統計を取るための「数える」というとてもシンプルな操作も、データの件数が何百、何千にもなれば手動で、早くかつ間違いなく行うのは難しいものです。
エクセルでは、COUNT(カウント)関数という数式を設定することによって、労力や手間を減らしながら、正確に数えることができるようになります。COUNT関数は、複雑な計算や条件式を使った計算の代わりに、必要なセルの範囲を入力するだけで、値を求めることができる便利なものです。
またCOUNT関数以外にもCOUNTA関数、COUNTBLANK関数などの「数える」系の関数があります。
関数を便利に使いこなすためにも、どのような関数があるかを知っておきましょう。目的にあった関数を選ぶことで、作業効率が大幅に向上します。
数値を含むセルを数えるCOUNT関数
このような入金管理表で、月末に入金済のデータが何件あるかを求めるためには、数値を含むセルを数えるCOUNT関数を使用すると便利です。
関数とはエクセルにあらかじめ用意されている数式のことです。COUNT関数以外にも500種類近くの関数が用意されていて、中でもCOUNT関数は使用頻度の高い関数です(関数の種類はエクセルのバージョンによって異なります)。
まず入金済み件数を表示させたいC12のセルをクリックしたら、エクセルの数式バーの左にある「fx」と表示してある[関数の挿入]をクリックします。
関数の挿入ダイアログが表示されます。[関数名]ボックスからCOUNT関数を選択します。
数が多くて探しづらいときは、[関数の検索]ボックスに「count」と入力して[検索開始]をクリックすると、絞り込むことができます。[関数名]の選択が完了したら、[OK]をクリックします。
[関数の引数]というダイアログボックスが表示されます。COUNTの欄に[値1]、[値2]というボックスがあります。この値1と値2で、作業を行うセルの範囲を指定できるのです。[値]は引数(ひきすう)とも呼ばれ、関数で計算するときの元データとなる数値や文字列のことです。
[値]ボックスには、関数によって[文字列][数値][理論式]などと変化します。COUNT関数の[値]ボックスでは、セル範囲を指定します。
入力方法としては、セル範囲をテキストボックスに直接入力するか、ワークシート上でドラッグすると指定できます。例題の表で件数を数える対象となるセル範囲を[値1]ボックスに「C4:C8」と指定し、[OK]をクリックします。[関数の引数]ダイアログボックスの下にある[関数式の結果=]のところで、計算結果を確認できます。
[数式の結果=]だけでなく、C12のセルにも入金済みデータの件数が表示されます。
COUNT関数は、指定されたセル範囲にある数値が入ったセルの数をカウントします。この表では「入金済み」の件数だけをカウントするため、未入金の会社については数値の「0」ではなく、文字列の「未入金」と入力している点がポイントです。COUNT関数は文字列をカウントしません。
このような特性を理解して、セルの書式を工夫することがCOUNT関数を使うときのポイントです。
空白ではないセルを全てカウントするCOUNTA関数
入金管理表に登録されている総件数を求めるために、数値以外のデータが入っているセルも含めてカウントするには、COUNTA(カウントエー)関数を使用します。COUNTA関数の設定も、数式バー左の[関数の挿入]をクリックして行います。
入金管理表に登録されている総件数を、C11のセルに表示するには、[関数名]ボックスに「COUNTA 」と指定する以外は、COUNT関数の設定と同じ手順です。
COUNTA関数は、空白ではないセル、つまり値や文字列が入っているセルをカウントする関数ですが、1点注意すべきことがあります。表示が空白でも、数式が入っているセルは数えます。値も数式もない空白のセルのみがカウント対象外という特性を覚えておきましょう。
2つの関数で数えられた数字から、未入金の件数を求めてみましょう。計算結果を表示したいC13のセルをクリックで選択。数式バーに、[=C11-C12]という数式を入力します。総件数が入ったセルC11から、入金済み件数が入ったセルC12を引き算するという数式です。計算結果はセルに表示されます。
特定の条件をカウントするCOUNTIF関数
単純に数えるのではなく、条件に当てはまるもののみを数える関数があります。この関数を設定すると集計作業が速くなり、複雑な集計も可能になります。それはCOUNT関数の仲間である「COUNTIF(カウントイフ)関数」です。名前は「COUNT」+「IF」から由来しています。「もし~だったらカウントする」という条件付きであることを名前が示している関数です。
「男性or女性」「出席or欠席」のように限られた種類の値しか持たないセルを値ごとにカウントするという作業はよく発生します。引数の設定では「もし値が女性だったらカウントする」「もし出席という値が入っていたカウントする」という処理です。
下記のような出欠確認表から出席者の数をカウントする場合に、COUNTIF関数を使います。[関数の引数]ダイアログボックスの[範囲]ボックスに、「E4:E21」というカウント対象となるセル範囲をしていいます。
次に[検索条件]ボックスには、「“〇”」を指定します。E4からE21の範囲で、セルに、出席を示す「〇」という値(文字列)が入っていたら数えるという指示になります。欠席者数をカウントする場合は[検索条件]ボックスに「“×”」と指定します。
引数を設定し、[OK]をクリックすれば、指定されたセルに出席者、欠席者が表示されます。
前述した入金表でも、引き算で行なっていた未入金の件数も、COUNTIF関数が使えます。[検索条件]ボックスに「“未入金”」と指定すれば、文字列で未入金と入力されているセルのみを数えてくれます。
空欄だけをカウントするCOUNTBLANK関数
たとえば出欠が空欄になっているセルの数を求めるような場合は、COUNTBLANK(カウントブランク)関数が使用できます。
COUNTBLANK関数では、[関数の引数]ダイアログボックスの[範囲]ボックスに、「E4:E21」と指定します。すると空白セルのみを数えてくれます。
アンケートなどの有効回答数を数えたい場合などは、COUNTA関数が適しています。アンケートに答えている空白でないセルを数えます。
統計に使う関数として、COUNT関数、COUNTA関数、COUNTIF関数、COUNTBLANK関数を紹介しました。統計に使う関数は多種類あります。また機能が似ているため、自分の目的に適したものを覚える必要があります。しかし、それぞれの機能を覚えれば、統計作業の効率が上がるので実践してみてください。
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