2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2022.03.04 (Fri)

ICTで製造業はどのように変わるのか(第14回)

製造プロセスの最適化が期待できるPLMソリューションとは

 現代のビジネスを取り巻く環境は、技術発展と共に変化しており、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)に代表されるような新しい技術を取り入れることで業務の各工程を効率化しようという流れが高まっています。

 製造業界では、SCM(Supply Chain Management)のように、商品流通を全体的に管理することで効率化につなげようとする動きが進む一方で、PLM(Product Lifecycle Management)と呼ばれる商品の設計から廃棄までを一貫管理する手法にも注目が集まっています。

PLMとは

 PLMとは、製品の設計や開発、販売やその後の保守、そして最終的な廃棄まで、それぞれのプロセスを独立して行うのではなく、一連の流れや製品のライフサイクルすべてをひとつのものとして捉え、一元的に管理することで効率化につなげようというコンセプトです。

 たとえばコスト面で考えると、設計段階で開発や製造のコストだけを考えるのではなく、販売や販売後のサービス、そして廃棄・リサイクルの体制の整備状況などすべてのデータを参照し、これらを考慮して設計することで、製品が企業にもたらす利益を最大化仕様という考え方です。

 また、PLMはコスト削減だけではなく、製品開発のリードタイム短縮につながる点や、複数プロセスにまたがる情報が集約されるため、蓄積されたデータを商品開発に活かしやすくなる点もメリットとして挙げられます。

PLMとPDMの違い

 PLMとよく混同されやすい用語にPDM(Product Data Management)があります。PDMは、設計時に必要となるCADデータやBOM(部品表)といった製品データの管理に特化し、業務効率化をめざす手法です。

 目的は同じで、コンセプトもよく似ていますが、製品データには含まれない生産体制の情報や製品の製造にあたって必要な従業員なども含めて考慮するPLMのほうが、広範囲をカバーします。PDMはPLM内に含まれる、という見方もできるため、企業によってはPLMとPDMをほぼ同義で用いることもあります。

PLMが注目を集める背景

 PLMは、最近生まれた新しい概念ではありません。2000年代には製造業界で広く知られていました。しかし、PLMが近年再び注目を集めているのには、いくつか理由があります。

製造プロセスの多様化

 技術発展に伴い、製造プロセスは多様化が進んでいます。異業種間で連携した製品開発が行われることもありますし、AIやIoTを活用した機器など、複雑な製品の登場に伴って製造プロセスもより複雑かつ多様になるケースが発生しています。PLMにより複雑なプロセスを一元管理し、最適化することの必要性、そして最適化が企業にもたらすメリットが再認識されているのです。

クラウドサービスの浸透と取得可能なデータの増加

 技術面の発展は、製品と製造プロセスの複雑化につながっただけではありません。製造業の現場でも技術の導入は進み、IoTを活用することで、PLMの判断材料となり得るデータを従来よりも多く、頻繁に取得できるようになりました。

 さらに現在、さまざまなシステムがクラウドサービスで提供されることが増えたことで、システム導入のハードルも下がりました。

ユーザーの嗜好の変化

 近年はユーザーの好みが変化するサイクルが短くなり、販売や生産中止などのタイミングが従来よりも難しくなっていることも、PLMの普及の背景にあります。

 設計段階では市場の動向から売上が見込めたものの、販売となった時点ではタイミングが遅すぎた、といったケースもあり、このような事態を避けるために、設計から販売までを一括して管理すること、そしてリードタイムを可能な限り短縮することが重要になりました。

PLMシステム・PLMソリューションとは

 上述の通り注目を集めているPLMですが、近年多くの企業がPLMによる課題解決を目的としたソリューションサービスを提供しています。

 PLMによって製品のライフサイクルを総合的に管理し、情報を集約することで課題解決や業務効率化を行うためのシステムをPLMシステム、あるいはPLMソリューションと呼びます。

PLMシステム導入の成功事例

マブチモーター株式会社

 同社は小型モーターに特化し、小型直流ブラシ付きモーターの世界シェアトップを誇る電気機器メーカーですが、社内の技術情報が設計や生産などといった機能別に管理・個別最適化され、技術情報が分散していたため、海外拠点に存在しているデータを含め、どの情報がどのシステムに含まれているのかわかりにくいことが課題でした。

 これらの課題を解決し、社内の技術情報とノウハウを集約、一元管理を行うために同社はPLMシステムの導入を決定しました。PLMシステムは2020年11月から稼働を開始し、異なる場所に散在していた技術情報を一元管理することが可能になりました。

 これにより、新製品開発の際に過去の類似例の検索をスムーズに行えるなど検索性が高まり、特に設計・生産における業務効率化が進みました。また、製品開発にノウハウを活かしやすい環境が整備されたため、今後、よりデータを効果的に活用した製品開発にも期待が集まっています。

PLMシステムで失敗しないために

 PLMシステムに限った話ではありませんが、上述のように、PLMシステム導入で業務効率が向上したケースがある一方で、思ったような効果が出なかったというケースも考えられます。そのような事態を避けるためには、以下のような点に注意すべきです。

現場従業員の理解を得る

 業務効率化のためには、当然ながら現場の理解が必要です。長期的には効率化につながるプロジェクトでも、短期的にはICTシステム担当者の負担が増加しますし、現場の従業員にPLMシステムのメリットが理解されなければ利用は進まないでしょう。

経営層がシステムへの理解を深める

 現場の負担を減らし、効率化につなげるには自社の状況に合ったPLMシステムの導入が必要です。この選定を行うためには、最終的な決断を下す経営層にも一定の知識が求められます。

目的と手段が逆転しないよう配慮する

 PLMシステムの導入目的は事前に明確にすべきです。製品開発の効率化、時間短縮のためにPLMシステムを導入するのが目的だったはずが、いつの間にかPLMシステムの導入自体が目的になってしまい、導入ための課題の調整や仕様変更などを繰り返すうちに、製品開発の効率は以前のシステムと大差ないものになってしまった、といったケースも考えられます。

まとめ

 PLMシステムは、効果的に活用できれば業務の効率化が期待できますが、きちんと機能させるためには現場の課題を正確に把握したうえでの要件定義や比較検討が必要です。自社で検討するのが難しい場合は、PLMシステムの導入パートナーや、外部のコンサルタントに依頼をするのもひとつの手です。

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