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2023.03.13 (Mon)

小売業で広がるICT活用(第32回)

小売業が抱えている課題とは? 現状や解決策について紹介します

 新型コロナウイルス感染症の流行は、小売業にも大きな影響を与え、さまざまな課題を浮き彫りにしました。本記事では、日本の小売業が現在抱えている現状について解説するとともに、小売業の企業が市場で勝ち残っていくために必要となるポイントも紹介します。

小売業が抱えている課題とは?

 小売企業にはさまざまな店舗形態・販売形態がありますが、ほぼ共通して直面している課題があります。ここでは、小売業の現状や解決すべき課題について、代表的な2点を解説します。

自社商品が選ばれにくくなった

 近年は、インターネットの普及に伴い顧客ニーズが多様化しています。そのような中で顧客に自社商品を選んでもらうには、顧客ニーズへのきめ細かな対応やソーシャルメディアの活用など、さまざまな施策が必要とされています。

人手不足が深刻化している

 昨今は、小売業に限らずあらゆる業界で労働力不足が叫ばれています。その大きな原因が、少子高齢化です。総務省統計局の「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、15~64歳の労働力人口は、2022年平均で 5,975万人と、前年よりも6万人減っていることがわかります。特に小売店は、就業者数が前年より25万人も減少しており、これは全業種の中でも最大の減少幅です。

小売業の現状

 経済産業省が公表したWebサイト『2022年上期小売業販売を振り返る』をもとに、小売業の現状を見ていきましょう。

 まずは、小売業販売額の変動です。「自動車小売業」や「機械器具小売業」などは減少した一方で、「燃料小売業」、「各種商品小売業」、「医薬品・化粧品小売業」などが増加しており、全体としては前年同期比で約1.5%増加しました。なお、販売価格によって売上が大きく変動する「飲食料品小売業」や「燃料小売業」を除いた全体では、前年同期比0.3%の増加となっています。

 一方、業態別では百貨店やスーパーが9兆8,642億円と、前年同期比で3.5%増加した結果になりました。とくに百貨店が前年同期比で14.8%と大きく販売額を伸ばしています。店舗数は減っているものの、1店舗あたりの販売額が増えており、2021年4月に「飲食費」「婦人・こども服・洋品」「身の回り品」などが顕著な伸びを見せています。

 スーパー全体では前年同期比0.1%と微増です。「家庭用品」が下がり、「飲食料品」、「その他の商品」などが増加傾向となりました。

 コンビニエンスストアは5兆8,311億円と、前年同期比で2.6%増加となりました。「非食品」、「ファストフード及び日配食品」など、全項目での販売額増加が要因と考えられます。

 家電大型専門店は2兆3,447億円で、前年同期比で0.3%と微増。「情報家電」や「AV家電」が減少したものの、「生活家電」、「通信家電」などが増加しています。

 ドラッグストアは3兆7,053億円となり、前年同期比で3.8%と大きく伸びました。「トイレタリー」の販売額が減少したものの、「食品」や「調剤医薬品」、「ビューティケア(化粧品・小物)」などの売り上げが好調です。

 しかしホームセンターは1兆6,320億円で、ほぼすべての項目の販売が振るわず、前年同期比2.5%の減少となりました。

小売業における課題の解決策

 2022年度上期は、前年度と比較すると伸びが見られたものの、小売業が抱える課題は解消されたわけではありません。課題の解決にはどのような取り組みが必要なのでしょうか。ここでは、5つの切り口から解決策を紹介します。

ニーズに合った販売方法を導入する

 ひとつめは、顧客ニーズの多様化にあわせて、顧客が「何」を「どのように」購入することを望んでいるのかを考え、最適な販売方法を導入する方法が挙げられます。一例として、リアル店舗と連動させたECサイトを立ち上げ、多角的な店舗経営を行うといった方法が考えられるでしょう。また、新型コロナ感染症対策として、セルフレジやキャッシュレスなど非接触での支払方法を用意することも、必要な取り組みと考えられます。

事業計画を見直す

 小売業を取り巻く環境は、コロナ禍で大きく変化しました。イレギュラーなことが次々と発生し、先行きが見えないことから、現代は「VUCA(ブーカ)の時代」とも呼ばれています。VUCAとは、Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの頭文字を取った言葉で、社会やビジネスにとって未来の予測が難しくなる状況を意味しています。

 そこで大切なのが、事業計画の見直しです。見直しは通常、環境や状況に何らかの変化が起きたときに行います。Withコロナの時代になりつつある現在、どのようにすれば競争力を強化し、市場で勝ち残れるのかを、できるだけ多角的な視点から検討することが大切です。

付加価値のある売場づくりをめざす

 昨今、小売業界では「顧客体験(CX)」というキーワードが注目を集めています。CXとは、ある商品を認知してからの、購買行動におけるさまざまな接点やコミュニケーションに対して顧客が感じる「価値」のことです。売場づくりを行う際は、商品の魅力をわかりやすく伝え、価値を感じた上で、最終的に購入してもらえるように心がけることが重要です。

 一例としては、顧客ニーズを的確にとらえ、PR文言を工夫したりPOPを作成することなどが挙げられます。一般的にノベルティと呼ばれる「販促品」を配布することも、有意義な取り組みです。自社のみで取り組むのが難しい場合は、メーカーへ販促品の協力を仰ぐ手もあります。

SDGs経営を強化する

 SDGsは「Sustainable Development Goals」の略語で、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれています。国連に加盟している193カ国が、2016年から2030年の15年間で達成することを目標にしているもので、17の目標と169のターゲットで構成されています。

 これからの小売業は、SDGsの目標達成を経営に取り入れる「SDGs経営」の実践が重視されます。SDGs経営を実践することで、ステークホルダー(取引先や株主などの利害関係者)から信頼を獲得しやすくなるというメリットが得られるからです。

まとめ

 小売業は、人材不足や顧客ニーズの多様化などもあり、これまでと同じことを行うだけでは、成長が難しい状況です。顧客ニーズに則した販売方法の導入はもちろん、事業計画の見直しや付加価値のある売場づくり、SDGs経営の強化などを行い、他社との差別化を図っていきましょう。

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