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2023.03.31 (Fri)

建設業はICTで変わるのか(第28回)

建築資材の窃盗事件が多発 今すぐ取れる対策とは?

 

 経済発展や建設ブームに伴い社会問題となりやすいのが、物資の不足です。要因はそれだけでなく、新型コロナウイルスの流行や国際紛争、燃料の高騰などがあります。近年では建築資材が不足する時期に、銅材、合板、生コンクリートといった高値がつく建築資材の転売を目的とした窃盗事件が発生するようになりました。建設事業者が貴重な資材を盗まれないために、ICTツールを活用してできる盗難対策を紹介します。

建築資材の高騰が招く「窃盗事件」

 2008年の北京オリンピックを控えた時期に、建設需要の拡大を受けて建設資材が不足したり、価格が高騰するようになりました。建設資材の窃盗が相次ぎ、話題になったことを覚えている人もいるでしょう。トラックなどを使って銅線や敷鉄板、鉄パイプなどの金属類を大量に盗む手口が見られました。これらは転売目的の盗難だと考えられています。

 2020年以降、建設資材が高騰するようになりました。建築資材が不足している中、東京オリンピックの開催や大阪万博へ向けた準備、都市の再開発ブームへの対応が迫られていることも要因のひとつだと言えるでしょう。

 

 土木・建築業界の市場動向を見ると、2022年も日本国内の建設受注額が好調に伸びていることが分かります。建設資材の不足に関する問題は解決していないことを考慮すると、建築資材の高騰は今後も続く可能性が高いでしょう。同様に、建築資材の盗難被害も引き続き発生する可能性が高く、建設現場には盗難対策が求められています。

建築資材の盗難対策における落とし穴

 そもそも、なぜ建築資材は盗難被害に遭いやすいのでしょうか。主に以下の理由があると言われています。

・屋外に保管してあることが多く盗みやすい
・夜間無人になる現場が多い

 こうした実態を踏まえて資材盗難リスクを低減させるために、多くの建設現場では下記のような対策を取っています。

・資材は屋内に保管して鍵をかける
・車両に積み直して保管する
・夜間も照明をつけておく
・防犯カメラ・ダミーカメラを設置する

 これらの対策は一見すると効果的なように思われますが、過去に発生した犯罪例を見ると、犯人は侵入防止のためにかけた鍵を壊して多くの建築資材を盗んでいます。照明を設置しても人の目がない、もしくはダミーカメラだと見抜かれた建設現場では窃盗事件が発生しています。もはや簡易的な対策で盗難被害を予防することは困難でしょう。

 そこで有効になるのが、IoTを駆使した防犯対策です。IoTで組み合わせられるセンサーは多く、またAI技術を合わせて活用することで、効果的な盗難対策を講じられるようになりました。

ICTツールで実現する建設現場の防犯対策

 ICTツールを使った防犯対策の一例を、以下で紹介しましょう。

遠隔監視システム

 カメラやセンサーを組み合わせて、遠隔地からリアルタイムに建設現場を監視できるシステムです。パソコン・タブレット・スマートフォンといった多様なデジタルデバイスと連携可能で、異常を検知した際は警報音を発します。警備会社の到着を待つ前に自社従業員が現場へ急行することも可能です。録画したデータは万が一の際に証拠として提示することもできます。

 一般的な防犯カメラでは、記録した映像を後から確認することが多いでしょう。しかし、遠隔監視システムではインターネットを介してリアルタイムに不審者の侵入を検知可能なうえ、複数の現場をひとつの拠点から監視することができます。複数の現場を担当している現場監督の働き方改革にも貢献可能な点も特筆すべきポイントです。

ラインクロス検知

 防犯カメラを応用したソリューションです。防犯カメラと映像解析AIを組み合わせ、あらかじめ設定したラインを人や物が超えた場合、つまり侵入された危険性があると判断した際に、光や音を出して侵入者に警告するシステムです。立ち入り禁止のラインやエリアは任意に設定できます。侵入者の滞在時間や人数をカウントすることも可能です。

バリアの形成

 立ち入り禁止エリアに結界をつくり、人やモノが結界の内部に入り込んだ場合に赤色回転灯を点灯させたり、警報音を発するシステムです。扇状に発射されたレーザー光線がつくる「面」の上をスキャンし、接触を検知しています。

 カメラは不要で小型のセンサーを取り付けるだけでよいため、設置・撤去に手間がかかる心配はありません。次の建設現場へ運んで再び設置することも比較的容易でしょう。こうした利便性の高さから、危険区域に人が入っていないか確認する目的でも使われています。

 こうしたシステムでは、いずれの場合にせよ、社内通知を作動させて常に誰かが現場へ急行できる体制をつくることが重要です。

 なお、ここまで触れたICTツールの活用を導入するにあたっては、デバイスやソフトウェアの導入はもちろん、ネットワークの構築も必要になります。しかし、どのように構築して運用すればよいかわからない、またはそもそも建設現場に適したツールの選定が難しい、という悩みを抱えている建設事業者も多いはずです。建設業界向けのICTに精通した専門家の協力を仰ぎながら、自社の業務や資材を守る安全な環境を構築してください。

建設業 デジタル技術導入・活用ガイド

建設業の過剰な労働時間は長年にわたって問題視されてきましたが、いよいよ2024年4月1日に「残業時間の上限規制」が適用されます。規制に違反すると懲役・罰金刑に処され、悪質なケースでは企業名公表もあるため、労働時間の見直しは建設事業者にとって喫緊の課題です。国土交通省や厚生労働省はICT活用に向けた支援を実施しているものの、十分に普及していないのが現状です。本資料では、建設業のデジタル化に詳しい大阪大学 矢吹信喜教授の見解を踏まえ、2024年問題対策のポイントや進め方を解説します。有効なデジタル技術に言及しながら、事業者がこれから検討するべき対処法を紹介します。

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