さまざまな年代が集まる職場では、ビジネスリーダーが部下とのジェネレーションギャップを感じることは珍しくはありません。若手社員の行動や価値観を理解するのは、ビジネスリーダー世代には簡単なことではありませんが、とはいえ理解しなければ、組織をうまくマネジメントすることは困難です。
今回は、企業にとって貴重な人材である若手と上手くコミュニケーションをとるためのポイントを紹介します。
怒られることに慣れていないなら、怒らずに指導すれば良い
現在の20代の多くは、1987年から1996年生まれの「ゆとり世代」とも呼ばれる世代です。これは2002年から改訂された学習指導要項による「ゆとり教育」を受けてきたことに由来します。
ゆとり世代の特徴のひとつに「打たれ弱い」という点があります。もう少し具体的にいえば、「叱られる」ことに慣れていない、ということです。昭和育ちであれば、学校で悪さをすれば先生のゲンコツぐらいは日常茶飯事でしょうが、体罰問題が取り上げられるようになってからは、昔のように怖い先生も見られなくなりました。もしかすると、若手の部下を叱ったものの、それから怯えられてしまっている上司もいるかもしれません。
もちろん、若手であろうが何であろうが、部下が仕事でミスをしたのならば、上司として言うべきことを言わなければなりません。そこで、ゆとり世代に対しては、言い方がポイントになります。
たとえば、いかにも怒られることに慣れてなさそうな部下であれば、ミスをした際に大声で叱るのは部下を萎縮させるだけです。逆に、叱るのではなく、何が原因で、どうしたらよいか、冷静に伝えるようにすることが良いでしょう。怒ることに効果がないのであれば、別の手段で指導をすれば良いだけです。
比較も冗談も控えめに
ゆとり世代の若手とうまくコミュニケーションを取る際には、いくつかのNG行動があります。以下に3点紹介します。
まず1つ目は、他人と比較するような言動は控えることです。ゆとり教育は、子供たち同士が従来よりも比較されにくい環境でした。成績評価は他人との比較が影響する相対評価ではなく、自らの成果が反映される絶対評価となりました。また、徒競走に順位をつけない、学芸会の劇では皆で主役を演じるなど、古い世代から見れば、まるで周りと競い合う環境が削がれているかような環境で育っています。
たとえば、日ごろの行いを指摘する際に、「同期のアイツはできているのに、お前はなぜできていない」と指導するのは、あまり効果は期待できません。むしろ、「お前の良さは○○だ。ここだけはちゃんとやろう」といったように、部下の個性に応じた指摘する方が効果があるでしょう。
2つ目は、ジョークをわきまえることです。これはゆとり世代云々ではなく、単純にジェネレーションギャップの問題ですが、笑いのツボは世代によって大きく異なります。若い年代に人気のお笑い芸人を「何が面白いのか分からない」と思うように、若い世代にとっても、中高年のいわゆる「おやじギャグ」は必ずしも面白いとは感じられないものです。部下の気を紛らせるためにおやじギャクを連呼しても、「それは笑わせるために言っているのか?」と疑問に思われるだけです。冗談はほどほどにしておきましょう。
3つ目が、プライベートに必要以上に介入しないことです。ゆとり世代はON/OFFをハッキリと区別し、プライベートを大切する傾向があると言われています。たとえば、飲み会を強要することなどはもってのほか。断られた場合も「今夜はデート?」などと聞くのも、うざったく思われてしまいます。飲みに誘う場合は「美味しい店があるけど、どう?」のように、部下が行きたくなる誘い方をするのがスマートでしょう。
世代のギャップは当たり前。長い目で付き合うべし
ゆとり世代といわれている若い部下の扱いを、難しいと感じる人は多いでしょう。中には「最近の若いものは」と言ってしまう人もいるかもしれません。ですが、彼らが子ども時代に過ごしてきた環境は、親世代の「こういう教育がベストである」という方針によって用意されたものです。「最近の若いヤツは“ゆとり”だからダメだ」というのは、むしろ大人として無責任な態度です。
ゆとり世代が、40~50代の“新人類世代”や“団塊ジュニア世代”ともギャップがあるのは当然です。世代によって仕事に対する考え方や、コミュニケーションの取り方に違いがあるのは仕方がありません。同じ職場で過ごし、その隙間を少しずつ埋めていく地道な努力が求められます。
嫌われない上司になるためには、若い世代の特徴を理解し、長い目で付き合っていくことが必要です。
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