2023.03.15 (Wed)
小売業で広がるICT活用(第44回)
小売業のマーケティングで押さえておきたいポイント
コロナ禍でオンライン化が加速する一方、実店舗の売上が減少している小売業では、データを活用した効果的なマーケティングが欠かせません。近年はさまざまなデータが取得できますが、効果的な活用ができていないケースもあります。本記事では、データマーケティングを成功させるために押さえておきたいポイントを紹介します。
小売業でデータマーケティングが加速する3つの理由
データマーケティングとは、顧客データやPOSデータ、外部の二次データなどを活用し、売上や顧客体験の向上につなげるマーケティング手法のことです。「データドリブンマーケティング」と呼ばれることもあります。
小売業でデータマーケティングが加速する背景には、「顧客の嗜好・ニーズの多様化」、「テクノロジー/データの進化」、「新型コロナウイルスの影響」の3つの理由があると考えられます。
1. 顧客の嗜好・ニーズの多様化
消費者の価値観が多様化し、オンラインとオフラインが複雑に重なり合った現代では、顧客が購買に至るまでのニーズや行動にも無数のパターンが生まれています。ひとり一人のニーズや行動に合ったアプローチを効率的に実践するためには、従来の属人的な経験や勘に頼るマーケティングではなく、データに基づく的確なマーケティングが必要になります。
2. テクノロジー/データの進化
昨今、テクノロジーの進化により、小売業界でもさまざまなデータを取得できるようになっています。POSデータのみならず、在庫情報、店内の人流や行動ログ、画像・映像データ、Webサイトのユーザーログ、さらには天気やSNSなどの二次情報もデータマーケティングに活用できます。
3. 新型コロナウイルスの影響
コロナ禍で新しい生活様式が浸透した結果、消費者のオンライン利用が一気に加速しました。小売業でもWebサイトやECサイトを活用した集客・販売に注力するだけでなく、実店舗の省人化・無人化、ショーケース化などが進み、オンラインとオフラインの垣根を超えた戦略が求められるようになりました。こうした大きな変化に伴い、マーケティング領域においてもデータを活用した高度な施策を打ち出す必要が生じています。
小売業がデータマーケティングを実践するメリット
小売業がデータマーケティングを活用することで、以下のような結果が得られると想定できます。
1. 新規顧客の獲得/既存顧客との関係性向上
マーケティング活動には大きく分けて、「新規顧客の獲得」と「既存顧客の維持」という2つの目的があります。「新規顧客の獲得」については、高度なデータ分析を行うことで効率的に新規顧客を獲得する施策の実践や、これまで見えていなかった潜在的な消費者ニーズを発見することで新しい顧客層の開拓につなげることが可能になります。「既存顧客の維持」については、既存顧客の属性や行動をデータ分析で明らかにすることで、ひとり一人のニーズに寄り添ったOne to Oneマーケティングを実践できるようになり、結果として顧客体験や顧客ロイヤルティの向上が期待できます。
2. データに基づくアプローチでマーケティング費用対効果を最適化
データ分析で顧客ニーズや行動パターンを正確に把握することで、顧客に対してピンポイントで最適なアプローチを実践できるようになるため、マーケティング活動で発生するコストの無駄を削減することができます。根拠に基づくマーケティングは費用対効果(ROI)の向上に貢献するでしょう。
3. PDCAサイクル実践による持続的な改善
マーケティングは一度施策を実行したら終わりではなく、その結果を検証し、持続的な改善や改良につなげていくことが重要です。データ分析ではあらゆるデータを検証対象に用いることができるため、実行した施策で得られたデータ自体を分析対象に加えることで、高度なPDCAサイクルを回すことが可能になります。
データマーケティングを成功させるために必要なポイント
データマーケティングを成功させるためには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。ここでは大きく3つのポイントを紹介します。
1. データマーケティングの目的を定義する
データマーケティングにおいて最も大切なのは、目的を明確に決めることです。目的がないとどのようなデータを分析すべきか、どのような手法で分析すべきかが定まらず、分析結果に対する考察や意思決定も曖昧になってしまいます。まずは現状の課題や達成したい目標を考慮した上で目的を定義し、知りたい数字や分析後の判断基準も具体的に設定しておきましょう。また、その目的がデータマーケティングで実現できるのか、費用対効果は適切なのかという実現可能性についてもしっかりと検証しておく必要があります。
2. 目的達成のために、本当に必要なデータを選定・収集する
データの種類や量が多いほど分析に時間やコストがかかりますし、分析精度の低下にもつながりかねません。定義した目的達成のために本当に必要なデータを選定し、必要に応じて外部データも組み合わせて分析精度を高めることが大切です。そのために有用なのがカスタマー・データ・プラットフォーム(Customer Data Platform、CDP)です。CDPを活用することで、複数のデータを統合して精度の高いデータ分析が可能になります。目的達成のために、必要に応じて外部データを組み合わせるという選択肢もあります。
3. PDCAを回して改善し続ける仕組みを作る
先述したとおり、データマーケティングは導入がゴールではありません。施策で得られたデータの検証を踏まえて、次の目標やアクションを決定し、具体的な施策に落とし込んで、実行した結果を改めてデータに基づきながら評価する──。このように、データドリブンなPDCAサイクルを回すための仕組みづくりを行う必要があります。
外部ソリューション活用でデータマーケティングがさらに加速
小売業でも着実に導入が進んでいるデータマーケティングですが、事前のデータ選定や分析環境の整備には専門的なノウハウや人材が必要であり、また導入したもののPDCAを回す仕組みの構築がうまくいかず、思い描くようなデータマーケティングを実現できていないという課題も生じています。
その解決策として、データマーケティングに特化した外部ソリューションを活用するという選択肢があります。NTT東日本が提供するCXソリューションは、事前にデータマーケティングの実現可能性や費用対効果の検証が可能で、従来のPOSデータに加えてWebサイトのログ、来店履歴、店舗の人流といったあらゆるデータを適切に組み合わせることで、質の高いデータ分析を実行できます。さらに、PDCAを回す仕組みの構築もサポートすることで、持続的なマーケティング施策の立案・改善が容易にできるようになります。お試し導入も可能ですので、これからデータマーケティングを導入したい方はもちろん、すでにデータマーケティングを実践している方も活用できます。
先行き不透明な時代における小売業のデータ分析・活用入門
ビジネスのデジタル化が急速に進む昨今。収集・分析したデータを経営戦略に活用する「データドリブン経営」に注目が集まっています。この潮流は小売業界においても例外ではありません。消費者のニーズが多様化し急速に変化する先行き不透明な時代で小売事業者が生き残るには、データドリブン経営の実現がカギとなります。本ホワイトペーパーでは、そもそもデータドリブン経営とは何かを整理するとともに、取り組みを成功させるために押さえておくべきポイントも解説します。
NTT東日本が提供する「CXソリューション」でデジタル活用
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