2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

2023.02.15 (Wed)

建設業はICTで変わるのか(第12回)

建設業の人手不足の原因とは? 2025年問題に備える解決策を紹介

 建設業では、人手不足が深刻な問題となっています。人手不足の原因として挙げられるのが、労働人口の減少や、給与水準の低さによる新規雇用の減少、建設業の需要拡大などです。

 2025年には、建設業の労働人口が約90万人不足すると予測されています。そのため、建設業の人手不足を早期に解決することが重要です。本記事では、建設業の人手不足の原因や、人手不足を解消する手段について詳しく解説します。

建設業の人手不足が進む原因とは?

 少子化に伴う人口減少の影響により、さまざまな業界で人手不足が問題視されています。建設業も例外ではなく人手不足が進行しており、企業の経営層や人事部門担当者にとって大きな課題となっています。ここでは、建設業の人手不足が進む主な原因である「働き手の高齢化」「給与水準の低さ」「建設業の需要拡大」について解説します。

高齢化が進んでいる

 建設業における人手不足の原因のひとつに、労働人口の高齢化が挙げられます。

 国土交通省が2021年10月にまとめた「最近の建設業を巡る状況について【報告】」によると、2020年における建設業の就業者数は492万人で、ピーク時の1997年の685万人と比べて約28%減少しています。今後も労働人口は減少すると予想されていており、高齢化の進行による技術継承問題などが懸念されます。

 建設業の労働人口が減少している背景には、建設業に対する悪いイメージがあります。建設業では屋外や高所での作業することが危険な印象や、「体育会系の雰囲気が強い」「長時間労働がある」といった印象が、若者に敬遠されている一因とも考えられます。

 若者の新規雇用を促進できないことで、現在働いている中年層が長く働き続け、高齢化を進行させているという悪循環に陥っています。

給与水準が比較的低い

 ほかの業界と比較して給与水準が低いことも、人手不足の原因のひとつです。

 国土交通省が公表している「建設業における賃金等の状況について」によると、製造業の賃金ピークが50~54歳であるのに対し、建設業の賃金ピークは45~49歳です。製造業よりも早く、40代後半で賃金のピーク時期に達しています。

 日給制を採用している企業では、悪天候による作業停止や欠勤などによりその日の給与が変動するため、給与額が安定しません。このように、一般的な月給制を採用している企業よりも収入が安定しない点も、新規雇用が拡大しない原因でしょう。

建設業の需要が拡大している

 建設業の人手不足や高齢化が問題視される一方で、建設業の需要そのものは拡大しています。

 国土交通省の「令和4年度(2022年度) 建設投資見通し 概要」によると、2015年頃から建設投資額(名目値)は右肩上がりとなっており、2022年度の建設投資は66兆9,900億円(前年度比0.6%増)にのぼる見込みです。内訳は、政府投資が22兆5,300億円(前年度比3.7%減)、民間投資が44兆4,600億円(前年度比2.9%増)となっており、特に民間での需要が大きいことがわかります。

 こうした需要の高まりに対し、人材供給が間に合っていないという実情があります。国土交通省が実施した「建設労働需給調査」によれば、2022年11月における全国の過不足率は8職種で1.3%「不足」、6職種で1.7%「不足」となっています。さらに、翌々月・翌々々月の労働者の確保に関する見通しについては、どちらも2割超が難色を示しているとのことです。

 今後もしばらくは需要が上がり続けると予想されますが、このまま需要と供給のバランスを欠いた状態が続けば、作業者1人あたりの負担が増加していき、やがて人離れに発展する可能性は否めないでしょう。

建設業の人手不足を改善する方法

 建設業の人手不足は現在も進行います。ここでは、人手不足を解決するために重要な若手の新規雇用や、生産性の向上などにアプローチする方法をご紹介します。

業界のイメージを向上させる

 建設業に対する若者のイメージは、危険な作業や過酷な労働環境という印象が先行し、体力的・精神的に厳しい仕事と捉えられがちです。それだけでなく、天候に左右される不安定な業務であることや、「休日が多くない」「長時間労働」というイメージを持つ若者も多いことでしょう。

 若手の新規雇用を促して人手不足を解消するには、上記のようなイメージを払拭しなければなりません。現在では、働き方改革や業務内容の見直しなどにより、職場環境の改善に取り組んでいる企業も多くあります。過去には、国土交通省による「建設業イメージアップ戦略実践プロジェクトチーム(CIU)」が発足され、建設業のイメージアップが国を挙げて進められました。

 実際に行われている具体的な取り組みとしては「建設現場の仮囲いをデザイン性の高いものにする」「働く車(重機)のイベントを実施する」などがあります。一般の方や子どもたちに向けて、「肉体労働で苦しい」といったイメージを払拭するイベントを開催し、企業や建設業全体のイメージアップを図っています。

工期を適切に設定する

 建設業では、工期が短いことも大きな問題です。前述したとおり、建設業では就業人口が少ないにもかかわらず、建設業に対する需要は拡大しています。そのため、多くの建設現場をスケジュール通りにこなせるよう、工期が短く設定され、各工程をこなすために残業が生じて、長時間労働が発生しやすくなっています。

 長時間労働が続くと、現場で働く労働者への負担が増え、離職率が高まることも懸念されます。労働者の負担を軽減したり、離職を防いだりするには、余裕を持った工期を設定することが重要です。

 国土交通省による「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」でも、適切な工期を設定して働き方の改善を図り、発注側が余裕を持った工期の設定の重要性を理解することも重要だとしています。

生産性を向上させる

 人が手動で行う作業をロボットやAI、ICTなどによって自動化したり、業務を効率化したりすることも重要です。作業を効率化して生産性の向上を図ることで、少ない人数でも業務をこなせるうえ、業務自体のクオリティ向上も期待できます。

 たとえば、クラウド上で図面や工程画像を管理する方法が挙げられます。従来までは、紙やCD-ROMなどの物理的な方法で、図面や工程画像を管理することが多く、複数人で共有するには場所や時間を合わせる必要がありました。しかし、クラウドで管理すれば、時間や場所にとらわれず、ネットワーク環境さえあればいつでもどこでも図面や工程画像を確認できます。

 さらに、AIによる作業の自動化も効果的です。ルーチンワークや監視といった作業をAIに代行させることで、作業時間の短縮やヒューマンミスの防止に役立てられます。近年では、設計や画像認識などにもAIが導入されるなど、現場のICT化が進められています。ICT化については、次項で詳しく解説します。

建設業における効率化のカギ「ICT」とは

 建設業のICT化を進めることで、業務効率化や人手不足の解消が期待できます。AIやロボットを活用すると、作業を単純に機械化・デジタル化するだけでなく、人ができない高度な作業も実現できます。以下では、ICTの概要やできることを解説します。

ICTとは「情報通信技術」のこと

 ICTとは「Information and Communication Technology」の略称で、日本語では「情報通信技術」と訳されます。身近な例でいうと、メールやSNSなどを通じたコミュニケーションが挙げられます。「コミュニケーション」という単語が入っていることからもわかるように、ITを使った情報共有や情報伝達がICTと呼ばれます。

 建設業におけるICTには、たとえば図面や工数をスマートフォンやタブレットを使って共有したり、現場を遠隔地から監視できるよう、現場にカメラを設置したりする方法が考えられます。ほかにも、資料や画像をデータ化してオンラインで共有する、ドローンを用いて測量するなどの方法もあります。

 建設業にICTを取り入れることで、従来の方法でヒューマンエラーが多かった作業や、工数が多くかかっていた作業などの改善が可能です。

建設業のICTが求められる背景について

 建設業は他業界と比較して生産性の向上が遅れています。日本生産性本部が内閣府の「国民経済計算」をもとに作成した「主要産業の労働生産性水準の推移」によると、産業別の名目労働生産性において、建設業は1時間あたり及び1人あたりの指標が低く、1位の不動産業と比べて7倍以上の差がついています。

ICTによって実現できること

 建設業にICTを導入すると、さまざまな効果が期待できます。

 たとえば建設業では、職人の高齢化と後継者不足により、技術や知識の継承が難しいという問題があります。しかし、ICTを導入すれば、熟練の技術と知識を持った職人にしかできなかった業務(属人化)も機械化することが可能です。

 作業によっては、従業員の間で作業時間に差が出たり、ミスの量が異なることもあるでしょう。難しい作業を機械化すれば、人の手によって発生する人的ミスも防げます。測量や設計などにICTを取り入れれば、人によるケアレスミスや誤差が発生せず、正確な数値で作業ができます。

 さらに、ICTの導入によって、作業時間の短縮や業務プロセスの効率化も見込めます。労働時間を短縮できれば、労働者の負担を軽減できるうえ、「長時間労働が多い」というイメージの払拭につながるため、職場改善や新規雇用の促進にも効果が見込めます。

 このように建設業のICT化は、人手不足をはじめとする諸問題に対し、ひとつの解答を示した取り組みといえます。建設労働の需要は今後も増加が予想されるため、安定的に事業を継続するには、人手不足の解消や業務改善が不可欠です。これらを実現するためにも、ICTの導入をおすすめします。

まとめ

 建設業では人手不足をはじめ、労働人口の高齢化や生産性の低さなど、さまざまな問題があります。少子高齢化や2025年問題が加速する前に、これらの問題を早期に解決することが求められます。

 上記の問題を解決するには、各企業が建設業のイメージアップを図ること、さらにICTの導入により業務効率化を促すことが重要です。今回紹介した内容を踏まえ、今から対策を講じましょう。

建設業の課題解決、NTT東日本が支援します

ICT×建設のノウハウで建設現場DXをトータルサポート

建設業に関するお問い合わせはこちら

お問い合わせ

建設業 デジタル技術導入・活用ガイド

建設業の過剰な労働時間は長年にわたって問題視されてきましたが、いよいよ2024年4月1日に「残業時間の上限規制」が適用されます。規制に違反すると懲役・罰金刑に処され、悪質なケースでは企業名公表もあるため、労働時間の見直しは建設事業者にとって喫緊の課題です。国土交通省や厚生労働省はICT活用に向けた支援を実施しているものの、十分に普及していないのが現状です。本資料では、建設業のデジタル化に詳しい大阪大学 矢吹信喜教授の見解を踏まえ、2024年問題対策のポイントや進め方を解説します。有効なデジタル技術に言及しながら、事業者がこれから検討するべき対処法を紹介します。

資料ダウンロード

連載記事一覧

メルマガ登録


NTT EAST DX SOLUTION


ミライeまち.com


「ビジネスの最適解」をお届けします 無料ダウンロード資料


イベント・セミナー情報

ページトップへ

ページ上部へ戻る