意識しておく必要があるのではないでしょうか。

ネットワークインフラの強化で実現する製造業の「スマートファクトリー化」ガイド

これからの製造業には、IoT機器の導入をはじめ。ネットワーク環境を適切に整えることの重要性が高くなると思われています。本資料では、デバイス数の増加やアップロードするデータ量の増加に対応できるネットワーク環境を構築するための検討のポイントと、実際の導入事例について紹介いたします。



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