2016.09.20 (Tue)

元気な企業はどこが違う?成功企業の戦略とは(第11回)

“昔ながらの喫茶店”コメダ珈琲が人気の理由

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 海外の人気チェーンが上陸するなど、各社が熾烈なシェア争いを繰り広げている喫茶店業界ですが、昔ながらの日本の喫茶店スタイルでファンを増やしている店もあります。“名古屋式”の喫茶店チェーン「コメダ珈琲」です。全国に店舗を展開しており、この8月で国内700店舗を達成しています。

 コメダコーヒーはもともと、1968年に名古屋市で開店した街の小さな喫茶店で、そこから徐々にフランチャイズ展開を進めていきました。しかし、2000年代のはじめ頃までは、名古屋近辺の出店が中心でした。

 名古屋の街の喫茶店が、日本を代表する喫茶店にまでのぼり詰めた理由は、どこにあったのでしょうか。今回はコメダ珈琲の成長の理由、人気の秘密について取り上げます。

“昔ながらの喫茶店” がなぜ国内700店舗を達成できたのか

 コメダ成長のきっかけとなったのが、2008年の株式売却でした。創業者である加藤太郎氏は、同年にコメダの全株式を投資ファンドのアドバンテッジパートナーズに売却。2013年には同ファンドが、アジア系の投資ファンド「MBKパートナーズ」に転売しました。コメダの成長に拍車がかかったのはこの頃からです。2009年には335店だった店舗が、2016年2月末時点で676店と、ほぼ倍まで増えました。

 株式は創業者の手から離れたものの、店舗づくりは従来のコメダとほとんど変わっていません。たとえばスターバックスやドトールは、お客がカウンターで注文し自分で飲食物を座席まで運ぶセルフカフェであるのに対し、コメダは店員が注文を取りに来て飲食物を席まで持ってきてくれるフルサービススタイル。創業当時の“昔ながらの喫茶店”を守り続けています。

 現在、株式会社コメダの代表取締役社長を務めるのは、マクドナルドやセガでリーダーを務めた臼井興胤(おきたね)氏。臼井氏も“コメダイズム”の継承に努めており、週に1度は店に立っているとのこと。「消費者に接することのない本部の意思決定には限界がある」と、現場主義を貫いています。

 創業者のこだわりで、現在も受け継がれている方針が3つあります。その3つとは「一戸建ての店舗には駐車場を完備」「年中無休で長時間営業」「コーヒーの味の均一化」です。

 たしかにコメダといえば、ログハウス風の一戸建ての店舗には広い駐車場が設けられており、営業時間もほとんどが23時頃までオープンしています。コーヒーについては味が常に均一化されるよう、専用工場で抽出しリキッド状にしたものを毎日店舗に配送しているとのことです。ちなみにトーストは、自社工場で作ったものを提供しています。

伝統の「シロノワール」を「クロノワール」に

 コメダはこのように伝統を大事にする一方で、商品開発には積極的な姿勢を見せています。コメダといえば、デニッシュパンの上にソフトクリームを乗せた看板商品「シロノワール」が有名ですが、バレンタインの時期には、ソフトクリームをチョコ味のソフトクリームに変えた「クロノワール」を販売し、人気を博しました。

 人気商品が好調のうちに手を加えることには、抵抗のある企業が多いかもしれません。しかしコメダでは、チョコノワール以外にも、リンゴとカスタードクリームをトッピングした「Ringoノワール」、キャラメルソースを用いた「キャラノワール」といった兄弟商品を次々と登場させ、話題を集めることに成功しました。

 人気商品があることに安心していると、いつの間にか時代に置いていかれてしまう恐れもあります。看板商品のなかに新しさを打ち出すことが、消費者の購買意欲を高める結果となりました。

コメダの人気が競合を生む

 もともと日本の喫茶店といえば、コメダのようなフルサービススタイルの喫茶店が主流でした。その後、スターバックスやドトールのようなセルフカフェスタイルが流行しましたが、コメダの人気を受け、フルサービススタイルの喫茶店が改めて脚光を浴びています。最近では「星乃珈琲店」「ミヤマ珈琲」など、コメダの競合となるフルサービススタイルのチェーン店も人気を博しています。

 快進撃を続けるコメダは、果たしてこの先もさらなる快進撃を続けることができるのでしょうか? フルサービススタイルの競合他社に、どのように違いを見せつけるのでしょうか? コメダの挑戦はまだまだ続きます。

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ライター・ウェブディレクター。プロのダンサーから転身。就職サイト、社会人向け情報サイト、エンタメサイトのウェブディレクターの経験を経て、記者、フリーライターとして活動しつつ、某テレビ局のサイト立ち上げ、コンサルなど幅広く活動している。

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