2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2024.09.24 (Tue)

社員のモチベーションを高めるヒント(第35回)

従業員の生産性は「睡眠」で高められる

 日本は、世界の先進国と比較して睡眠時間が短いといわれます。睡眠時間の短さは集中力の低下につながり、従業員の生産性や経済、ひいては医療費にも影響を及ぼします。日中のパフォーマンスを高めるためにも、従業員の睡眠改善に取り組む価値はあるでしょう。すでに取り組みを進めている企業の例を紹介します。

睡眠不足の従業員が多い企業は儲からない!?

 仕事の効率化を考えるうえで、「睡眠」はとても重要な要素です。

 経済産業省が策定した「企業の『健康経営』ガイドブック」では、睡眠を十分にとっていない人の医療費は、十分にとっている人より24,331円高くなるとしています。さらに、睡眠を十分にとっていない人は、睡眠を十分に取っている人と比べ、損失コストが328,644円も高いというデータも存在します。

 厚生労働省の「平成30年国民健康・栄養調査報告」では、日本人の約4割の睡眠時間が、一般的に必要とされる睡眠時間を割り込む6時間未満であると報告されています。加えて、睡眠による休養感が十分に得られていない人の割合は2割程度で、年々微増する傾向にあります。

 慶應義塾大学 山本勲氏によると、睡眠時間が上位20%の上場企業は、下位20%の上場企業よりもROS(売上高経常利益率)が1.8~2.0程度高いとしています。ビジネスにおいてより高い成果を出すためには、従業員の十分な睡眠時間の確保が求められるといえるでしょう。

東京メトロの従業員も睡眠改善に参加

 こうした状況を背景に、最近では睡眠改善に注目する企業も増えています。

 たとえばIoT機器を使った企業向け睡眠改善サービスを提供するニューロスペースは、これまで累計150社超、3万人以上に独自のプログラムを提供しています。

 同社は「睡眠は技術」をスローガンに掲げ、上級睡眠健康指導士による睡眠セミナーや睡眠改善プログラム、アンケート回答に基づいた睡眠レポートの提供などを行っています。顧客には、東京地下鉄(東京メトロ)、阪急阪神ホールディングスなど、社会のインフラを担うような企業が名を連ねています。

 同社のプログラムの参加者は、眠りの質を具体的な数字で確認した後、研修会やサポートツールを通して、より良い睡眠をとるための生活習慣や考え方を習得します。受講後は、睡眠の質が向上したという実感を得たり、自身の生活を振り返ることができたと感じているようです。

 NTT東日本では、睡眠問題に取り組む企業同士がつながる場を提供するため、2022年にZAKONE(ざこね)というコミュニティを立ち上げました。2024年8月時点で150社以上が参加しており、出合った企業同士の協力により新規事業も生まれています。

 たとえば長谷工コーポレーションが2023年にスタートした実験住戸「快眠のための家」も、そうした新規事業のひとつです。この住戸では、NTT東日本グループが提供する睡眠アプリのAPIやIoT家電が連動しており、住民の睡眠アルゴリズムに合わせて、心地よい眠りが得られるように工夫されています。

あの商社で働く人も、半分以上が睡眠に問題を抱えている

 睡眠改善は、政府が現在推進している「健康経営」とも深い関係があります。

 健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考えて、戦略的に実践する取り組みのことです。企業による健康投資は、従業員の生産性の向上に加えて組織の活性化をもたらし、結果的に業績や株価の向上につながると期待されており、経済産業省の健康経営度調査でも、健康経営度の高い企業は離職率が低い傾向にあることが示されています。

 健康経営に関する表彰制度としては、経済産業省と東京証券取引所が共同で行う「健康経営銘柄」があります。「健康経営銘柄」とは、健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内の上場企業の中から、健康経営度調査の回答をもとに特に優れた企業を1業種1社選定する制度です。2024年には計53社が選定され、中には睡眠改善に取り組む企業の姿も見られます。

 たとえばソフトバンクでは、定期健康診断や健康意識調査の分析を行い、睡眠課題のある社員は仕事の効率が下がる割合が高いというデータを導き出しました。その後、社内で睡眠セミナーを実施したところ、受講後は睡眠で休養がとれていると回答した人が20%向上したといいます。

 大手商社の伊藤忠商事でも、睡眠改善プログラムを2023年11月~2024年1月に実施。736名の社員が参加し、うち約58%に当たる431人に、不眠傾向やSAS(睡眠時無呼吸症候群)が見られたといいます。

 さらに、357名に脳波測定計測を実施したところ、約半数に「睡眠改善が必要」「睡眠障害の疑い」といった、睡眠の課題があることが判明したといいます。同社では今後、医療機関での治療など、改善に向けた支援を実施する予定としています。

 健康経営の推進は、従業員の生産性や業績の向上、ひいては企業価値の向上にもつながります。その一環として、従業員の睡眠不足を企業の問題として取り組むことには大きな価値があるでしょう。睡眠の時間と質を大切に考えて、睡眠改善につながる取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

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