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【特別企画】スペシャルインタビュー「あの有名人が語る!」(第2回)

厚切りジェイソンが力説!日本企業はココがおかしい

posted by 小池 晃臣

 「Why Japanese People!?」のフレーズでお馴染みのお笑いタレント「厚切りジェイソン」ことジェイソン・D・ダニエルソン氏。同氏は日本のクラウドサービス企業、テラスカイの役員というもう1つの顔も持つ。

 前編では会社役員と芸人という二足の草鞋を履くことになったきっかけと時間の活用術について聞いたが、後編では、ジェイソン氏が日本の企業に対して「ここがおかしい!」と思うポイントを中心に取り上げる。

言われたことを実行するだけの人間を評価してはいけない

──日本の企業やビジネスのやり方などを見ていて、ここはもっとこうした方がいいと感じるのはどういったところでしょうか?

 ここは本音でかなり厳しいことも言いますので、覚悟していてくださいね(笑)。

 まず日本の企業や組織というのは、とにかく仕事の効率性が悪いので、早急になんとかすべきではないでしょうか。例えば自分の仕事はもう片付いているのに、同じチームに残業している人がいるからと付き合いで自分も残業したり、きちんと理解していない仕事なのに上司から言われたからと漠然とやってみたりとか、これらは多くの日本の企業でよく見かけるものですが極めて効率が悪いでしょう。

 それに、上から言われた事をただその通りにハイハイと実行するだけの人間を理想的な社員として評価し、本当に実力のある人を、ちょっと他と違ったり上司の判断を批判したからといって評価しないような文化も変えるべきだと思います。一般的な日本企業の評価制度というのは、よく言われるように年功序列でどれだけ長く会社にいたのかが評価基準となって、きちんとスキルを評価しようとしませんよね。これでは本当に優秀な社員はなかなか育ちませんよ。

 もちろん、効率性にせよ評価基準にせよすべての日本企業がそうだというわけではありませんし、また、ここに来て変えようという気運も全体的に高まっているとは思うのですが。

会社で権力を握っているのは「仕事のピークを過ぎた人たち」

──どうすれば日本企業は、そういった状況を打破できると思いますか

 とにかく、若い人たちがもっと積極的にいろいろな事にチャレンジできるような環境をつくることでしょうね。そして当の若い人たちは、“自分がこの会社を変えてやるんだ”、“それでダメならこんなところ出て行ってやる”くらいの気概を持っていいと思いますよ。

 今の日本の会社で権力を握っているのは、失礼ですが仕事上のピークを過ぎた人たちが多いことでしょう。そういった立場の人々というのは、なるべく大きな変化なくそのまま定年まで勤めあげたいと考えてしまいがちです。

 だけど今のビジネスの世界に強く求められているのは、ドラスティックなまでの変革なのです。だからこそ、変化に貪欲な若者の力が欠かせないわけです。

 はっきり言ってしまえば、日本企業がこの先も今のままであれば、せっかく優秀な若者が育ってきても、そうした人材はアメリカやシンガポールなどの、正当に実力を評価してもらえる文化のある企業のもとへと行ってしまうことでしょう。

 ベンチャー起業家のコミュニティなどに参加していると、日本の若者たちの意識はどんどん変化していて、“自分がやってやるんだ”、“自分ならできるんだ”というチャレンジ精神が強烈に感じられるようになってきています。そうした芽を摘むことのないよう、さらには芽を開花させてあげられるように、日本企業には若者が活躍できる地盤づくりにもっと積極的に取り組んで欲しいですね。

恐れることなく自分を出していきましょうよ!

──かなり耳の痛い話が続きましたが(笑)、では逆に、日本企業の長所はどこにあると考えていますか

 日本の企業や組織はジェネラリスト(総合職)を育てるのに長けているので、社員それぞれが数年ごとに様々な部署を渡り歩いた経験があって社内のネットワークがとても強いです。このため社内コミュニケーションがとても円滑に進むので、そこをうまく活かすことができるのであれば、長所と言えるかもしれませんね。

 ただしアメリカでは、仕事はとても専門的なものであって、やればやるほど深い知識やスキルが身についていきます。個人的な見解としては、専門性を追求していくほうが、組織としても個人としても強い競争力が育っていくと考えます。

──組織と個人というお話が出ましたが、ビジネスにおいて組織と個人の関係はどうあるべきと考えていますか

 間違いなく「個人優先」であるべきだと思います。

 なぜならば、組織内で働く人たちそれぞれが本当にやりたいことをできるのであれば、みんなが幸せになり、ひいては組織全体がよくなっていくからです。日本の場合は逆の傾向が強いですよね。組織が優先されて個人は和を乱さないように、ともすれば自分の“個”の部分を抑えこんでしまう……。これで本当に幸せなのでしょうか?

 自分の入れ替わりとなることができる人間がいくらでもいるような状況では、本当に輝いて生きることなどできないはずです。だから皆さん、もっと恐れることなく自分を出していきましょうよ!と、強く訴えたいですね。

──そのためには日本の教育も変わらなければいけないでしょうね

 その通りです。自分なりの方法で考えるのではなく、みんなと合わせていこうという教育方針ではダメです。学校でも、そして家庭でも、“周りと違って良いんだよ”と大人たちが心から言えるようになれば、この国はもっともっと良い方向へと変わることができるはずです。クリエイティビティ(創造性)やフレキシビリティ(柔軟性)を育てる教育というのは、そういうものなのですから。

新しいビジネスのアイデアがあるなら真っ先に取りかかるべき

──日本のビジネスパーソンに対し、日々の暮らしにおいて具体的に「こうすべき」という点は何かありますか

 とにかく積極的に外に出て行くこと、また会社の中でも自分が正しいと思ったことはどんどん意見を言うようにしてみてください。それだけでも一歩を踏み出したら、十分に変わることができるはずです。

 あと、個人としての競争力を高めるために、自身のスキルや知識の付加価値を高めるのも大事でしょうね。その際に問われるのは、やはり専門性だと思います。私自身も、日本語やITのスキルがあったことで、他の多くのアメリカ人とは異なるキャリアをいま歩むことができていますから。

──たとえば、日本の中小企業に対しても何か激励の言葉はありますでしょうか。大企業と比べると、海外の企業に対抗するのは難しいと思われるのですが

 むしろ、フットワークの軽い中小企業こそ、真っ先にグローバル市場に打って出るべきでしょう。もし経営者が英語が苦手だったとしても、それは大きな問題ではありませんよ。英語が堪能な人材を雇えるのであれば、経営者が直接英語を話すことができなくてもいいんです。

 そして新しいビジネスのアイデアがあるのなら、真っ先に実現に向けて取りかかってください。最低限に必要な機能やサービスでいいので、まずは商品化して売るようにしてみてください。そしてその後に、何を加えて欲しいか、どこを改善して欲しいか、しっかりとユーザーに耳を傾けながら製品やサービスをどんどん変えていくべきです。

 現代は、技術も市場のニーズもめまぐるしく変わっているので、いま苦労してやっている作業が、明日には無駄になってしまうかもしれません。だけどそんなことは恐れずに、トライ&エラーを次々と繰り返していくことができるのであれば、きっといつか大きなチャンスを掴めるはずです。

厚切りジェイソン
本名:Jason David Danielson(ジェイソン・デイヴィッド・ダニエルソン)。1986年、アメリカ合衆国ミシガン州生まれ。ミシガン州立大学、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の大学院を卒業し、現在はIT企業の役員と芸人の二刀流で活躍している。著書に『日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy』。7月より英語学習アプリ『厚切り英単語』をリリース。

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小池 晃臣

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