2016.10.21 (Fri)

元気な企業はどこが違う?成功企業の戦略とは(第13回)

「ウイダーinゼリー」不測の事態を挽回した決断力

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 ゼリー飲料の草分け的存在である「ウイダーinゼリー」。1994年の発売から20年以上たった今でも安定した人気を誇っています。しかし2014年、大幅なリニューアルが失敗し、売上が落ち込んだことがありました。

 今回は、わずか4ヶ月でリニューアルの見直しを行い、挽回に成功した森永製菓の決断を取り上げます。

ロングセラー「ウイダーinゼリー」に失速の過去

 2016年4~6月の森永製菓は、売上・利益ともに過去最高でした(売上高476億円、営業利益52億円)。なかでも「チョコモナカジャンボ」「ダース」と並ぶヒット商品である「ウイダーinゼリー」の売上は前年同期比28%増で、全体を牽引する好調な業績を上げています。

 ウイダーinゼリーが誕生したのは、冒頭で触れたとおり1994年のこと。これまで清涼飲料水としてのゼリー飲料はありましたが、栄養補給を目的としたゼリー飲料はなく、革新的な商品として登場しました。そして1999年、SMAPの木村拓哉さんが出演した「10秒チャージ、2時間キープ」のCMで注目を集めます。現在、栄養補給ゼリー飲料は各社から多くの種類が発売されていますが、その背景にはウイダーinゼリーの大ヒットがあります。

 発売以降順調に成長を続け、現在も好調なウイダーinゼリーですが、実は売上が落ち込んだ時期がありました。2014年3月、発売20周年を記念して大幅なリニューアルを図った時のことです。

 当時、ウイダーinゼリーは発売20周年を経て目新しさがなくなり売上が横ばい状態だったため、テコ入れが必要でした。そこで、コンセプト、ラインアップ、デザインなどブランド全般にわたって大胆なリニューアルを実施しました。しかし、結果は大苦戦。既存客が離れ売上は減少してしまいます。

わずか4カ月で再リニューアルの決断

 この結果を受け、森永製菓はわずか4ヶ月後の2014年7月、再リニューアルを行いました。名称やパッケージの変更だけでなく、営業にも力を入れ再出発を後押しします。それまで、ウイダーinゼリーは放っておいても売れる商品だと考えられていましたが、大失速で営業部隊が奮起したのです。店頭のPOPで健康効果をアピールしたり、飲料売場だけでなく、サプリメントなど健康関連商品の売場に陳列するなどして、積極的に売り込みました。

 こうした努力が功を奏したのか、2016年3月期の売上額は対前年比約2割アップとなり、ウイダーinゼリーは息を吹き返しました。

 リニューアルには、多くの業務と費用、時間がかかっていたはずです。その失敗を引きずらず、わずか4ヶ月という短期間で諦め、再リニューアルに踏み切ったことが、早期挽回につながりました。

 森永製菓を代表する人気商品の座に戻ってきたウイダーinゼリーは現在、「エネルギー」「マルチビタミン」「マルチミネラル」「プロテイン」「ゴールド」のラインナップとなっています。「エネルギー」のパッケージには「10秒チャージ」のコピーも復活しました。ロングセラー商品のリニューアルは、「何をどう変えるか」よりも、「何が愛されてきたのか」「何を残すべきか」ということを優先して考えるべきなのかもしれません。

 テコ入れをするはずが、逆効果になってしまった2014年のウイダーinゼリーのリニューアル。しかし、その後の決断の早さが、ウイダーinゼリーを復活させ、現在の好調につながっています。

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ライター・ウェブディレクター。プロのダンサーから転身。就職サイト、社会人向け情報サイト、エンタメサイトのウェブディレクターの経験を経て、記者、フリーライターとして活動しつつ、某テレビ局のサイト立ち上げ、コンサルなど幅広く活動している。

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