2024.01.17 (Wed)

他人には聞けないICTの“いま”(第62回)

その通信機器、実は違法かも!?「技適マーク」の重要性

 日本で流通している通信機器のほとんどに「技適マーク」が付いています。これは電波法の技術基準をクリアしたことの証明ですが、中にはマークが無い機器も存在します。

御社の通信機器に「技適マーク」は付いていますか?

 「技適(ぎてき)マーク」というものをご存知でしょうか?

 技適マークとは、電波法で定められた技術基準をクリアした無線機であることを証明するマークです。日本で流通している携帯電話やスマートフォン、Wi-Fi端末やトランシーバー、ワイヤレスカメラ/ワイヤレスイヤホンなどのBluetooth機器には、基本的にこのマークが付いています。

 技適マークは、必ずしも機器の表面にわかりやすく表示されているわけではありません。場合によっては、本体内部の電子部品にマークが付いていることもあります。携帯電話・スマートフォンでは、操作により画面にマークを表示する機種もあります。

 海外から輸入された製品など、一部の無線機には、この技適マークが付いていないものがあります。技適マークが付いていない無線機を使用した場合、電波法違反となり、懲役刑または罰金刑の対象となります。

 なお技適マークの一部には、郵便局の記号(〒)が採用されていますが、これはかつて郵政省が電波を管轄していた名残となります。

なぜ、技適マークが無い製品を使ってはいけないのか?

 しかし、なぜ技適マークが付いていない無線機を使用することが禁じられているのでしょうか?その理由は、日本における電波の使用ルールに基づいていない電波を使用することで、さまざまなトラブルが引き起こされる恐れがあるためです。

 総務省では「電波利用ホームページ」にて、「電波は多くの人が利用しており、現在の社会生活に欠かすことのできない有限希少な資源」としています。電波法では、この“有限希少な資源”である電波を効率的に使うため、無線機が使用するチャンネルや送信出力など無線機の技術基準を設けています。

 電波法ではさらに、無線機を使用する際、同省より無線局の免許を受けることを定めていますが、無線機に技適マークが付いていれば、電波法で定められた技術基準をクリアしていることが保証されているため、無線局の免許がなくても使用することが許可されています。

 しかし技適マークが付いていない無線機は、電波法が定めるルールに従っていることが証明されておらず、知らずに他人の通信を妨害したりするなど、社会生活に混乱をきたす恐れがあります。そのため、電波法では技適マークが無い製品の使用が禁じられています。

違法電波が社会にトラブルを呼び込む

 実際、違法電波によるトラブルは度々発生しています。

 2020年には、石川県の小松空港で航空機の位置情報が把握できないトラブルが起きました。同空港ではその影響で、数日に渡り遅延や欠航が発生しました。その原因は、同空港から約4km離れた工事現場に設置された海外製のワイヤレスカメラが発する違法電波でした。

 1996年に発生した事例では、強力な電波を発する無線機を搭載したダンプカーにより、自動点火式ストーブの電子回路が誤動作し、ストーブが勝手に着火し、火災が発生した事例も起きています。このように、違法電波は我々の日常生活を妨害する可能性を秘めています。

 前述のようなトラブルを未然に防ぐため、電波法では技適マークが無い製品を使用した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す可能性があるとしています。さらに、公共性の高い無線局に妨害を与えた場合は、懲役は「5年」、罰金は「250万円以下」に増えます。

 業務で使用する機器に、技適マークが無い可能性も十分にあります。2023年には、ある海外メーカーのタブレットの一部で、Wi-Fiの技適証明が未取得であったことが発表されました。総務省による行政指導を受けた同社は、速やかに技適証明を取得することを発表しました。

 スマートフォンやWi-Fi、ワイヤレスカメラは、今やビジネスシーンでは使用することは当たり前となりつつあります。電波トラブルを回避するためにも、罰金や懲役の恐れを無くすためにも、こうした自社で使用している電子機器に技適マークが搭載されているか否か、念のため確認を取るべきでしょう。

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