2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2024.10.03 (Thu)

まちづくりのヒント(第9回)

アナログな業務はデジタルで効率化。中野市の「庁内DX」に迫る

 長野県中野市は、市を挙げてDXに取り組んでいる自治体です。同市ではこれまで、紙の書類で業務を行っていましたが、コロナ禍を機にデジタルツールを活用する「庁内DX」をスタート。現在では文書管理・決裁システム、クラウド契約システム、クラウド勤怠管理システムを導入し、大幅な業務効率化に成功しました。

 同市はアナログな業務をどうやってデジタルに変換したのでしょうか? 中野市の庁内DXについて、企画財政課 DX推進係の金井俊和氏、梅田一海氏に話を聞きました。

<導入いただいたソリューション>
庁内DX


<ソリューション導入効果>
・勤怠管理に関する手間や時間を大幅に削減
・手計算で行っていた給与計算の処理をデジタルで効率UP
・契約書や約款の作成・修正業務に関する手間や時間を大幅に削減
・庁内の印刷物を約10%削減


<NTT東日本選定のポイント>
・自社の製品にこだわらない、幅広いソリューションの提案
・サポート体制の手厚さ
・自治体DXの知見・ノウハウが豊富

勤怠管理は書類とハンコ、給与計算は人力。日々の業務は紙に縛られていた

──中野市が庁内DXに取り組むきっかけや背景について教えてください

金井氏:DXに取り組むもっとも大きな理由は、業務効率化です。我々はこれまでずっと紙ベースで業務を行ってきたため、業務が煩雑で、時間がかかっていました。

 たとえば勤怠管理は、出勤したら、日付や名前が書かれた出勤簿にハンコを押して、それを所属長に確認するというスタイルで進めていました。しかし、時間を記載する欄が無いため、何時に出勤して何時に退勤したかもわかりませんし、出張や研修で出勤できない際は後日対応する必要があります。休日出勤や残業の申請についても、すべて紙を出力して、必要事項を記載し、ハンコを押して提出するという形で行っていました。

 しかも給与計算についても、これらの書類を集約し、目視で確認しながら手計算で行っていました。中野市の職員は、非常勤職員(会計年度任用職員)も含めると、600~700人程度にのぼります。600~700人の給与計算を、人力で毎月行うのは、大変な手間と労力がかかります。残業や時間休、振替休日などを考慮して複雑な計算をする必要がありますし、間違いがないよう何回もチェックしなければなりません。まずは勤怠管理をデジタル化しようという話になりました。

 契約に関する業務も、紙ベースで大変な労力が発生していました。企業と契約する際は約款を作成し、相手に提示しますが、契約金額に応じて、約款の一部の文言を消す作業をする必要があり、1件の約款につき1時間程度かかっていました。

 ほかにも契約内容の確認、公印の押印許可をもらう庁内各部署の確認を受ける必要があり、場合によっては2時間ほどかかることもあります。しかも、これらの作業を経た約款を郵送する手間も加わります。非常に非効率で、庁内で大きな問題になっていました。

 このような課題をどうにかしたいと考えていたときに、新型コロナウイルスの感染が拡大し、平時の運用ができない状態が続きました。“職員や住民の安全を守りながら行政サービスを維持するには、さまざまな業務をオンラインに切り替えるしかない”という状況になったことで、一気に庁内DXが進みました。

 DXが進んで庁内の業務が効率化すれば、コロナ後も、より良い行政サービスが提供できるようになるはずです。市民により便利で、より質の高いサービスをお届けしたい、そんな思いで、本格的な庁内DXをスタートしました。

総務部 企画財政課 DX推進係 副主幹 金井俊和氏

困ったらすぐに相談。複数窓口でDXの疑問を解決

──庁内DXは、どのような段取りで進めたのでしょうか?

金井氏:まずは、デジタル人材派遣事業で派遣いただいているNTT東日本のスタッフに相談し、最適なソリューションの提案を受けることから始めました。具体的には、クラウド勤怠管理システム、クラウド契約システム、文書管理・決裁システム、中野市で運営しているケーブルテレビの請求書発行作業をデジタルで行うためのクラウド決済サービスなどです。

梅田氏:令和4年度より各種ソリューションの導入を開始し、まずはクラウド決済システム「楽々クラウド決済サービス」から運用を始めました。その数か月後にクラウド契約システム「クラウドサイン」を導入し、令和6年1月より、クラウド勤怠管理システム「キングオブタイム」を本格運用しています。

──プロジェクトを進める上で苦労したことはありましたか?

金井氏:勤怠管理システムを導入し、運用し始めた際に、休日出勤の処理が難しいということに気付きました。振替休日を取得したり、時間休に振り替えるなどいくつか処理の方法があり、どう申請して、どんな段取りで承認し、システムに反映させるか、といったところの調整が複雑で苦労しました。NTT東日本に相談し、アドバイスに従って調整したことで、現在は問題なく運用できています。

 こうした、ちょっとした確認事項や調整事項が出てきたときにありがたかったのが、専用のサポート電話窓口です。もちろん、NTT東日本のアドバイザーに相談することもできるのですが、そのスタッフが不在のときでも、サッと電話して疑問を解決することができます。相談先が複数用意されているというのは、とても手厚く、安心できると思いました。

梅田氏:私が印象に残っているのは、庁外のシステム構築です。本庁でしたら各自のPCで勤怠管理の操作をすれば良いわけですが、たとえば公民館や保育所といった庁外の施設の場合は勝手が異なります。1台しかないLGWAN端末を共用で使っていたり、園長先生のPCしかないケースもあります。この場合、どこに端末を置くか、誰の端末をどう使うのかなど施設に合わせて考えなければならず、苦労したことを覚えています。

 この点もNTT東日本に相談し、スマホで操作できるようにしたり、園長の端末でオペレーションが完結するようにするなど工夫して、問題なく運用できるようになりました。

──NTT東日本のサポートで良かった点はありますか?

金井氏:自社の製品にとらわれず、幅広いソリューションの提案が受けられた点です。私たちの課題をよく理解して、親身になって、他社製品を含めて適したソリューションの提案を受けました。市役所の場合は、公平性の担保やリスク分散の観点から、1社に偏らない、幅広い製品の導入が求められます。そういった意味でも、いろいろなシステムをよく知っているパートナーがいるというのは心強かったです。

 さらに、予算を考慮しながら、どういう機能が必要か、どの機能は外して良いかといった判断基準についても、知見が得ることができました。技術的なことにも詳しく、安心して、なんでも相談ができました。

梅田氏:私がNTT東日本の方と一緒に仕事をして、特に良いなと感じたのが、とにかく回答がスピーディーなところです。質問をするとすぐに的確な返事があり、とても助かりました。技術的な質問にも、プロジェクトの進め方など運用系の質問にも広く回答が得られたため、大きく迷うことなく進められたように思います。

総務部 企画財政課 DX推進係 主事 梅田一海氏

かつての紙の業務が、すべてPC上で完了。今後は人材育成やマイナンバー活用を目指す

──庁内DXで3つのソリューションが導入されてから、半年~1年ほど経過しました。ここまでの評価を教えてください。

梅田氏:いち職員として「とても便利になったな」と実感しています。これまでは何をするにも紙で出力して、必要事項を記載し、上長の承認を受けなければなりませんでしたが、これらの手続きがほぼすべてPC上でできるようになりました。

 冒頭で金井がお話した通り、契約書や約款を消込した際は、消込した書類を庶務課に回して承認を得る手続きが必要でした。年度初めなど契約が増える時期は、庶務課で待っている職員を見ることもありましたが、今ではこうした煩雑な手続きや待ち時間が無くなり、業務時間や工数が大幅に減ったと感じています。

金井氏:私も梅田同様、職員として日々、便利さを感じています。給与計算の手間や時間も劇的に減りましたし、文書管理・決裁システムの導入により、紙の出力枚数も前年度に比べて10%ほど削減できました。

 今後は、一部の部署で導入しているRPAを拡張し、複数部署で広く活用したいと考えています。加えて、NTT東日本とともに、デジタル人材の育成にも積極的に取り組んでいく構えです。マイナンバーへのさらなる対応やセキュリティの強化なども行いたいです。

 中野市の庁内DXは始まったばかりです。やらなければならないことが、まだまだ山積しています。これからも着実にDXを進めていく予定です。そして、次の時代に対応する、便利で住みやすい街にしていきたいと思っています。




<組織名>
長野県中野市

<概要>
長野県の北東部に位置する人口約4万2千人の市。北東に高社山、北西に斑尾山の2つの山を配し、気候は昼夜の気温差が大きく、降水量は少なめ。果物の栽培に適しており、特にリンゴやブドウは全国でも有数の生産量を誇る。エノキタケをはじめとするキノコの栽培も盛ん。アクセスは北陸新幹線の長野駅から、長野電鉄に乗車し約30~40分。市内には上信越自動車道の信州中野IC、豊田飯山ICも存在する。


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