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2024.03.29 (Fri)

まちづくりのヒント(第2回)

自治体のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを紹介! 推進で必要なこととは?

 気候変動とそれに伴う自然災害の増加を背景に、自治体でもカーボンニュートラル実現に向けた取り組みが進んでいます。環境省は、「2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする」と宣言した地方自治体を「ゼロカーボンシティ」と定義して支援を行っています。
 この記事では、カーボンニュートラルの実現が求められる理由とその概要、自治体の取り組み事例、課題と解決策を紹介します。

2050年の実現に向けた「カーボンニュートラル」とは

 カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを意味します。カーボンニュートラルを実現するためには、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引き、合計を実質的にゼロにすることが求められます。

 カーボンニュートラルが注目されるようになったきっかけは、2015年開催のCOP21にて採択されたパリ協定です。パリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という世界共通の長期目標が掲げられました。

 また、2018年には、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「1.5℃特別報告書」により、「本目標を達成するためには、2050年近辺までのカーボンニュートラルの実現が必要」と報告されています。こうした一連の流れが、国際的なカーボンニュートラルの取り組みの起点となっています。

 日本でも2020年10月、菅総理大臣(当時)が所信表明演説で、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルをめざす」と宣言しました。

カーボンニュートラルの実現が求められる理由

 カーボンニュートラルの実現に向けて、世界が取り組みを進めている背景には、平均気温の上昇とそれに伴う自然災害の増加があります。世界の平均気温は2020年時点で産業革命以前と比べて1.1℃上昇しており、日本の平均気温もさまざまな変動を繰り返しながら上昇しています。特に1990年代以降は高温となる年が頻出し、今後は猛暑や豪雨のリスクがさらに高まると予想されています。

 気候変動の原因となっている二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスは、経済活動や日常生活に伴って排出されています。将来の世代も安心して暮らせる持続可能な社会を作るためには、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを早急に進める必要があるのです。

ゼロカーボンシティとは

 環境省は、「2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする」と宣言した地方自治体を「ゼロカーボンシティ」と定義しています。

 ゼロカーボンシティは、2023年12月時点で1013自治体(内訳:46都道府県、570市、22特別区、327町、48村)に上ります。ゼロカーボンシティ宣言をすると国の支援が受けられるだけでなく、自治体のブランディング強化や地域活性化につながることが期待されています。

自治体のカーボンニュートラルに関する取り組み

 ゼロカーボンシティの実現に向け、各自治体では地域の産業や特色を生かしたさまざまな取り組みが進められています。

 兵庫県たつの市は、市内下水道施設に太陽光発電設備を設置して自家消費しつつ、余剰電力を配電網を通じて同市の別の下水道施設に送って、発電電力全量を管轄施設内で消費しています。本事業により、電気代を年間数百万円削減しただけでなく、年間約140トンの二酸化炭素削減を実現しています。

 北海道鹿追町は、企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)を活用して、酪農が盛んな同町内の家畜排せつ物や生ごみからバイオガスを発生させて収集しています。収集したバイオガスは、発電に利用するほか、車両燃料や都市ガスに利用して域内でエネルギーを循環させています。さらに余剰熱を活用して、マンゴーのハウス栽培やチョウザメの養殖、バイオガスから水素を製造する実証実験にも取り組んでいます。

 福島県福島市は、川と温泉を利用した再生可能エネルギー事業を進めています。同市は豊富な湯量を誇る土湯温泉の源泉を利用し、400キロワットの地熱発電所を設置しました。売電で得られた収益で市民にバス代を支給するほか、発電所から得られる副産物の冷却水を利用したオニテナガエビの養殖事業推進など、エコシステム構築のための取り組みが進んでいます。

 ※参考:環境省「地域脱炭素取組事例集」P6,P17,P27

ゼロカーボンシティ実現に向けた課題

 ゼロカーボンシティ実現に向けた課題としてよく聞かれるのが、「温室効果ガスの測定が難しい」という問題です。各自治体はそれぞれ独自に域内企業からエネルギー消費量や二酸化炭素排出量を報告してもらう報告書制度を導入していますが、域内のすべての企業をカバーしきれず、正確な結果の収集が困難なのが現状です。

 温室効果ガスを測定する手段の一つに、域内全体を丸ごと可視化するプラットフォームの導入があります。温室効果ガスを精緻に可視化するためのソリューションは、多数登場してきています。測定の精緻化のために、こうしたソリューション活用も有効でしょう。

 ほかには「自治体の特性によって、ゼロカーボンシティの実現方法や難易度が異なる」という課題もあります。例えば、森林面積が広い自治体では温室効果ガスの削減はそれほど困難ではありませんが、工業集積地帯では事情が異なります。それぞれの自治体が、前述の北海道鹿追町の取り組みのように、地域の産業や特色に合わせた取り組みを検討していく必要があります。

専門的な知識やノウハウを持つ外部のサポートを視野に入れるべき

 ゼロカーボンシティの実現に向けては、さらに「現状可視化後のステップに進めない」「地域住民や事業者からの理解が得られない」「多様な地域課題がつながらず、業種横断的な設計が困難」「費用対効果が合わない」といった課題が存在します。

 こうした多岐にわたる課題を解決し、ゼロカーボンシティの取り組みを支援することを目的として、環境省はマニュアルや各種ツール、参考事例などを取りまとめた専用サイト「地方公共団体実行計画策定・実施支援サイト」を公開しています。

 具体的な取り組みを進めるためには、公的なサービスに加えて、より身近なサポートが必要でしょうす。ゼロカーボンシティの推進では、専門的な知識やノウハウを持つ外部のサポートも視野に入れることをおすすめします。

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