オフィスソフト使いこなし(第58回)

エクセルのエラーチェック機能を活用してミスを防ぐ

posted by 松崎 美穂

 エクセルを使っていると、セルの左上の隅に表示される小さな緑色の三角形アイコンを目にしたことはないでしょうか。これは他のアプリなどからエクセルにデータを貼り付けた場合などに表示され、数値データの形式が文字列となっていることを知らせています。

 このような機能がある理由は、エクセルで扱える数値の形式は「数値」と「文字列」に区別されているからです。文字列形式となっている数値は、関数の参照先に指定しても計算対象にならず、数式エラーや計算ミスが発生します。そうならないよう、視覚的に判明できるようにしたのが三角形アイコンです。

 エクセルには、文字列形式となっている数値を、数値形式に変更する3つの技があります。三角形アイコンが表示された際に重宝しますので、覚えておくとよいでしょう。

参照先は間違っていないのに数式の結果がおかしい

 指定されたセルの範囲内で最大値を返すMAX関数で、おかしな計算結果となった場合の修正方法を例に、文字列形式を数値形式に変更する方法を紹介します。

 MAX関数の参照先はセルC1からC3の「1」「250」「-3958」になっています。正しい答えは250ですが、緑の三角形アイコンが表示されている左の列では、計算結果が0という結果になっています。

 このように、数値データを文字列形式に設定していると予期せぬ結果が表れます。

間違いの原因が分かる機能、エラーチェック

 数式エラーの原因を探る最も簡単な方法は、[エラーチェック]という機能です。前述の緑の三角形アイコンで数式エラーの原因となっているセルがわかります。緑色の三角形マークが表示されているセルを選択すると「!」マークが表示され、エラーの原因を確認できます。ここでは「数値が文字列として保存されている」がエラーの原因でした。

エラーチェック設定で、シート全体の一括修正を

 [エラーチェック]の設定は、まず[ファイル]タブをクリックして表示される[バックステージビュー]グループの[オプション]をクリックすると表示される、[Excelのオプション]ダイアログボックスで行います。

 ダイアログボックス左上の[数式]を選択すると[数式の計算や処理、エラー処理に関するオプションを変更します]ボックスが表示されます。

 一番下の[エラーチェックルール]にあるチェックボックスで、設定ができるようになっています。 デフォルトでは、このように[空白セルを参照する数式]を除いて全てにチェックが付いています。

 [文字列形式の数値、またはアポストロフィで始まる数値]にチェックが入っているので、文字列形式の数値が入力されると、小さい三角形が表示されるわけです。

 次に、[エラーチェック]を使って、シート全体を一括で形式を文字列から数値に変換する方法を紹介します。まず対象となる文字列形式となっているセルの範囲を選択します。

 「!」のマークをクリックしてダイアログボックスが表示されたら、[数値に変換する]を選択しクリックします。

 これで数値に変換され、緑の三角形アイコンも消えました。

数式を使って、一部のセルのみを形式変更する

 前述のエラーチェックではシート全体の形式を変更しましたが、行や列など部分的に形式を変更する方法もあります。文字列形式となっている数字を計算対象にすると、計算結果は数値になるという特性を利用した方法です。

 たとえば、セルC2 に文字列形式の「1」という数字が入っている場合に、空いているE2のセルへC2×1という数式「=C2*1」を入力します。

 計算結果はC2と同じ「1」とE2のセルに表示されますが、緑の三角形アイコンは表示されていないので、数値形式に置き換わっていることがわかります。

 データが複数ある場合には、オートフィルを使えば自動入力されて、形式も変更されます。今回の方法は、念のために元となった文字列として扱われている数字も残しておきたいときなどに活用してください。

形式を選択して貼り付けで、手間が省ける

 次の方法は、前述の数式を活用して数値形式に変換する方法の応用です。具体的には、「形式を選択して貼り付け」設定にある [演算]を使うことによって、貼り付け時に、計算と数値形式への変換を同時に行うものになります。

 まず、文字列形式の数字が入力されているセルC2をコピーし、貼り付け先のセルE2を選択します。

 次に[ホーム]ダブの[クリップボード] グループにある[貼り付け]から [形式を選択して貼り付け] をクリックするとダイアログボックスが表示されます。ダイアログボックスの下の[演算]にある[加算]にチェックを入れ、[OK]をクリックします。

 同様にセルE3、E4にも[形式を選択して貼り付け]を行います。

 この方法は、セルが大量だった場合には、前述の数式を使って変換する方法よりも手早く行えます。

 ただし貼り付け先に数値が入力済みになっていると、貼り付け元と、貼り付け先の値を足した(加算した)数値になってしまいますので、貼り付け先が空白セルであることをしっかり確認してください。

 今までセル内に緑の三角形アイコンが表示されても、あまり気にせずにいた人が多いかもしれません。本記事で重要なアラートであることを紹介したので、今後はエラーチェックのアラート表示を活用して、事前にミスを防ぎましょう。

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松崎 美穂

松崎 美穂

大学卒業後、外資系ソフトウェアベンダーへ入社。インストラクター、コンサルタントとして約5年在籍。その後フリーとなり、インストラクター経験を活かし、各種ソフトウェアの操作説明作成、カスタマーサポート、Office製品・パソコンインストラクターなどの業務に従事。2児の母。趣味はピアノ。

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