2017.3.6 (Mon)
他人には聞けないICTの“いま”(第25回)
データとIT資産の管理はアウトソーシングすべしクラウドということばが一般的になり、最近では「クラウドファンディング」や「クラウドソーシング」など、「クラウドコンピューティング」から離れた意味でも使われるようになってきました。ファンディングもソーシングも不特定多数の人がインターネットを介して、協力したり援助したりする意味合いです。さて、クラウドコンピューティングというとオンラインストレージやウェブメールなどを利用して、データを自分のパソコンなどの端末ではなく、インターネット上に保存することだと理解していることが大半です。間違いではないのですが、実際は、データを管理するだけにとどまらず、コンピュータでできることのほとんどすべてをクラウドでまかなうことができるのです。
コンピュータのサービスの「クラウド」とはじめて結びついたのは、アメリカ・Google社のCEO、エリック・シュミットの発言だといわれています。いまから10年以上前の2006年8月のことでした。そのときは、インターネットを巨大な雲(クラウド)と例えたのです。いまでは、当たり前のようにデータをクラウド上に保存し利用していますね。
特にスマートフォンでは、意識することなく様々なサービスでクラウドが利用されています。若者を中心に人気のスマートフォンのゲームデータもクラウド上で管理されているのです。もちろん、ビジネスでも活用され、データのやりとりやバックアップ、メールサービスなど多くの企業が使っています。
こう考えるとクラウドとは、とてつもなく大きなデータセンターがどこかにあるというイメージ…、という人が多いでしょう。しかし、これは「クラウドコンピューティング」のほんの一面に過ぎません。その代表的なものが、ウイルスチェックのプログラム。ローカルのPCで常駐させるとパソコンの動作が緩慢になる、また、アップデートを怠るとウイルス感染のリスクが高まります。その点、クラウド上のウイルス対策であれば、パソコンの付加は最小限になることに加え、ウイルスの定義ファイルはいつも最新。しかも、クラウド上で更新されるので、ローカルのパソコンにダウンロードする際のタイムラグも防げるのです。
さて、会社のLANで必要な機器はというと、ルータ、スイッチングハブ、LANケーブルなどが思い浮かびます。スイッチングハブやケーブルは特に管理が必要ないのですが、ルータはさまざまな設定が必要なうえ、故障しても簡単に取り替えるわけにはいきません。また、支店や営業所など本社以外の拠点がある場合、拠点同士を接続しなければいけないので、それぞれにルータはもちろん、ネットワークを管理する人材も必要となってきます。大企業ならともかく、中小規模の会社には大きな負担となります。そこで、クラウドでルータはもちろん、拠点間通信までもすべてクラウド上で管理してしまうのです。いわゆる「仮想化」ですが、クラウドのメリットも当然のように兼ね備えているのが特徴です。
クラウドのメリットとは、
・導入が容易にできる
・運用に手間がかからない
・使いたいサービスを選択できる
などです。オフィスの機器の数も激減するので、座席の変更時や引っ越しの時も楽々です。また、機器構成の管理や複雑な配線からも解放されるのです。
もっとも優位な点は、運用の手間が少なくなる、つまり専任のネットワーク担当者が不要となることでしょう。提供するベンダーは、クラウド上でルータのような機器やサービスを丸ごと提供することになるので、一元での管理・サポートが可能です。もちろん、24時間365日対応しています。万一の故障時も、専門家による復旧が保証されているのです。加えて、ネットワーク上でウイルス対策ソフトやファイアウォールを提供するので、セキュリティも抜かりありません。
クラウドをデータストレージのみで使っているのは、もったいないことなのです。