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2023.03.13 (Mon)

小売業で広がるICT活用(第37回)

店舗の防犯対策は何をすべき?犯罪の種類や対策法について解説

 店舗の大小に関わらず、店舗経営には防犯対策が必須です。窃盗だけでなく従業員や顧客に対する暴行・傷害などは、店舗経営に大きな損害を与えかねません。

 こうした犯罪から店舗・スタッフを守るためには、防犯マニュアルの徹底や従業員の心構え、物理的な防犯システムの導入が効果的です。どのような犯罪が起こりやすいか、店舗で起こりうる犯罪や対策について知識を深め、効果的な防犯対策を導入し、店舗の安全を守りましょう。

店舗で起こりうる犯罪とは

 店舗で発生する犯罪にはさまざまな種類があり、中には従業員や顧客の生命に関わるようなものもあります。防犯対策の効果を高めるためにも、まずは店舗で起こりうる主な犯罪について知っておきましょう。

さまざまな犯罪につながる「不法侵入」

 不法侵入は、人が管理する建物に正当な理由なく立ち入る行為です。厳密にいうと「不法侵入罪」という犯罪はなく、店舗の場合は「建造物侵入罪」に分類されます。営業中・営業時間外のどちらでも起こる可能性があります。

 犯罪を目的とした不審者に不法侵入されると、従業員・顧客への被害、備品・貴重品(金銭になるものすべて)などの窃盗・万引き被害、放火などが発生する恐れがあり、店舗にとって大きなダメージになるでしょう。金銭的な被害だけでなく、店舗の安全性に対する信頼も失墜する可能性があります。

 不法侵入を防ぐためには、そもそも不審者を店舗内に入れない対策や、万一侵入されたときにとるべき行動の策定が必要でしょう。

金銭目的で行われる「窃盗・強盗」

 窃盗・強盗は、主に店舗内の金庫やレジの売上金などを狙った犯行で、店舗に経済的な損失を与えます。万引きも窃盗にあたり、やはり経済的な損失が発生する犯罪です。

 盗まれるものは、何も現金や商品ばかりではありません。店舗で使っているパソコンやタブレット端末など、金銭に換えられるものなら何でも狙われる恐れがあります。それらの内部に記録されている情報も一緒に盗まれるため、情報漏えいの可能性も高まることになります。

 強盗犯は凶器を所持していることがあります。多くは従業員を凶器で脅迫し、金庫やレジを開けさせて金品を盗むためです。このようなケースでは、従業員やその場に居合わせた顧客が身体・生命の危険にさらされる状況となり、取り返しのつかない被害が出かねません。

 警察庁では強盗を「凶悪犯罪」に分類するほど、重大で危険な犯罪です。そのような危険から従業員や顧客を守るために、念入りな防犯対策を講じることが望まれます。

死者が出る恐れもある「放火」

 強盗と同じく凶悪犯罪に分類されているのが、放火です。東京消防庁の報告によれば、2021年における総出火件数35,222件のうち、「放火」を出火原因とするものは2,333件であり、「たばこ(3,042件)」「焚き火(2,764件)」「コンロ(2,678件)」に次ぐ第4位となっています。さらに「放火の疑い」も含めると、3,888件で第1位に繰り上がります。それほど発生件数が多いのであれば、店舗も無防備でいるべきではないでしょう。

 店舗内や敷地内で放火が行われれば、店舗の商品や財産を一瞬で失いかねません。それどころか、人命が奪われるなど、重大な被害が発生する可能性もあります。そもそも放火をさせないための防犯対策はもちろん、万一の出火を想定し、従業員や顧客がすぐに避難できる環境を整えることも大切です。

従業員に被害が出ることもある「暴行・傷害」

 ささいなトラブルや何らかの行き違いなどから、顧客同士や顧客と従業員の間で殴ったり傷つけたりといった暴行・傷害事件に発展することもあります。顧客同士のトラブルだったとしても、仲介に入った従業員が被害を受けたり、無関係の顧客が巻き込まれたりする危険も考えられます。

 暴行・傷害は、ときに被害者に重大な後遺症を残したり、人命が奪われる可能性もあります。従業員や顧客を守るためにも、対応マニュアルの作成・徹底が求められます。

店舗に侵入する手口とは

 店舗の防犯で特に重視すべきなのが、さまざまな犯罪につながる不法侵入への対策です。ここからは、犯罪者が店舗に侵入する主な手口について解説します。

ガラスを破壊して侵入する

 「ガラス破り(ガラス破壊)」は、不法侵入の手口の中でもオーソドックスな方法です。鍵の周辺に小さな穴を開け、そこから手を入れて解錠します。窓ガラスに穴を開ける方法としては、「こじ破り」「打ち破り」「焼き破り」などが挙げられます。

 こじ破りとは、窓ガラスとサッシの間にドライバーを打ち込んでガラスを破る方法です。窓ガラス全体ではなく、窓ガラスの錠前部分だけを破るため時間がかからないうえ、大きな音がしない、熟練した技術がなくても成功しやすいなどの特徴があります。

 打ち破りとは、バールのような道具で強い衝撃を与えたり、物を投げ込んだりしてガラスを破壊し、破壊した箇所から手を入れて解錠する方法です。この方法は大きな音が出ますが、素早い破壊と侵入が可能です。

 焼き破りとは、急激な温度変化に弱いガラスの性質を利用した方法です。ガラス窓をライターなどで熱したあと、冷却スプレーなどで急激に冷やして破壊します。ガラスの種類によっては短時間で破られてしまうほか、割れたときにほとんど音がせず、道具を隠し持ちやすいなどの特徴があります。

客用出入口・通用口・窓の3箇所から侵入する

 店舗には侵入口に選ばれやすい箇所があります。そうした場所をあらかじめ認識し、簡単に侵入できないように対策するのも有効です。特に選ばれやすい侵入口としては、客用出入口・通用口・窓の3箇所があります。

 犯罪者が客用出入口から堂々と入り込むケースも決して少なくありません。客用出入口は、営業時間外や店休日で人がいないときや、そもそも人通りが少ない立地の場合などに狙われやすい箇所です。

 通用口は、基本的に従業員や出入りする業者など関係者限定の出入口です。客用出入口よりも目立たない場所にあることが多いため、人目につかず、侵入口にされるケースは珍しくありません。施錠をしていても、鍵やドアそのものを破壊して侵入される恐れがあります。タイミングによっては従業員などと鉢合わせすることで、人的な被害が発生しかねない場所です。

 窓は、客用出入口や通用口の鍵・ドアなどと比較すると壊しやすいため、人目につかない場所の窓を侵入口に選ぶ犯罪者もいます。上述したようなガラス破りのほか、戸締まり忘れを狙って侵入してくるケースも考えられます。

 犯罪者の多くは素早く犯行を済ませたがるため、防犯の工夫としては侵入するまでに時間がかかるような対策がおすすめです。過去に財団法人 都市防犯研究センターが元窃盗犯を対象として実施した調査によると、侵入工作に2分かかると約17%、5分以上かかると約51%が「侵入を諦める」と回答しました。つまり、侵入工作に5分以上耐えられる防犯環境を構築すれば、侵入犯罪の被害を減らせる可能性が高くなると考えられます。

店舗で実施すべき防犯対策

 犯罪被害を抑えるためには、店舗での防犯対策が重要です。防犯カメラの設置や防犯マニュアルの導入、窓ガラスの見直し、犯罪抑止につながる声かけや挨拶などが効果的です。

防犯カメラを設置する

 防犯カメラの設置は、高い犯罪抑止効果が期待できます。侵入経路にされやすい客用出入口・通用口・窓が映る場所を中心に、防犯カメラを設置すべきでしょう。

 防犯カメラは、「防犯カメラがある」と思わせるだけでも、犯行を抑止できる可能性があるため、ダミーカメラの設置も有効です。ただし、ダミーカメラは録画機能がついていないため、侵入者の特徴や侵入の手口など、いざというときに証拠となる映像を残せません。万一を想定するのであれば、やはり録画機能を持った防犯カメラが良いでしょう。

 防犯カメラの設置と併せて店頭や店内に「防犯カメラ作動中(録画中)」などのステッカーを貼ると、万引き防止や暴行・傷害などの抑止に貢献します。そもそも防犯カメラは、プライバシー保護の観点から、防犯カメラが作動中である旨を掲示することが望ましいもののため、防犯カメラ設置の際には、録画している旨を明示するのは必須といえます。

防犯マニュアルを作成する

 従業員向けの防犯マニュアルを作成・共有することによって、防犯意識を高められます。店舗で起こりうる犯罪や、その具体的な対策を記載し、スタッフに周知すべきでしょう。

 たとえマニュアルを作成しても、対策の内容が曖昧だったり中途半端な場合、有事の際に従業員が危険にさらされる可能性があります。例えば、凶器を持った強盗への対処マニュアルに不備があれば、怪我や命を落とす危険につながりかねません。「このような事態にはどう対応するか」「防犯グッズやカラーボールを導入するならどう使うか」など、考えられるケースや手段について詳細に記載すべきでしょう。形だけのマニュアルではなく、防犯に本当に効果的なマニュアルを作成することが大切です。

防犯ガラスを設置する

 窓ガラスを防犯ガラスにすることによって、ガラス破りによる侵入が阻止しやすくなります。現状で一般的な板ガラスを使っているのなら、より防犯性能が高い防犯ガラスへの交換が望ましいです。

 防犯ガラスは、「破壊されにくい」ガラスのため、「絶対に破壊されない」ガラスというわけではありません。しかし、一般的な板ガラスと比べて強度に優れており、破壊までに時間がかかるため、犯罪者が諦めて立ち去るか、警察が来るまでの時間を稼ぐ可能性が期待できます。

 侵入に時間を要する環境の構築が、侵入犯罪の防止にある程度寄与することは、先述のデータが示すとおりです。「破れにくいガラス=防犯性能が高いガラス」を設置することは、不法侵入に対する抑止力の向上に繋がるといえます。

挨拶や声かけを積極的に行う

 警視庁が実施した「万引き被疑者に関する実態調査」によると、万引き被疑者が「犯行を諦める原因」の第1位に「店員の声かけ」が挙げられており、高齢者・青年・少年の初犯/再犯いずれにおいても60%超を占めています。この結果を見るに、店舗を訪れる人に積極的に挨拶や声かけを行うことも、防犯対策として一定の効果が期待できます。

 万引き犯は基本、店員の死角で犯行を行います。挨拶や声かけをして店員の存在を意識させれば、店員の目が気がかりとなり、犯行を諦める可能性が高くなります。

 声かけの際は、相手の目を見て行うことがポイントです。これには、万引き犯に「この店舗の従業員は客を一人ひとり見ている」と感じさせ、犯罪抑止効果を高める狙いがあります。

防犯対策において店舗が注意すべきこと

 いくら綿密な防犯対策を立てても、適切に運用しなければ失敗に終わることもあります。防犯対策の効果を上げるために、注意点を3点挙げます。

従業員教育を徹底する

 店舗での犯罪を防止するためには、防犯カメラや防犯ガラスの導入といった物理的な施策だけでなく、それぞれの従業員が高い防犯意識を持って業務に臨めるよう、徹底した指導を行うことも重要です。防犯マニュアルの作成・配布はもちろん、正しい防犯知識の共有や、教育の一環としてマニュアルに沿ったシミュレーション訓練を行うなどして、防犯意識の向上を図るべきでしょう。

内部犯にも警戒する

 店舗で犯罪を行うのは、何も外部犯だけとは限りません。従業員による万引きや売上金の着服といった、いわゆる「内引き」にも警戒する必要があります。レジ周辺やバックヤードに防犯カメラを設置するなど、内部犯に対する備えも重要です。

従業員の退職後は、暗証番号の変更や合鍵の回収を行う

 退職した元従業員から情報が漏れたり、回収しそびれた合鍵が不当な目的で使われたりする可能性もゼロではありません。従業員が退職後した後は、合鍵を回収したり、鍵の保管場所を変えたり、暗証番号を変更するなどの対策が求められます。

まとめ

 店舗は、不法侵入や窃盗などの被害を受けるリスクがあります。中には強盗や放火など、財産や生命を奪うような危険な犯罪が起こることもあり、従業員や顧客の安全を守るためにも徹底した防犯対策が必要です。

 効果的な防犯対策としては、防犯カメラの設置や防犯マニュアルの作成・共有、一人ひとりへの声かけなどが挙げられます。取り入れやすいものから着手していくことで、店舗の安全性も徐々に向上していくことでしょう。

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