スマートフォンが音声入力機能を備えていることは、当たり前になりつつあります。Apple製品に搭載されている「Siri」をはじめ、Amazonが展開している「Alexa」やMicrosoftの「Cortana」、Googleが展開している「Googleアシスタント」など、各社がそれぞれ独自の音声アシスタントを開発しており、私たちの日常で身近な存在となっています。
そんな中、小売業でも音声アシスタントの活用が注目されています。ここでは、音声アシスタントの概要やメリット、課題、活用事例などを紹介します。
音声アシスタントとは
音声アシスタントとは、音声認識技術と人工知能(AI)を活用した「NLP(自然言語処理)」を組み合わせることで、音声のやり取りを通して操作する機器や、利用するサービスのことです。「AIアシスタント」や、「デジタルアシスタント」と呼ぶこともあります。
スマートフォンやパソコン、タブレット端末などに搭載されることが多い機能ですが、最近はインターネットに接続可能で音声による操作が行えるスマートスピーカーへの搭載もよく見られます。
音声アシスタントの主な特徴
音声アシスタントに限らず、AIやインターネットを活用した機器やサービスは多くありますが、音声アシスタントと比べると、音声だけで必要な情報の伝達が完了する点が大きく異なります。
機器の表示画面を見る必要はなく、スクリーン操作、ボタン操作、キーボード操作も必要ありません。運転中の車内や倉庫内での検品作業中など、視線を外すことが難しい作業環境や、両手がふさがっている場面で活用できる特徴があります。
音声アシスタントは、顧客対応にも活用できます。たとえば音声アシスタント機能を備えた無人レジを用意し、顧客からの注文を音声アシスタントで受ける、といったことが考えられます。店員の人数に関係なくレジが増やせるのでレジ待ち時間の減少が期待できるほか、レジ担当店員にほかの業務を任せることで、業務効率が向上する可能性も考えられます。
音声アシスタントを活用する小売業の事例
カルフール
フランスの小売企業カルフールは、音声アシスタント「Googleアシスタント」を利用したオンラインショッピングサービスを提供開始しました。「OK Google、je veux faire lescourses」と話すことでサービスが開始でき、顧客は「バター」「牛乳」「チーズ」などの一般名詞を話すと、ショッピングリストに商品が追加されます。追加された商品は顧客の好みを反映したものとなっており、自由に追加・削除・変更できます。
株式会社モスフードサービス
ハンバーガーチェーン店「モスバーガー」を運営する同社は、AIセルフレジ(無人レジ)の実証実験を行いました。AIセルフレジは音声アシスタント機能を有しており、画面タッチだけでなく音声でも注文できます。実際に勤務する店員の接客を分析し、モデル化したことで自然な流れでの注文受付やおすすめ商品の提示、音声が曖昧な際に近い商品の表示などを実現しています。
まとめ
現時点では、音声アシスタントを活用する企業はそれほど多くありません。とはいえ音声アシスタントの技術自体は前述のGoogleやAmazon、Microsoftをはじめ、さまざまな企業が提供しているので、自社で1から開発するよりも導入のハードルは低いといえるでしょう。それでも一定のコストは必要となります。導入後の人材コスト減少などメリットや課題を見極めて、導入を進めましょう。
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