出産・子育て給付に電子クーポンを検討したい理由を解説

　昨今、新型コロナウイルス感染拡大などを背景に、自治体向け給付金事業が拡大しています。政府や地方自治体は、給付金や補助金のプログラムを新たに導入したり、既存の支援策を拡充したりして対応しています。

　給付金事業の実施にはいくつかの課題があります。まず挙げられるのが制度や手続きの複雑さです。制度が複雑で対応する件数が多く、申請から受領に至るまでの手続きが煩雑で時間がかかるため、給付金事業の対応は多くの自治体で職員の大きな負担になっています。

　また、給付金の使用方法や適用範囲に設定された制約が、地域経済活性化の妨げになることがあります。例えば現金を直接支給する方法では、資金が地域経済にとどまる保証がなく、その効果を正確に評価することができません。

　こうした課題に対処するため、給付金事業を効率的かつ効果的に進める解決策が求められています。

　住民向け給付金事業の課題を解決する手段として採用されているのが電子クーポンの活用です。電子クーポンを用いることで、申請から受領までの手続きを自動化・簡素化できますし、利用できる店舗やサービスを当該地域に限定することも可能です。このほか、電子クーポンの利点には、支援の迅速化や利用の容易さ、目的外利用のリスク低減、支援効果の追跡と評価のしやすさなどがあります。

　住民向け給付金事業である「出産・子育て応援交付金」は、妊娠時から出産・子育てまでの一貫した伴走型相談支援と経済的支援である「出産・子育て応援ギフト」が一体になったプログラムです。このプログラムは、自治体が妊娠時から産後の育児期まで定期的に面談を実施して身近な相談に応じ、必要な支援につなげます。また、1人の子どもにつき、出産応援ギフト（5万円相当）、子育て応援ギフト（５万円相当）、最大10万円相当の出産・子育て応援ギフトを支給します。厚生労働省は、商品券（クーポン）やベビーグッズ、ケアサービスの利用料助成という形で支給するように自治体に呼びかけています。

　電子クーポンによる給付は、子育て目的に限定することが可能であり、有効期限を設定することでより消費につながりやすいというメリットがあるため 、自治体が給付金事業に電子クーポンを採用する動きが広がっています。なかでも、提携先のさまざまな電子マネー・ポイントなどの中から自由に選んで交換できる、デジタルギフトサービスに注目が集まっています。デジタルギフトサービスは、受給者が自身のニーズに合った電子マネーなどを選択できる柔軟性が特徴です。提供する電子マネーの組み合わせにより、利用用途を絞ることも可能です。

　自治体が「出産・子育て応援交付金」にデジタルギフトサービスを利用することで、さまざまな要望を持つ家庭に対し、直接かつ速やかに支援を提供できます。受給者は教育費、生活費、子育てに必要な商品やサービスなど、多岐にわたる選択肢から自由に選び利用が可能です。この方法により、自治体は住民に効率的で柔軟な支援を提供し、子育て家庭のニーズに応えることができます。

　デジタルギフトサービスは、配布方法が自治体の裁量に委ねられていることが多いため、地域固有のニーズに応じた柔軟な支援を実施できます。デジタルギフトサービスの導入は、手続きの簡略化と迅速化を実現し、行政コストの削減に寄与します。また、給付金の利用状況が簡単に追跡できるため、事業の効率化が強化され、公共サービスの品質が向上します。さらに、サービスのデジタル化を推進し、公共サービスの透明性と効率性を同時に高めることで、給付金事業の効率化が可能です。地域固有の要望に合わせた支援を実現に向けて、デジタルギフトサービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。