2024.12.26 (Thu)

他人には聞けないICTの“いま”(第66回)

キャンプの"スマート化"で、アウトドアはより身近な存在に

 「キャンプ」といえばアウトドアの代名詞的な存在ですが、そのキャンプをITの力で、さらに便利にしようとする取り組みが進みつつあります。

キャンプは年に一度のイベントではなく、日常的なレジャーになりつつある

 「キャンプ」といえば、アウトドアレジャーの代名詞的な存在です。休日や有休休暇の際に、キャンプに出かけているというビジネスパーソンも多いでしょう。

 一般社団法人日本オートキャンプ協会が2024年7月に発表した「オートキャンプ白書2024」によると、1年間に行われる平均キャンプ回数は年々増加しており、2015年は年平均3.5回だったのが、コロナ禍の2020年には4.6回に増加。新型コロナウイルス感染症の位置付けが2類から5類に移行した2023年には5.5回まで増加し、2カ月に1回はキャンプ場を訪れている計算となります。

 同白書ではこの結果について、キャンプは“年に一度”のイベントではなく、ファミリーキャンプを楽しんでいる人が、別の日に一人でソロキャンプに出かけるなど、同じ人が違うスタイルで何度もキャンプ場を訪れているとしており、キャンプが特別の機会ではなく、より日常に近い存在になっていると分析しています。

一般社団法人 日本オートキャンプ協会「オートキャンプ白書 2024」PDF資料より引用


 「キャンプをした月」についても変化が見られます。2018年の調査では、夏休みの8月にキャンプに行く割合が最も高かったものの(69.2%)、2023年は9月が一番で(56.4%)、その後に8月(48.5%)、5月(46.3%)が続きます。そのほかの月についても割合が増えており、たとえば11月~2月の冬季についても、2018年における割合は1ケタ台でしたが、2023年はいずれの月も2ケタに増えています。

 キャンプのシーズンというと、とかく「夏」というイメージを持ちがちですが、ほかの時季にもキャンプを楽しむ人たちが増えているようです。

キャンプの“スマート化”で何が変わるのか?

 このように我々の暮らしの身近なレジャーになりつつあるキャンプですが、最近ではより便利にキャンプができるよう、キャンプ場の“スマート化”を進める例も存在します。

 スマート化が進むキャンプ場のひとつが、千葉県千葉市にある「昭和の森フォレストビレッジ」です。この施設の運営事業者である株式会社R.projectは、千葉市とNTT東日本と包括連携協定を結び、2023年よりキャンプ場のスマート化の実証実験を行っています

 もともとR.project社とNTT東日本では、2022年3月より「RECAMP館山」という施設にて、ITを活用したキャンプ場運営のスマート化・周辺地域活性化に関する実証実験を行っていました。施設利用者の増加により予約から来訪者の対応、施設の運営作業などの業務が増加傾向にあることから、両社は同施設において、稼働効率化や利用者の利便性向上のため、キャンプ場の無人受付を可能にする「スマートチェックイン」のデモ環境を導入していました。

 導入の結果、全国のキャンプ場において1日平均5時間を要していたチェックイン業務を削減の有効性を検証できたことから、このスマートチェックインを昭和の森フォレストビレッジにも導入し、利用者の利便性向上を図っています。

スムーズなチェックインで、キャンプがより手軽に楽しめる

 この昭和の森フォレストビレッジにて導入されたスマートチェックインは、R.project社が提供するキャンプ場検索・予約サイト「なっぷ」のスマホ用アプリが鍵となります。このアプリと予約情報・会員情報を連携することで、無人によるチェックイン/チェックアウトができるようになります。

 スマートチェックインを利用することで、わざわざ有人窓口でチェックイン/アウトする必要がなく、窓口に順番待ちが発生しないため、ユーザーは受付の待ち時間に時間を取られることもありません。キャンプ場の運営会社側も、受付業務が簡略化されることで、限られたスタッフをその他の業務に配分することが可能になります。


スマートチェックインの取り組みイメージ(NTT東日本 千葉事業部のリリースより引用)


 このスマートチェックインには、キャンプ場の周辺地域への誘客による地域活性化も期待されています。「なっぷ」で施設を予約する際には、近隣のいちご農園や温浴施設の特典付き施設利用券とのセット予約に対応しています。これにより、キャンプ場を地域の拠点に、周辺施設への誘客が促進でき、地域経済の活性化に貢献できるといいます。

 キャンプは、自然に囲まれた空間で「不便さ」を楽しむのも楽しみのひとつではありますが、チェックイン待ち・チェックアウト待ちで不便を感じることは、キャンプ本来の楽しみではありません。しかし、今回紹介したスマートチェックイン機能を活用すれば、ユーザーはより不便を感じずに、よりスムーズに、キャンプという“非IT”な空間に入ることができるようになります。

 冒頭でも触れたように、キャンプは通年で楽しめる存在になりつつあります。日々の仕事に疲れたら、スマートチェックイン機能を使って、気軽にキャンプを楽しんでみるのも良いかもしれません。

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