2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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まちづくりのヒント(第7回)

「防災DX」とは? 取り組みの現状や最新の事例を紹介

 相次ぐ自然災害の発生を踏まえ、「防災DX」に関する取り組みに注目が集まっています。防災DXとは、自然災害から市民の命、生活、社会・経済を守るために防災対策にデジタル技術を活用することを指します。

 官民一体となって進められている防災DXですが、具体的にはどのような取り組みなのでしょうか? また、能登半島地震のケースも踏まえ、自治体にはどのような防災DXが求められているのでしょうか? 本記事で解説します。

災害の激甚化、警戒される大規模地震……今求められる防災DXとは

 防災DXとは、デジタル技術を駆使して災害に備える取り組みのことです。2021年には全国自治会から国に対し、防災領域に関するデジタル技術活用や自治体への支援を要望する「防災におけるDXの推進に係る提言」が行われるなど、自治体における防災DXの認知が高まっています。

 気候変動による自然災害の激甚化、切迫する南海トラフ地震など大規模地震発生などへの対策が求められる一方で、自治体の人員は限られるのが現状です。デジタル技術の活用により、大規模災害への対応力強化が求められています。

官・民一体で進む防災DXの取り組み

 このような中、防災DXの実現に向けた取り組みが進んでいます。2021年に公表されたデジタル庁の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、防災分野が重点分野の一つに指定されました。同計画では防災分野に関するデータ連携プラットフォームの整備が目標とされ、2025年度をめどに整備が進められています。

 また、2022年12月には、デジタル庁が中心となって「防災DX官民共創協議会」が発足しました。同協議会では、官民共創で防災DXの基盤形成や市場形成が進められています。

 防災DX官民共創協議会による成果の一つとして、「防災DXサービスマップ」の整備が挙げられます。同サービスマップでは、自治体が活用できる防災DXサービスを「平時」「切迫時」「応急対応」「復旧・復興」の4つの局面に分け、それぞれの局面で有用な民間サービスがまとめられており、必要に応じて活用できるようになっています。

防災DXで活用されているICTサービスの例

 防災DXを進める上で、具体的にはどのようなICTサービスを活用できるのでしょうか。ここでは、前述した防災DXサービスマップからいくつか例を紹介します。

 平時に活用できるサービスとしては、防災マップ作成や避難訓練などの防災学習、デジタル技術を利用した災害リスクの分析サービスが挙げられます。災害リスクの分析サービスとしては、「地中に埋め込まれたレーダーとGISによる道路陥没予防」や「AIによる防火管理の実施状況診断」「洪水、土砂崩壊、地下水流動等の開示サービス」などが提供されています。

 切迫時に活用できるサービスとしては、災害状況を通知する情報通知、河川水位や土砂災害危険度を予測する被災予測、冠水や浸水のモニタリングや衛星などを利用した地盤観測を実施する計測・情報収集があります。

 応急対応に活用できるサービスとしては、避難生活支援(避難所運営)や被害情報の収集・共有の他、「災害経験のない職員でも商品の画像や仕様を画面上で確認しながら、的確な物資の発注ができるオンライン発注サービス」といった物資支援のサービスがあります。

 復旧・復興支援のためのサービスとしては、「罹災調査および避難所設営において建物の傾斜やゆがみを遠隔から非接触で計測するソフトウェア」や「狭小空間におけるドローンを活用した設備点検」などのサービスが提供されています。

能登半島地震の事例から見る防災DX

 2024年1月に発生した能登半島地震では、被災者の支援に防災DXが活用されました。具体的には、各種避難所データの集約整理や管理のための環境整備、電力供給・通信が途絶したエリアへの衛星通信サービス「Starlink」の配置、交通系ICカード「Suica」を活用した避難者情報の把握などが実施されました。

 甚大な被害に見舞われた石川県珠洲市では、内閣府や石川県、珠洲市対口(たいこう)支援自治体である熊本市・浜松市とNTT東日本グループ、ESRIジャパン、NTT西日本グループが連携して、ドローンや360度カメラを用いた住家被害認定調査が実施されました。当該地域は山間部や海岸部など立ち入りが困難な地区も多く、また調査人員も限られる中、調査によって得られた画像を基にして遠隔地から被害判定を支援しました。

防災DXを推進する上での課題と必要なこと

 防災対策には「過去の教訓を生かし、改善する」ことが求められます。防災DXは従来難しかった災害時の取り組みを実現するための有効な手段となりえます。一方で、デジタル技術の進化スピードは速く、うまく活用するためには最新技術に対する知見やその活用方法に対する理解が必要です。

 こうした背景から、防災DXの取り組みが道半ばである自治体も少なくありません。防災DXの推進では、他にも「システムが標準化されていない」「DX人材やスキルが不足している」「システムの開発や運用にコストが掛かる」といった課題が存在します。

 このような課題に対応していくためには、防災DXサービスマップをはじめとした各種サービスの活用や、知識やノウハウが豊富な外部の専門家によるサポートの活用を検討すべきでしょう。防災DXの取り組みは始まったばかりであり、今後さらに加速していくと予想されます。各自治体には実現までのロードマップを明確にし、着実に計画を実行していくことが求められます。

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